最近では電子辞書を持ち歩く学生が少なくありません。時折、講義中に電子辞書を操作している学生を見かけますし、入学時にプレゼントなどとしてもらったという人もいるでしょう。
このように記す私も、電子辞書を持っています。2007年３月24日、高津区は梶ヶ谷にあるコジマで、CASIO EX Word XD-GW7150を買いました。当時の最新機種で、ドイツ語辞書機能が強化された上級機種でした。５年以上使い続けていることとなります。
たしかに、電子辞書は便利です。XD-GW7150には小学館の大辞泉、旺文社のカタカナ語新辞典、大修館書店のジーニアス英和大辞典、Cambridge Learner's Dictionary、小学館の独和大辞典、Oxford Duden German-English Dictionary、English-German Dictionaryが入っています。しかも音声対応機能まで付いています。これだけの辞書を本屋で買うとなると大変でして、近所の町本屋では全部を揃えることができませんし、溝口の文教堂書店本店で買ったとしても、持って帰るのが大変です。出費もどのくらいになるかわかりません。私がこの電子辞書を購入した時には42700円を支払いましたが、それでも安いほうだと思いました。今はもっと安く買えるはずです。
しかし、中学校や高校の生徒、大学の学生、語学の初心者は、電子辞書ではなく、紙の、重い辞書を購入し、手元に置いて、何かあったらすぐに辞書を引く習慣を身につけて欲しいものです。そして生徒や学生の保護者の方には、電子辞書ではなく、冊子の辞書を購入していただきたいと思っています。
電子辞書を使うとわかってくるのですが、紙の辞書のほうが、初学者にはプラスになります。
まず、紙の辞書の場合は、検索が電子辞書より手間のかかる作業であることは否めませんが、パッと目に頁の全体が入ってきますので、文例を探したりするのが楽です。電子辞書の場合はスクロールという作業が必要で、これをしなければ全体がわかりません。そのため、言葉の意味を探し出すのはもとより、文例を見つけるのが遅れます。
とくに、重要な動詞、助動詞の場合、様々な用法が登場します。文例も併せて、説明などを見なければなりません。紙の辞書の場合は一目で見ることができます。
次に、どのような辞書でも、単語そのもの、単語の意味、文例などの収録には限界があるのですが、派生語などから意味を推測することが可能である場合があります（必要な場合も少なくありません）。このような場合には、圧倒的に紙の辞書のほうが楽です。
そして、英語で言えば不規則動詞、ドイツ語で言えば強変化動詞や混合変化動詞の変化（原形、不定詞形、三人称単数形、過去形、過去分詞、仮定形、接続法など）です。電子辞書の場合は、言葉ごとにかかれてはいますが、紙の辞書のように巻末に変化表が載っている訳ではないので、不便な場合が少なくありません。品詞の変化についても同様です。
さらに記せば、専門用語が登場する場合には電子辞書ではお手上げです。掲載されていないような場合が多いからです。結局、紙の専門用語辞典を買わざるをえません。
初学者向けの辞書は、英語や国語辞典であれば、どこの書店にもあるでしょう。そうしたものを揃えて、それからグレードアップしていけばよいでしょう。電子辞書は、或る程度、語学を習得してから購入するほうがよいと思われます。私自身の経験でもそのように感じますし、電子辞書で検索をしても、結局、紙の辞典で調べなおすことも少なくないのです。
５月19日付の「今年は外国法の教科書の講読を行っています」で記したように、今年度は、金曜日に東洋大学大学院法学研究科の「行政法特殊研究Ⅱ」・「行政法演習Ⅱ」でドイツの行政法の教科書を読んでいます。私は、最初の頃は電子辞書を持参したのですが、すぐに紙の辞書に切り替えました。自宅にあるのは小学館の独和大辞典の第２版コンパクト版と白水社のフロイデ独和辞典で、今日はフロイデ独和辞典を持参しました。文例を見つけるのが楽なので、解説なども楽なのです。
紙の辞書と適切な文法書があれば、どのような言語であっても初級レベルを習得するのは可能です（英語について、そのような文法書が少なすぎるような気もしますが）。出費を厭わず、手にしてみてください。
