ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

ようやく、西武安比奈線が廃止される

2016年02月10日 23時27分24秒 | 社会・経済

 地元の川越市民の方々はともあれ、西武安比奈線を御存知の方は少ないと思われます。このように記す私は、西武鉄道の、現在営業中の全路線を利用したことがありますが、安比奈線だけは利用したことがありません。それもそのはず、この路線は貨物専用路線である上に、1963年以来、休止されているのです。

 〔休止の年について、ウィキペディアでは1967年と書かれているのですが、朝日新聞社が今日の21時33分付で「休止扱い半世紀…安比奈線、ついに廃止へ」(http://www.asahi.com/articles/ASJ2B6223J2BUTNB014.html?iref=com_rnavi_arank_nr04)として報じたところでは1963年となっています。日本経済新聞社が今日の18時半付で「西武HD、安比奈線の廃止決定 半世紀の謎に決着 関連で減損126億円」(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL10HJ9_Q6A210C1000000/)として報じているところでも「西武HD広報によると『1963年に休止になった』という」と書かれています。そこで、このブログでは1963年としておきます。〕

 安比奈線は、西武新宿線の終点である本川越駅の一つ手前、南大塚駅から、川越市内の安比奈駅まで、3キロメートルほどの単線の路線ですが、何冊かの書籍に掲載されている写真を見たところ、所々で線路は寸断されており、実質的に廃線と同様の状態です。元々、入間川河川敷から採取された砂利を運搬するための路線だったのですが、河川敷からの砂利採取が禁止されたことなどから、安比奈線は休止されてしまいます。それから半世紀以上が経過し、ようやく廃止されることとなった訳です。これは、休止の期限が今年の11月末となっているためで、これを機会として、ということです。

 用途がなくなったのであれば即座に廃止すればよいようなものですが、休止としたことには何かの理由があったのでしょう。休止となってから20年以上が経過した1987年になって、安比奈駅周辺に車両基地を建設するという計画が明らかになりました。300両〔10両編成なら30本、8両編成なら37本(+4両編成1本)、6両編成なら50本)を停めておくことができる規模の車庫を作ろうという訳です。これは西武新宿線の系列(拝島線や国分寺線なども含む)の輸送増強計画にもつながるものでしょう。

 しかし、バブル経済が崩壊し、車両基地建設計画は実現されないままに終わりました。実際に、西武新宿線の系列の輸送量も減少に転じます。一説には、単に車両基地を建設するだけでなく、安比奈線を通勤路線として復活させるという案もあったそうですが、水泡に帰してしまいました。こうなると、休止を続ける意味がなくなります。先程も記しましたが、実際のところ、休止が長すぎたためなのか、線路が寸断されている箇所がありますし、架線柱に蔦などが複雑に絡み合ったりしていることを示す写真も存在しているくらいですから、相当に荒廃していたことでしょう。復活するにも多額の費用を要することとなります。

 西武HDは、今日発表された決算に、特別損失としておよそ126億円を計上しています。これは、安比奈線の休止期間中に投資された用地などの費用の分であるようです。線路や架線柱なども撤去されるでしょう。


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