万博というと、1970年に大阪府は吹田市で開催された万博を頭に浮かぶのは、私の年齢のせいでしょうか。しかし、当時、私は2歳でしたし、大阪万博に行ったことはありません。随分と時間が経って、たしか学部生時代に万博会場跡の近くに行ったことがあり、遠くからですがあの太陽の塔を見ました。
1970年の万博と言えば、クセナキスの作品である「ヒビキ・ハナ・マ」(響、花、間ということでしょう)が演奏されたことなど、芸術関係で様々な出来事があったことでも知られており、私が日曜日の朝と夜に見ている「日曜美術館」でも取り上げられていました。おそらく、それが強く印象に残っているのでしょう。
その1970年から55年が経過した2025年に、今度は大阪市で万博が開催されることとなっています。しかし、問題は多く、YouTubeで西谷文和さんが大阪弁で非常に興味深い解説をなされているので、そちらを御覧いただきたいと思います。ここでは、費用あるいは支出の問題を取り上げましょう。
2023年11月27日、参議院予算委員会が開かれました。そこで2025年万博が取り上げられたのですが、今も総経費がわかりません。朝日新聞社のサイトに掲載されている「大阪・関西万博、さらに800億円超の国費負担 2350億円と別枠」(https://digital.asahi.com/articles/ASRCW6K8FRCWUTFK00G.html)という同日20時30分付の記事に概要が掲載されているのですが、2020東京オリンピック(と言いながら2021年)と同じような話になっています。青天井というか、鰻登りというか。
会場建設費は2350億円であるということになっています。しかし、これとは別に800億円以上の国費負担が生ずるというのです。それも「少なくとも」という言葉が付けられます。
記事を引用させていただくと「自見英子万博相は、大阪府市や経済界と3等分する会場建設費2350億円以外の経費として、日本政府が出展する「日本館」の建設費を360億円以内、発展途上国の出展支援に約240億円、警備費に約199億円、機運醸成の費用に38億円以上を見積もっていると説明。いずれも国費でまかなうという」。まだ精査できていないというおまけも付いています。また、国会議員の質疑に対しても「できるだけわかりやすく全体像を示せるよう努力する」という趣旨の答弁しかなされなかった、と記事に書かれていました。
「日本館」の費用については、朝日新聞2023年11月27日付夕刊1面4版の「万博日本館の費用『360億円必要』」という記事にも書かれています。すぐに「?」となりました。西村経済産業大臣は、おそらく今年度当初予算で92億円を計上し、今年度補正予算案で171億円を追加計上し、さらに仕上げや運営や解体費用も必要になると述べ、さらに、2005年の愛知万博(記事を読んでようやく思い出しました。行ったことはありません)、360億円に抑えたいと答弁したそうです。抑えたいというのは、建設費の上昇や消費税といったところを含めて「機械的に計算すると400億円を超える」からということのようですが、どういう設計で、どういう見通しで費用を計上したのか、明らかにしていただきたいものです。
会場にも疑問があります。大阪市の埋め立て地である夢洲なのですが、どう考えても交通不便な場所で、様々な問題が既に浮かび上がっていますし、さらに生じることでしょう。
そもそも、1970年と2025年とでは時代背景から何からが違います。あの頃なら万博を行う意味はあったでしょう。しかし、現在はどうでしょうか。