ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

レッセ・フェール(laissez-faire)

2012年11月06日 02時11分05秒 | 法律学

 今年度も1年生向けの「現代社会と法」を担当していることについては何度か記しましたが、社会思想史、あるいは倫理・政経を学んでいないと思われる学生があまりに多いことに、何度となく落胆させられます。

 「現代社会と法」の民法2の①は「経済的自由主義」、「自由放任主義」、「レッセフェール」が正答で、どれを書いてもよいのですが、ただ「自由経済」と書いてあったり「自由主義」という答えであったりします。「自由経済」では思想を指す言葉になりませんし、「自由主義」では経済以外の面なども入ってしまい、「レッセフェール」の意味が生きてきません。そもそも、「自由放任主義」という言葉が「レッセフェール」の訳語でもあります。

 レッセ・フェールはフランス語で、laissez-faireと書きます。私が所持している『プレグレッシブ仏和辞典』(小学館)によると、男性名詞で単複同形、「(とくに経済における)無干渉、自由放任」という意味が記されています。

 こういう時に「第二外国語をやっていればよかった」、あるいは「来年から第二外国語にチャレンジしてみようかな」と思う学生が一人でも出てくれたらいいな、と感じています。カタカナ用語は、原語の意味を知ると納得できるからです。

 laissezは他動詞laisserの直説法現在の形で、主語がvous(二人称複数、または敬称)の時の形です。英語のleaveやletに相当する言葉である、と記せば、意味はおわかりでしょう。

 次にfaireは他動詞で、不定詞の形です。英語のmakeやdoに相当する言葉です。

 従って、laissez faireを英語に直せばlet (you or them) doまたはleave you(or them) doとなるでしょう。もう少し広げればlet it beとかlet them(or you) do as they(you) willとかleave it (or him or her) aloneということになります。そこから自由放任という意味合いが出てきます。

 高校の教科書ではレッセフェールとカタカナで書かれていますが、フランス語の意味を説明しているものはないようです。ただ、これでは暗記に終わってしまいます。理解ということであれば、英語のフレーズを併記して説明するほうがよいでしょう。そうすれば、英語の勉強にもなります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする