ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

現役最高齢指揮者によるブルックナーの交響曲第9番

2024年11月04日 00時00分00秒 | 音楽

 2024年11月3日の21時からNHK教育テレビで「クラシック音楽館」が放送されました。

 現役最高齢(おそらく史上最高齢)の指揮者であるヘルベルト・ブロムシュテット氏が指揮するバンベルク交響楽団が、オーストリアの聖フローリアン修道院で2024年7月11日に演奏したもので、曲はブルックナーの交響曲第9番です。これはかなりの御膳立てであり、しかも演奏が良いと来ています。2022年10月15日に渋谷は神南のNHKホールで氏の指揮を生で見ていたので、その時のことを思い出しながらテレビを見ていました。

 番組のホームページにも「辞世の交響曲」とあるのですが、この表現はいかがなものでしょうか。確かに最後の交響曲で、しかも未完なのですが、ブルックナー自身が作曲の最初の段階で、この交響曲第9番が最後の作品になるとして自覚していたのでしょうか。あるいは、作曲を進めるにつれて何処かの段階で最後の作品となることを意識したのかもしれませんが……。

 ただ、ブルックナーがベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調を意識していたのは事実のようです。楽曲の構成も似ています。ベートーヴェンの交響曲第9番は、第2楽章にスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章を置いていますが、ブルックナーの交響曲第9番も同様です。勿論、違いもあります。第3楽章の調性は、ベートーヴェンのほうが変ロ長調なのに対し、ブルックナーのほうはホ長調で、同じホ長調の第7番を想起させる瞬間があります(実際に、第7番の第1楽章のフレーズが使われているようです)。私が最初にブルックナーの交響曲第9番をCDで聴いて特に惹かれたのが第3楽章で、トランペットでH(長音)→Cis(短音)→E(短音2回)と演奏される部分に或る種の驚きを感じたのです。

 完成したのが第3楽章までのため、コンサートでもCDでも第3楽章で終わることが多いようです。しかし、途中まで書かれている第4楽章を補筆した人もおり、第4楽章まで演奏するという例もあるようです(私は聴いたことがありません)。

 未完成の曲を補筆するなどして完成形に仕上げようとする試みは少なくありません。かのシューベルトの交響曲第7番ロ短調についても、途中で放棄されたと思われる第3楽章を補い、全く書かれていなかった第4楽章に至っては「ロザムンデ」から持ってきたものをアレンジするということがなされたりしたとのことです。しかし、第1楽章(ロ短調)と第2楽章(奇しくも、ブルックナーの交響曲第9番第3楽章と同じくホ長調!)だけでも十分な完成度を持っています。だからこそ、LP時代にはベートーヴェンの交響曲第5番とカップリングがなされたのでしょう。同じことはブルックナーの交響曲第9番やマーラーの交響曲第10番(完成したのは第1楽章のみ)にも言えます。無理に他人が完成させることが良いのかどうかは、完成度などを見て考える必要があるでしょう。

 番組では2016年の来日公演も取り上げられました。ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」で、指揮は勿論ブロムシュテット氏、演奏はバンベルク交響楽団で、愛知県芸術劇場コンサートホールでの録画であるとのことです。

 ベートーヴェンの交響曲というと第5番と第9番が双璧で、次に第7番が人気なのでしょう。しかし、ともにヘ長調で書かれている第6番と第8番の存在を忘れてはいけません。第6番は、ベートーヴェン自身が全体、さらに全楽章にもそれぞれ標題を付けていることから、第5番よりも愛着を感じていたのではないかと思うことがあります。このように記す私は、小学生時代に第6番を知るや、第6番ばかりLPで聴いていたことがありました。また、第8番は、作曲者自身が初演の際に第7番より第8番のほうがよく書けているのにどうして第7番が受けるのかというような趣旨の発言をしていたということを何かの本で読みました。私も同じように考えています。

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 全然関係のない話。横浜DeNAベイスターズが日本シリーズ4勝2敗で、26年ぶりの日本一となりました。「最大の下剋上」などと言われていますが、ここ数年のベイスターズには底力がありますから、優勝してもおかしくありません。そのことは、クライマックスシリーズで阪神に3連勝した時に強く感じました。日本シリーズでは地元横浜で2連敗したものの、そこから4連勝しました。前の日本一の時にも役者は揃っていましたが、今年もそうでした。優勝するチームというのはそういうものです。

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