今月、朝日新聞夕刊で知り、1枚のCDを購入しました。吉野直子さんの「ハープ・リサイタル6〜トゥルニエ・ルニエ・カプレ・カゼッラ・サルツェート・フォーレ」です。
これまで、「ハープ・リサイタル」のシリーズはコンサート会場で購入していましたが、このコロナ渦で多くのコンサートが中止または延期になったため、別の方法で入手しました。それから毎日のように聴いては、落ち込んでいる気分を少しでも上げようとしています。
今回の収録曲は、トゥルニエ「ハープのためのソナチネ」、ルニエ「交響的小品」、カブレ「2つのディヴェルティスマン」、カゼッラ「ハープのためのソナタ」、サルツェード「バラード」、そしてフォーレ「即興曲」です。寺西基之さんの解説にもあるように「オリジナルの本格的なハープ作品を集めた玄人好みのアルバム」と言えます。
私は、これまで2と4をよく聴いていました。2にはタイユフェール「ハープ・ソナタ」とヒンデミット「ハープ・ソナタ」が収録されており、4には吉松隆「ライラ小景」とケージ「ある風景の中で」とウィリアムズ「ヒラエス(郷愁)」が収められています。
6は、どの曲も魅力的だなと思えるものであり、一気に聴き通します。カゼッラを除いて全てフランスの作曲家であり、収録曲の全てが20世紀前半に書かれています。青葉台のフィリアホールで吉野さんの演奏によるヒンデミット「ハープ・ソナタ」を聴いた時に強く感じたことですが、現在のハープを発展させたのはフランスなのかな、と思えてきます。さらに聴き込んでいくと、私の好みではこの曲がよい、と書くことができるでしょう。
歴史をよく知らないのですが、フランスの作曲家たちがハープに貢献したと考えられるエピソードもあります。ドビュッシーはプレイエル社が開発したクロマティック・ハープのために「神聖なな舞曲と世俗的な舞曲」を作曲していますし(但し、このタイプのハープは結局のところ普及しないままに終わりました)、ラヴェルは、現在の主流であるペダル付きハープの優位を示したいエラール社から依頼を受けて「序奏とアレグロ」を作曲しています。
フィリアホールやサントリーホールでのコンサートに行く度に、吉野さんの演奏そのもの、そして演奏する曲の範囲の広さに感心しており、とくに現代音楽への目を見開かせられる思いがします。だからコンサートへ行ったりCDを買ったりするのです。
そう言えば、2019年度にはよくコンサートへ行きました。そのことについては「映画館でスマートフォンを操作する?」で記しましたが、追加すると、同年12月7日にフィリアホールで行われた三浦友里枝さんの「ドビュッシー・ピアノ作品全曲演奏会第1回」、2020年1月11日にフィリアホールで行われた「ニューイヤー・ガラ2020『モーツァルト饗宴』」(横山幸雄さんとN響メンバー)、同年1月19日にフィリアホールで行われた「フィリアホール ミュージックアカデミー・プログラム 渡辺玲子×小林美恵×近藤嘉宏 V(ヴァイオリン)&V(ヴィルトゥオーゾ)!~ふたつのヴァイオリンが描く華麗なる音絵巻」(名前の通り、渡辺玲子さんと小林美恵さんのヴァイオリン、近藤嘉宏さんのピアノ、そして浦久俊彦さんがナヴィゲーター)、同年2月15日にフィリアホールで行われた木嶋真優さんとイリア・ラシュコフスキーさんのコンサート、そして同年2月22日にサントリーホールの大ホールで行われたアンネ・ゾフィー・ムターさんの「ベートーヴェン生誕250周年記念」コンサートに行きました。実は同じ日にサントリーホールのブルーローズで吉野さんのコンサートも開かれていたのですが、ムターさんのほうの開演時間と吉野さんのほうの閉演時間が重なっており、両方を掛け持ちで見ることは実質的に不可能でした(途中からというのは嫌ですから)。
しかし、COVID-19の感染が拡がり、2020年3月から次々とコンサートが延期または中止となりました。私はフィリアホールへよく行くこともあって、同年3月7日に予定されていた千住真理子さんの「イザイ無伴奏ヴァイオリン作品全曲演奏会」(青葉区制25周年記念コンサート)などへ行く予定を立てており、チケットの予約も済ませていましたが、パンデミックはすぐに収束しないことを理解していましたので、払い戻しなどの手続をしました。仕事のことなどを考慮するとコンサートに行く気がしなくなり、時々CDを買う程度で済ませるようになりました。YouTubeでクラシックの名演などを聴くこともありますが、乱暴な形でCMが入って「TVと同じかそれよりひどい」と気を殺がれることもあります。さりとてFMでは、FM東京やJ-WAVEなど民放FMはもとより、NHK FMでも無駄なおしゃべりが長い番組があります。実際、1980年代の「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」の中継では、NHK-FMは番組開始から終了まで余計なアナウンスなどがなかったのに対し、FM東京では15分以上も無駄なおしゃべりと馬鹿笑いが続き、いつまで経っても演奏を聴けそうにないので、腹が立って消しました。今も大学の生協などで流れているのを聴くと相変わらずのようです。これではラジオ離れも当然でしょう。
「馬鹿! iTunesなどからダウンロードすればいいだろう!」と言われそうです。私も何度か曲を購入しました。しかし、ファイルの性質によるためか、音質が今ひとつです。また、ノートンインターネットセキュリティでクリーン機能を使うと音楽ファイルまで消してくれることがあるので、ダウンロードをする気になれないのです。
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