昨日(2023年4月22日)のことですが、初めて、タイトルにある曲を聴くことができました。
作曲者の吉松隆さんの作品は、以前からNHKのEテレ「芸術劇場」やテレビ東京の東急ジルヴェスター・コンサートで、断片的ではありますが知っており、とくに吉野直子さんのコンサートで「ライラ小景」を聴き、すぐにCD「ハープ・リサイタル4」を買って、今に至るまで何度となく聴いています。
妻と二人で聴きに行ったのですが、私は最初から交響曲第6番を狙っていました。まだ聴いたことはなかったけど、吉松さんの曲なら、と期待していたのです。結果は、見事に大当たりです。私もですが、妻がとくに気に入ったようでした。何せ、聴き終わってからこの曲のことばかり、二人で話していたほどです。
オーケストラなのにドラムセットが二つも用意されるという編成で、実際に打楽器が大活躍する曲なのですが、私は弦楽などが奏でる、ドローンのような、Dマイナーを基調とした和音の美しさに惹かれました。3楽章のいずれにも登場し、「これなんだな」と気付かされます。そうした弦楽などによる和音の上をピアノやヴィブラフォーンなどが16分音符でオブリガートのように奏でるのです。所々で「ライラ小景」を思い起こさせるフレーズも登場しました。鳥の声を模すのは、オカリナ、バードコールなどで、これがまたスパイスのように聴いています。それにしても、演奏としてまとめあげるのはかなり難しいだろうな、と思わされる曲でもありました。あれだけ、打楽器が、ジャズのように時々裏泊を強調しながら演奏されるし、楽器間のバランスをとるのが難しいであろうからです。また、第2楽章の終わり近くでチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第4楽章が引用されており(ロ短調からニ短調に変えられていましたが)、思わず笑ってしまいました。
会場には吉松さん御本人も来られていました。前半には気付かなかったのですが、客席におられたようです。後半、演奏前にオーケストラガイド役の齋藤弘美さん、指揮者の原田慶太楼さん、そして吉松さんのトークがあり、それでわかりました。トークで話された内容と実際に聴いた曲の印象とは違う部分もありましたが、これは聴く側の自由というところでしょう。
交響曲第1番のCDを買いましたが、これから集めてみようかと考えています。
そう言えば、前半ではジョヴァンニ・ソッリマさんの独奏チェロによるドヴォルザークのチェロ協奏曲が演奏されたのですが、第1楽章が終わってすぐに、何故かファゴット奏者がステージを離れました(一体、何があったのでしょうか? 珍しいことでしょうね)。すると、ソッリマさんのテクニカルなソロが数曲演奏されました。少しばかり、ジャズの名ベーシスト、スタンリー・クラークがダブルベースのソロをとる時を思い出します。それからチェロ協奏曲の第2楽章にすんなりと移ったのはさすがです。
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