2020年のCOVID-19によって、国会や地方公共団体の議会に様々な問題があることが表面化しました。その一つが、オンライン会議の応用であるオンライン議会の実現が困難であることであることです。法律の解釈の問題があったからですが、即時的な対応ができなかったのも事実です。
そして、オンライン会議は、感染症の流行という事態に対処するためだけでなく、何らかの事情によって会議場に足を向けることができない人であっても会議に出席できるようにするものであることが理解されてきました。実際に、業種によってはオンライン会議(併用を含みます。以下も同様です)の活用が進んでいます。
このように記したのは、朝日新聞2025年3月6日付朝刊19面14版(神奈川、川崎版)に「オンライン出席 市議会委可能に 川崎 育児・介護などで」という記事が掲載されているからです。朝日新聞社のサイトには、同日11時0分付で「育児、介護でもオンラインで委員会出席可 川崎市議会が条例改正へ」(https://digital.asahi.com/articles/AST3540XHT35ULOB00CM.html?iref=pc_preftop_kanagawa)として掲載されています。
実は、川崎市議会については既にオンライン開催が可能であるようにされています。川崎市議会委員会条例には「委員会開催の特例」と見出しが付けられた第13条の2があり、次のように定められています。
同第1項:「委員長は、新型コロナウイルス感染症その他重大な感染症のまん延を防止するために必要があると認める場合又は大規模な災害の発生等により委員会を招集する場所に参集することが困難であると認める場合は、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法(以下「オンラインによる方法」という。)を活用した委員会を開催することができる。」
同第2項:「委員は、前項の場合において、オンラインによる方法により委員会に出席することを希望するときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならない。」
同第3項:「前項の許可を得て委員会に出席した委員は、次条、第15条第1項及び第29条の出席委員とする。」
同第4項:「オンラインによる方法を活用した委員会の開催方法その他必要な事項は、議長が別に定める。」
現在は、川崎市議会の委員会をオンラインで開くことができる場合、またはオンラインで出席できる場合は、重大な感染症または大規模災害の発生に限られている訳です。しかし、川崎市議会の女性議員が組織する「女性議員ネットワーク会議」は、2024年7月に、委員会へのオンライン出席について柔軟な対応を求める提言書を、市議会議長に提出していました。ようやく、今月開かれている市議会において、川崎市議会委員会条例の改正が行われることになりました(他の条例などの改正かもしれません)。3月5日に開かれた議会運営委員会で決められました。
改正案は、上記記事の表現を借りるならば「妊娠や育児、介護、病気、けがを理由に市議がオンラインで委員会に出席できるようにする」というものです。現在、川崎市議会では定例会が開かれており、その最終日である3月19日に改正案を議決するとのことです。おそらく、全会一致か賛成多数で可決されるでしょう。
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