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連日熱い戦いが繰り広げられているソチ冬季オリンピック、ここまでメダル0個と苦戦が続いていた日本でしたが、大会4日目の11日に待望のメダル第1号が誕生しました。男子スノーボードハーフパイプで、15歳の平野歩夢選手が銀メダル、18歳の平岡卓選手が銅メダルを獲得しました!
この種目には、3連覇を狙うスノボ界のスーパースター、アメリカのショーン・ホワイト選手を始め、日本からは平野、平岡の他に青野令選手と子出藤歩夢選手の4人が出場。
まず昼間の予選、1組には平野と青野が登場。2番目滑走の平野は、1本目の試技で最初に高いエアを見せると、2度目のエアでフロントサイド1080(3回転ジャンプ)、3度目にキャブのフロントサイド1080、その後も高くて安定したエアを見せ、最後はダブルコーク1080°(横に3回転、縦に2回転)を決めてフィニッシュ。いきなり素晴らしい演技を披露した平野は、92.25点の高得点を叩き出します。2本目はバックサイドの900°(2回転半)でバランスを崩してしまい、64.75点とスコアを伸ばせませんでしたが、1組をトップで通過して決勝進出を決めました。一方、7番目で登場した青野選手は、2本ともエアで転倒し、19位で予選落ちとなりました。
続く2組目、5番目滑走のショーン・ホワイトが王者の貫録を見せつけます。最初にバックサイドエア→ダブルコーク1080°→さらにキャブからのダブルコーク1080°と続き、最後はアーリーウープ(逆方向に回転する技)の540°(1回転半)ゴール。95.75点で1位。3連覇へ死角は無しか。
8番手の平岡は、レギュラースタンス(右側)からスタートすると、バックサイドの高いエア→フロントサイドの900°を立て続けに決め、フロントサイドのテン→キャブからの1080°→最後はダブルコーク1080°をしっかり決めてフィニッシュ!一旦はバランスを崩す場面がありながらも持ち直し、ラストにダブルコークを成功させた平岡は、92.25点を挙げてB組2位通過。
予選を終え、ショーンが全体のトップ、平野と平岡が全体の2位タイとメダル圏内につけました。子出藤選手はB組17位で予選落ち。
迎えた夜の決勝、1回目では張義威が87.25点、史万成81.00点と中国勢2選手が80点台をマークし、ユーリ・ポドラドチコフ(スイス)が86.50点を挙げる。
そんな中、10番手スタートの平岡は、レギュラースタンスでドロップインすると、バックサイドの900°、フロントサイド1080°を成功させるが、キャブからのダブルコークテンの着地で尻もちをついてしまい失敗。得点も45.50点と全体9位。
11番手の平野は、グーフィースタンス(右足を前にするスタンス)でドロップイン→最初にバックサイドからの高いエアを見せると、フロントサイド1080°→キャブからの1080°→4つ目の900°で手を着いたが、体制を立て直して最後はダブルコーク1080°を決めてフィニッシュ!難易度の高いエアを次々と決めた平野は、90.75点と暫定トップに立ち、ショーンにプレッシャーをかけるとともに、日本人初メダルへ大きく引き寄せます。
そして予選トップのショーン・ホワイト、3連覇のためにも平野以上の得点を挙げたいところ。ダブルコークテンを確実に決めるが、3つ目のキャブからのダブルコークテンで着地失敗、さらにダブルマックツイスト1260°(縦2回転を含む3回転半)の着地の際にリップに乗り上げてしまう。王者らしからぬ連続ミスで、得点も35.00点で全体11位。3連覇へ黄信号どころか赤信号が灯った。
1回目を終えて平野がトップ、張義威が2位で、アジア勢がワンツーを占める。さらにポドラドチコフが3位につける。
勝負の2回目。1本目4位の史万成、さらに張義威がミスでスコアを伸ばせず、その他の選手もミスが相次ぐ。会場が重苦しい雰囲気に包まれる中、6人目に登場したポドラドチコフがスーパートリックで観客を大いに沸かせます。フロントサイド540°、ダブルコークテンと繋ぎ、ラストにキャブからのダブルコーク1440°(横4回転)を成功してみせた!ここ一番の大舞台で大技が決まり、94.75点のハイスコアを叩き出し、平野を抜いてトップに躍り出ます!
10番目、1回目9位の平岡が登場。表彰台に上がるためには暫定3位・ハブリュツェル(スイス)の88.50点以上が必要。メダルを懸けての勝負の滑走、レギュラースタンスからスタート→バックサイド540°→フロントサイド900°(2回転半)、フロントサイド1080°と高いエアを次々と決め、5つ目のキャブからのダブルコーク1080°が決まると、今度もダブルコーク1080°を決めてフィニッシュ!連続ダブルコーク、全てノーミスの演技で全てを出し切った平岡、92.25点で暫定2位に浮上し、表彰台圏内に持ち込んだ!
1本目トップの平野、運命の2回目。グーフィースタンスでドロップインすると、一発目に高さのあるエア→フロントサイドからのテン→キャブからのトリックも高さがある。さらにフロントサイド900°→バックサイド900°、そして最後のダブルコーク1080°の着地もバッチリ!高さと安定感抜群のトリックで勝負に挑んだ平野、93.50点とスコアを伸ばしたが、ポドラドチコフには及ばず。それでもメダルは確定。
そして大トリ・ショーンが登場。大技を成功させて1回目11位からの大逆転優勝となるか。レギュラースタンスでスタート→最初のジャンプの着地でバランスを崩す。フロントサイドからの1260°(3回転半)、ダブルマックツイストの大技を成功させたが、最後のアーリーウープからのダブルチャックフリップの着地でお手付き。ゴール後にやり切ったかのようにガッツポーズを見せたショーンだったが、90.25点で4位に終わり3連覇ならず。この結果、ポドラドチコフが金メダル、平野歩夢銀メダル、平岡卓銅メダル!
日本五輪史上初となる、スノーボードのメダリストが誕生しました。1998年の長野五輪からスノーボードが採用されて以降、何人もの日本人選手が出場したものの、表彰台が届かない状態が続きましたが、10代の若武者が重い扉をこじ開けました。しかも五輪のスノーボード種目でアジア人がメダルを獲ったのは史上初めてですよ!スノボにもアジアの時代が来たのでしょうか!?
平野歩夢選手が予選から安定した演技を見せ、決勝でも2本連続で90点台をマークして銀メダル。冬季五輪日本人史上最年少メダリストとなった平野選手は、スケートボードで技を磨き、14歳で出場したウインターXゲームズで銀メダルを獲得して一躍有名になり、W杯でも優勝経験があります。五輪デビューで堂々の銀メダル、次の平昌(韓国)五輪では金メダルを期待しています。平野選手こそ、次世代のスーパースターです。
平岡選手も1本目のミスから見事に挽回し、連続ダブルコークで3位に押し上げ、ショーンを抑えて銅メダル獲得です。平岡選手はスノーボードの世界ジュニア選手権で連覇を達成すると、2013年には「プレ五輪」のW杯ソチ大会で優勝。今回の五輪でも表彰台に上がっているから、ソチとの相性が良いのでしょう。そんな彼は奈良県御所市出身で、実家から大阪の上宮高校に在学中で、4月から立命館大学に入学します。中学3年生までの約8年間は、父親と共に片道5時間かけて岐阜県内のスキー場に毎週通っていたそうです。その苦労と努力が報われましたねえ。
今回の男子ハーフパイプは、3連覇が期待されたショーン・ホワイト選手が4位に終わり、メダル獲得ならず。予選は全体トップだったけど、決勝1回目のミスが大きく影響しました。他のアメリカ人選手(デービス、ブレッツ)も決勝では下位に沈み、惨敗に終わりました。女子ジャンプの高梨沙羅選手もそうだけど、絶対王者が金メダル&表彰台に上がるとは限らないんですね…。
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