私が担当している講義「法学特殊講義2A」のレポート課題で、直接消費税と間接消費税との区別について出題しました。
指定した教科書[石村耕治編『税金のすべてがわかる現代税法入門塾』〔第11版〕(2022年、清文社)]、その他の租税法や財政学の教科書を読めばすぐにわかると思うのですが、誤答が続出しました。
誤答の多くは、タイトルに示したように、直接消費税と間接消費税との区別を、直接税と間接税との区別と勘違いしたものでした。そのため、直接消費税として所得税、法人税、相続税があげられる始末です。所得税、法人税、相続税が消費税に分類される訳がありませんので、直接税と勘違いしたのでしょう。実際、直接税と間接税との区別について書いていたレポートが少なくないのです。
ここで説明をしておきましょう。
直接消費税は、直接的に消費行為を課税対象とするものをいいます。代表例はゴルフ場利用税や入湯税です。過去に存在した古都文化観光税(奈良県。奈良地判昭和43年7月17日行集19巻7号1221頁も参照してください)や古都保存協力税(京都市。京都地判昭和59年行集35巻3号353頁も参照してください)も、直接消費税の一種です。直接消費税の納税義務者は消費行為を行った者ですが、物品またはサーヴィスの提供者が徴収納付義務者として、課税主体に代わって徴収を行い(料金と一緒に)、その徴収した税を課税主体に納付するのです。
一方、間接消費税は、直接的に消費行為を課税対象とするのではなく、資産の譲渡などを課税の対象とするものであり、税負担が最終的に消費者に転嫁されることが予定されている税をいいます。代表例が消費税法に規定される消費税や地方消費税、酒税、たばこ税です。消費行為を行った者、つまり消費者が納税義務者とならない点において、直接消費税と異なります(但し、輸入取引の消費税の場合は別です)。間接消費税の納税義務者は、税目によって異なりますが、話を物品に限りますと物品の製造者、引取者または販売者となります。
教科書などはしっかりと読みましょう。その上で、レポートを書く際には、予め、メモを取るなり何なりをしておきましょう。
消費税ということで言えば、ややこしい言葉遣いがあるのも事実です。その代表が不課税取引と非課税取引です。講義の場でも「不」と「非」とは違うと言いました。不課税取引のことを課税対象外取引とも言いますので、不課税取引という言葉を使わないほうがよいのかもしれませんが、何故かよく使われるのです。
念のために説明しておきますと、不課税取引(課税対象外取引)は当初より消費税の課税対象から外されている取引のことを言います。これに対し、非課税取引は、本来なら課税対象取引であるもののうち、消費税法第6条に規定されるもの(第1項:別表第一、第2項:別表第二)のことです。
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