ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

ここに六本木WAVEありき

2011年11月06日 16時45分09秒 | まち歩き

 昨日(11月5日)、妻の買い物に付き合い、1年半ぶりに六本木ヒルズへ行きました。自由が丘から東横線に乗り、中目黒からそのまま東京メトロ日比谷線に入って六本木駅で降りたのですが、この駅を利用したのが10何年ぶりです(20年ぶりくらいかもしれません)。六本木は渋谷からも近いのですが、めったに足を運びません。昨年(2010年)も2回訪れただけです。

 この街に行かなくなったのには理由があります。1999年12月25日を最後に六本木WAVEが閉店したからです。私が閉店を知ったのはその年の大晦日で、最後に行ったのは10月であったと記憶しています。

 文化人などの評価も高く、私も高校1年生の時から毎月1度は必ず行っていたWAVEが六本木からなくなって、行く理由もなくなりました。その頃にはつまらない街になっていたということもあり、10年以上、この街に足を向けることがなかったのです。そして今年、CD販売の企業であるWAVEそのものがなくなりました。

 六本木WAVEは、東京メトロ六本木駅のすぐそば、現在の六本木ヒルズの辺りにありました。1枚目の写真を御覧下さい。右側がかつての東日ビルで、現在は六本木ヒルズノースタワーとなっています。ここの地下に誠志堂書店東日ビル店がありました。六本木交差点にあった本店よりも品揃えが良かったのですが、現在はどちらもありません。

 そのすぐ左手前に画材店のLAPISがあります。駐車場の入口の上です。この店にも良く行きました。昨日、久しぶりに入りましたが、良い意味で変化がなかったのはうれしい限りです。

 そして、手前から奥、首都高速3号線の下の六本木通りに伸びる道路があります。ここに六本木WAVEがありました。店舗は独特の色の建物の中で、1階には音具、ヒーリング・ミュージックや効果音などのCDのコーナーがあり、雨の木という喫茶店もありました。2階が日本のポップスやレコード針、カセットテープなどのコーナー、3階がロックやワールドミュージック(WAVEの強みがこの分野にありました)、4階がクラシック(モーツァルトハウスなるコーナーもあり)、ジャズ、ヴィンテージのレコード、そして書籍などの売り場であるアール・ヴィヴァンがありました。私はいつも4階へ行くのですが、何故かエスカレーターが上りしかなかったのを覚えています。5階から上は映像スタジオが入っていたはずです。そして地下に伝説の映画館、シネ・ヴィヴァンがありました。

 コーナーの面積は渋谷のタワーレコードやHMV(2010年8月22日を最後に閉店)などより狭いのですが、質は非常に高く、この店でなければ手に入らないようなものもたくさんありました。わかる人は少ないかもしれませんが、棚を見ていると「あまり知られていないけど、こんな面白い音楽もあるんだよ」という揃え方をしていたのです。それも、とくに説明が書かれた紙などがなくても、あたかも商品そのものが語りかけてくるような感じが出るような陳列の仕方です。これはタワーレコードにもHMVにもディスクユニオンにもないものでした。このブログでも紹介したKEES HAZEVOET / HAN BENNINK, "Calling down the Flevo Spirit" (Snipe 7678)、ICP 015、FMP 0130(などFMPの多く)、マイナーながら傑作のレコードを買うことができたのはうれしい限りです。こうして、高校時代から大学院生時代まで、私は六本木WAVEで何枚もLPやCDを買いました。

 それだけに、閉店はショックでした。せめて12月25日以前に知りたかったのですが、当時、私は大分大学教育福祉科学部の講師で、東京の情報を入れられない状況にありました。タワーレコードやHMVなどに行くようになりましたが、WAVEほど面白くないと感じ、店でCDを探す時間が短くなりました。WAVEでは2時間くらいいるのが当たり前で、4時間くらい、ただ棚の商品を見ていることも多かったのです。

 さて、現在の街の話に戻りましょう。再開発→六本木ヒルズにより、この辺りの道路がかなり変わっています。WAVEがあった場所を通る道路を、今度は六本木ヒルズノースタワー側から見ます。手前の左側がラピスで、奥にメトロハットが見えます。以前、たしかブリジストンかどこかの社宅もありましたし、CNNの日本支社もありました。

 六本木に来ると必ず立ち寄る店がもう一つあります。青山ブックセンター(ABC)六本木店です。ここは美術関係や建築関係を中心となっており、店の構造といい、品揃えといい、かなり個性的な書店です。また、かつては朝の5時まで営業していたことでも有名で、六本木で夜を遊び過ごした者たちが店で時間をつぶし、5時8分発の日比谷線北千住方面始発電車(東武動物公園行き)を待っていたのです。高校生時代の私は、この店で植草甚一スクラップ・ブック(晶文社)を知り、ジャズ関係の本はほとんどここで買いました。最近は文学系、思想系や社会学系などにも強くなったようで、昨日は思潮社刊行の『ブランショ 不可能性の彼方へ 現代詩手帖特集版 ブランショ1978』などを買いました。惜しむらくは、芸術関係以外の洋書に弱いことでしょうか。


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