ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

割引の意味がわからない 本当のことか?

2023年09月22日 00時21分20秒 | 受験・学校

 たまたま見つけた記事です。Business Journalに、2023年9月20日の18時10分付で「『千円の2割引き』解けず…大学生の数学の学力低下が深刻、実社会で被る不利益も」という記事(https://biz-journal.jp/2023/09/post_359411.html)が掲載されていました。

 目を疑いました。次のように書かれていたからです。

 「少し前に大学の非常勤講師をしていたという人がX(旧Twitter)上に投稿した内容が一部で話題を呼んだ。それによれば、ある大学で学生の学力把握のために初回講義で簡単なプレテストを実施したところ、『1000円の2割引きはいくらですか』という問いに答えられない学生が多数いたというのだ。解答のなかには、『1000−2=998円』『1000÷2=500円』といった驚くべき誤答もあったとのこと。このほか『時速4kmで2時間進むと、何km進みますか』という問題では、多くの学生が『はじきを忘れたので、解けません』として答えられなかったという。

 これではまともに生活できないのではないかな、と思いました。

 夕方、近所のスーパーマーケットに行き、値引きシールが貼られるのを待ち、貼られたものを買う。こういうようなことをしていれば、2割引、20%引きの意味くらいわかるだろう。そういう生活をしたことのない、或る意味でうらやましい人なのかな。

 記事を読んでいて、少しピントが外れているような気もすると考えたのは私だけでしょうか。数学、算数の問題というより、生活体験の問題であるような気もするからです。

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東武50070系(型)51072F

2023年09月19日 00時00分00秒 | 写真

発車サイン音が大東文化大学の校歌の一部になった高坂駅(TJ28)にて、Fライナー快速急行元町・中華街行きの東武50070系の51072Fを撮影しました。

 2023年3月のダイヤ改正の前は、Fライナーと言えば急行でした。改正後のFライナーは快速急行で、東上線での停車駅は、和光市、朝霞台、川越、川越市、霞ヶ関(東京の霞ヶ関駅とは全く別の駅です)、鶴ヶ島、若葉、坂戸、北坂戸、高坂、東松山、森林公園です。改正前のFライナーは志木、ふじみ野にも停車していましたので、利便性は低下したかもしれません。

 但し、Fライナーが東京メトロ副都心線では急行、東急東横線および横浜高速鉄道みなとみらい線では特急である点は、2023年3月のダイヤ改正後も変わりがありません。

 東上線に話を限ると、2023年3月のダイヤ改正によって東上線の運行形態は大きく変わりました。準急が上板橋駅にも停車するようになったこと、急行が朝霞駅にも停車することになったこと、改正前は4両編成のワンマン列車の運行区間が小川町駅〜寄居駅であったのが森林公園駅〜寄居駅になったこと、快速が廃止されたこと、などです。ただ、種別の整理があまり進められなかったことは否定できません。川越特急の廃止は課題として残ってしまいました。

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和光市駅で相鉄20000系を(続)

2023年09月18日 20時40分00秒 | 写真

和光市駅止まりの各駅停車が2番線に入ってきました。見ると、相鉄20000系20101Fでした。

相鉄の車両は東武東上線に入りません。和光市駅の北側にある電留線に向かって走って行きます。

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買い換えようか

2023年09月14日 23時45分00秒 | デジタル・インターネット

 iPhone15が発表されました。

 2021年5月1日からiPhone12を使っていますが、13、14を飛ばして、15に買い換えようかな、などと考えています。

 私は、iPhone12をコンパクトデジタルカメラの代わりとしても使っています。それだからこそ、気になっている訳です。

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金剛自動車のバス路線を近鉄バスと南海バスが引き継ぐか

2023年09月13日 15時40分00秒 | 社会・経済

 今日、第二次岸田第二次改造内閣が発足しました。政策の基本線はこれまでと変わらないでしょうが、各論でならば路線の修正もありうるところでしょう。状況に上手く対応できるように政権を運営していただきたいものです。

 さて、このブログで金剛自動車が路線バス事業から撤退することを取り上げましたが、その続報がありました。読売新聞社が、今日(2023年9月13日)の10時45分付で「12月で全路線廃止の金剛バス…沿線の4市町村、近鉄・南海バスに運行引き継ぎを要請」として報じています(https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230913-OYO1T50007/)。

 記事によると、富田林市、河南町、太子町および千早赤阪村は、12月20日をもってバス事業の廃止を表明している金剛自動車のバス路線について、近鉄バスと南海バスに運行を引き継ぐように要請したとのことです。4市町村が具体的なバス会社をあげた訳ではなく、近鉄バスおよび南海バスが読売新聞の取材に応じて明らかにしたとのことです。

 今後、おそらく「地方公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく法定協議会が開かれ、国、大阪府も参加して、検討が行われることでしょう。近鉄バスと南海バスが引き受けるか、受けるとすれば妥当なところですが、両社の事情もありますから、どうなるかはわかりません。また、引き受ける場合には運行形態、路線の割り振りなどが協議されることとなります。

 記事を読んだ瞬間には、エリアからすれば近鉄バスおよび南海バスが妥当なところであると思いましたし、前に記事を書いた時にもそのように考えたのですが、両社がどのような路線を運営しているのかが気になったので、サイトを検索して路線図を見ることとしました。

 まず、近鉄バスです。金剛自動車がターミナルとしている富田林駅および喜志駅の発着となる路線はあるのですが、近鉄バスの場合は富田林駅北口または喜志駅西口から北側または西側、近鉄南大阪線や南海高野線のほうに向かう路線となっています。これに対し、金剛自動車の場合は富田林駅南口または喜志駅東口から南側または東側に向かう路線となっています。また、近鉄バスには、上ノ太子駅の発着となるバス路線がありません。上ノ太子駅が近鉄南大阪線の駅であるとはいえ、近鉄バスのエリアではないということです。敢えて記すなら、金剛自動車は上ノ太子駅から喜志駅までを結ぶ路線を運行していますので、これが近鉄バスとの接点ということになるでしょうか。

 次に、南海バスです。富田林駅、喜志駅、上ノ太子駅のいずれも南海バスのエリアではありません。千早赤阪村が運行していたロープウェイの付近で南海バス河内長野営業所の所管路線と金剛自動車の所管路線が重なる所があり〔より具体的には千早大橋バス停から金剛山ロープウェイ前(南海バス)または千早ロープウェイ前(金剛自動車)〕、千早赤阪村の一部は南海バスのエリアであると言えます。この他、富田林市も南海バスのエリアですが、太子町および河南町は南海バスのエリアではありません。

 近鉄バスおよび南海バスの乗務員事情はわかりませんが、金剛自動車のバス路線を引き受けるとしても、運行本数が減らされるかもしれません。

 一方、上記読売新聞社記事には、金剛自動車の状況が書かれています。2009年度から赤字が続いており、COVID-19の影響もあって2020年度からの3年間で計2億円ほどの赤字を計上したとのことです。また、乗客数は、2013年度には約172万人でしたが2021年度には約106万人となっています。

 9月11日にはわからなかったのですが、金剛自動車は、今年の2月に大阪府、富田林市、太子町、河南町および千早赤阪村に対して補助金の交付を要望したとのことです。勿論、経営状況の説明もなされています。しかし、詳細は書かれていないものの、何の展開もないまま4月になり、同社は近畿運輸局に対して相談をしたそうです。内容は11月での全廃です。記事には「廃業」と書かれていますので、金剛自動車はバス事業およびタクシー事業をやめ、会社の解散を検討したのでしょう。実際に、6月末日をもってタクシー事業から撤退しており、現在は路線バス事業のみを行っています。

 5月に入ってから、金剛自動車は富田林市、太子町、河南町および千早赤阪村と話し合いをしたようです。この段階では路線バス事業の継続が念頭に置かれており、6月には補助金の交付という話も出たようです。しかし、金剛自動車は「運転手確保や車両更新などの設備投資も考慮し、手遅れだと判断」して「近畿運輸局に対し、改めて12月21日以降はバス事業を廃止する方針を伝えた」とのことです。

 結局、法定協議会のようなものはこれまで行われなかったということでしょう。法的にどうなのかとは思うのですが、会社としては年内の事業廃止、そして解散を考えているということでしょう。金剛自動車のバス路線網が完全に維持されるのか、廃止路線も出てくる可能性があるのか、現段階では何とも言えませんが、利用者の立場であれば維持されることが望ましいのはいうまでもありません。

 

 なお、このブログでは、路線バス事業の廃止につき、「井笠鉄道が事業を廃止、そして会社清算へ」、「井笠鉄道事業廃止の続報」および「路線バス会社が経営破綻」として記事を掲載しております。併せてお読みいただければ幸いです。

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平瀬第一踏切にて

2023年09月12日 00時00分00秒 | 写真

 川崎市の宮前区および麻生区を除く全区を走り抜けるJR南武線は、首都圏でも混雑率が非常に高い路線であることでも知られています。その南武線の武蔵溝ノ口駅と津田山駅との間に、平瀬第一踏切があります。

 各駅停車川崎行きのE233系8000番台N13編成が通過していきます。

 南武線の車両は鎌倉車両センター中原支所(旧中原電車区)に所属しています。もう少し詳しく記すならば、南武線の川崎駅から立川駅までの区間で運用されるE233系8000番台および8500番台、同線の尻手駅から浜川崎駅までの区間(浜川崎支線。国鉄時代には浜川崎線とも案内されていました)および鶴見線で運用される205系などが、鎌倉車両センター中原支所に所属しているのです。なお、2023年度中に、南武線の尻手駅から浜川崎駅までの区間にE127系が投入されることが、JR東日本から発表されています。

 JR東日本の車両であることから、車体には横ナハと書かれています。横は横浜支社を意味します。また、ナハは中原の電略記号です。現在の南武線は、矢野口駅から立川駅までの区間が八王子支社の管轄であり、川崎駅から稲田堤駅までの区間および尻手駅から浜川崎駅までの区間が横浜支社の管轄となっていますが、国鉄時代には武蔵小杉駅から立川駅までの区間が東京西鉄道管理局の管轄であったため、車体には西ナハと書かれていました。

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金剛自動車が全路線バスを年内に廃止

2023年09月11日 22時10分00秒 | 社会・経済

 Yahoo! Japan Newsに掲載されていたのを見て驚きました。朝日新聞社のサイトに、今日(2023年9月11日)の15時49分付で「大阪の金剛自動車、路線バス全路線を12月で廃止 運転士不足などで」(https://digital.asahi.com/articles/ASR9C4WF2R9COXIE01N.html)という記事が掲載されていたのです。

 金剛自動車は、大阪府の富田林市に本社を置き、同市や南河内郡(太子町、河南町および千早赤阪村)にバス路線に展開しています。上記朝日新聞社記事によれば富田林駅や喜志駅(いずれも近鉄長野線)をターミナルとする旨が書かれていますが、羽曳野市にある上ノ太子駅(近鉄南大阪線)からのバス路線もあります。近鉄の系列会社かと思いきや、どこの大手私鉄の傘下にもない独立系のバス会社であるとのことです。

 その金剛自動車は、5月に富田林市などに対して路線バスの廃止の意向を伝えており、6月には富田林市長などとも協議したようです。上記朝日新聞社記事にも金剛自動車のサイトにも明確には書かれていない重要な事項で、法律との関連で非常に気になる点があるのですが、このことについては後に取り上げます。

 上記朝日新聞社記事には書かれていませんが、金剛自動車はタクシー事業も行っていました。しかし、同社のサイトを見ると「金剛タクシー 事業廃止のお知らせ」(http://kongoujidousha.com/timetable_management_system/pdf_file/%E5%96%B6%E6%A5%AD%E5%BB%83%E6%AD%A2%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B%E3%80%80%E7%B8%A6.pdf)があり、「昭和12年に開設いたしました金剛タクシーは、令和5年6月30日をもちまして 事業を廃止することとなりました」と書かれています。また、2020年4月14日に一般貸切旅客自動車運送事業(貸し切りバスのこと)を廃止しています。

 こうして、現在はバス事業のみが残っているのですが、結局、全路線の運行が12月20日に終わると発表されることとなりました。金剛自動車が発表したのは今日で、同社のサイトに、今日付、代表取締役の名で「バス事業廃止のお知らせ」(http://kongoujidousha.com/pkobo_news/upload/78-0link_file.pdf)が掲載されています。一部引用しておきます。

 「弊社は長年、路線バス事業を続けてまいりましたが、乗務員の人手不足・売上の低下等様々な要因もあり、あらゆる可能性も慎重に検討いたしましたが、このたび令和5年12月20日をもってバス事業の廃止することを決定いたしました。

 令和5年12月21日以降の運行に関しましては、各市町村(富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村)の地域公共交通会議及び法定協議会にて協議してもらえるように依頼しております。

 令和5年12月21日以降の運行に関する情報につきましては、分かり次第、随時お知らせいたします。」

 運転士不足などについては、上記朝日新聞社記事にも「同社によると、8月の平日利用者数は全路線で計約2600人で、通勤や通学などの足になっている。昨年秋ごろから運転士の退職が増え、求人をしても集まらない状況で、数年前に比べてほぼ半減の状況という。売り上げも新型コロナ感染拡大前と比べて落ち込んでおり、路線バス事業の廃止を決めたという」と書かれています。平日の利用者数が多いのか少ないのかについては、正直なところよくわかりませんが、金剛自動車のバス路線は15系統あり、そのうちの1系統は休止中とのことですから、あまりに単純な計算によれば1系統あたりの平日利用者数は約185人(小数点以下切り捨て)となります。実際には系統によって繁閑の差があるでしょうが、区間によっては空気輸送になっている可能性もあります。

 金剛自動車のサイトによる限り、現在はバス事業以外の事業を行っていないようなので、会社は解散することになるのでしょうか。

 2023年12月20日をもって路線バス事業を廃止するということになれば、定期券や回数券はどうなるのでしょうか。金剛自動車のサイトには、今日付で(但し、文書には書かれていません)「定期券・回数券の取扱いについて」(http://kongoujidousha.com/pkobo_news/upload/79-0link_file.pdf)が掲載されています。次のように書かれています。

「定期券の発売において令和5年12月21日より使用出来ませんので有効期間12月20日までの発売となります。

 ◎3ケ月定期券の発売について

 令和5年9月20日までの発売となります。

 令和5年9月21日以降は1ケ月定期券のみの発売となります。

 ◎1ケ月定期券の発売について

 令和5年11月20日までの発売となります。」

 「回数券は令和5年12月15日までの発売となります。」

 「令和5年12月1日以降の払い戻しの手続きに関しては、払い戻し手数料は掛かりません。」

 利用客にとっては突然の出来事であったのでしょうか。上記朝日新聞社記事には「仕事や買い物でほぼ毎日バスを利用しているという女性(76)」の声として「50年バスに乗ってきました。廃止されたら仕事に行けなくなる。他の事業者が入ってくれたらありがたい」という言葉が掲載されています。この方は、おそらく勤務先から「バスで20分かかるところに住まいがあ」るとのことです。これでは、自家用車を運転しないしない人にとっては職場に通えないということになりかねません。また、金剛自動車のバス路線が全廃されてしまうと、富田林市の東部から公共交通が消えてしまうことになってしまうとのことですし、大阪府で唯一、過疎市町村に指定されている千早赤阪村でも一層の過疎化、住民の減少につながるということで危機感が募っているようです(千早赤阪村には南海バスも運行されていますが、南海バスの路線図を見る限り、南部しか通っていません)。さらに、上記朝日新聞社記事などには書かれていませんが、太子町には金剛バスおよび太子町コミュニティバスしかなく、河南町に至っては金剛バスしかありません。

 もう気になっている方もおられるでしょう。先に引用した金剛自動車の「バス事業廃止のお知らせ」に「令和5年12月21日以降の運行に関しましては、各市町村(富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村)の地域公共交通会議及び法定協議会にて協議してもらえるように依頼しております」、「令和5年12月21日以降の運行に関する情報につきましては、分かり次第、随時お知らせいたします」と書かれていることです。

 富田林市、太子町、河南町および千早赤阪村は、これから代替事業者を探して具体的な交渉に入るとのことですが、金剛自動車は、後のことはともあれ路線バス事業を全廃しようということにした訳です。「これは一体どういうことなのか」と思われるでしょう。私もそう思いました。ここで、先に記した「上記朝日新聞社記事にも金剛自動車のサイトにも書かれていない重要な事項で、法律との関連で非常に気になる点」が関わってきます。

 道路運送法第15条の2は、次のように定めています。

 第1項:「路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者は、路線(路線定期運行に係るものに限る。)の休止又は廃止に係る事業計画の変更をしようとするときは、その6月前(旅客の利便を阻害しないと認められる国土交通省令で定める場合にあつては、その30日前)までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」

 第2項:「国土交通大臣は、一般乗合旅客自動車運送事業者が前項の届出に係る事業計画の変更(同項の国土交通省令で定める場合における事業計画の変更を除く。)を行つた場合における旅客の利便の確保に関し、国土交通省令で定めるところにより、関係地方公共団体及び利害関係人の意見を聴取するものとする。

 第3項:「国土交通大臣は、前項の規定による意見の聴取の結果、第1項の届出に係る事業計画の変更の日より前に当該変更を行つたとしても旅客の利便を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨を当該一般乗合旅客自動車運送事業者に通知するものとする。」

 第4項:「一般乗合旅客自動車運送事業者は、前項の通知を受けたときは、第一項の届出に係る事業計画の変更の日を繰り上げることができる。」

 第5項:「一般乗合旅客自動車運送事業者は、前項の規定により事業計画の変更の日を繰り上げるときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

 第6項:「一般乗合旅客自動車運送事業者は、第1項に規定する事業計画の変更をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。」

 また、道路運送法第38条は「事業の休止及び廃止」の見出しの下、次のように定めています。

 第1項:「一般旅客自動車運送事業者(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者を除く。)は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、その30日前までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」

 第2項:「路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、その6月前(利用者の利便を阻害しないと認められる国土交通省令で定める場合にあつては、その30日前)までに、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

 第3項:「第15条の2第2項から第5項までの規定は、前項の場合について準用する。」

 第4項:「一般旅客自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。」

 金剛自動車の場合は、路線バス事業の全てを廃止する訳ですから道路運送法第38条が適用されることとなります。先に「5月に富田林市などに対して路線バスの廃止の意向を伝えており、6月には富田林市長などとも協議した」と記しましたので、その間に協議会が開かれ、国土交通大臣による意見聴取が行われたということでしょうか。

 この点について、まずは富田林市のサイトを見てみます。今日付で掲載された「金剛自動車株式会社のバス事業廃止を受けて 市長コメント」(https://www.city.tondabayashi.lg.jp/soshiki/29/95949.html)には「令和5年9月8日付けで富田林市に対しまして金剛自動車株式会社より、令和5年12月20日をもってバス事業を廃止する旨の通知を受けました」と記されており、続いて富田林市の市長のコメントとして次のように書かれています。

 「金剛自動車につきましては、近鉄長野線富田林駅・喜志駅への接続路線として、通勤・通学など日常生活において欠かせない地域住民の移動手段であり、長年にわたり運行していただいた金剛自動車がバス事業を廃止されることは非常に残念であります。今回のバス事業廃止につきましては、市民生活にも大きな影響が懸念されますことから、事業廃止後の代替交通の確保が急務となります。

 当該路線は、富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村に跨る路線であることから、近畿運輸局・大阪府と協議を行い4市町村が広域的に連携し、可能な限り路線維持に努めてまいりたいと考えております。」

 次に、太子町のサイトを見ます。今日付で「金剛自動車株式会社のバス事業廃止を受けて 町長コメント」(https://www.town.taishi.osaka.jp/important/5128.html)が掲載されており、令和5年9月8日付けで太子町に対しまして金剛自動車株式会社より、令和5年12月20日をもって路線バス事業を廃止する旨の通知を受けました」、「金剛バスにつきましては、近鉄長野線喜志駅、近鉄南大阪線上ノ太子駅への接続路線として、地域住民の日常生活において欠かせない移動手段であり、多くのみなさまに利用されてきました。そのため、事業廃止後の代替交通の確保が急務となります。/本町では今後、住民の移動手段を確保するため、地域公共交通会議にて協議を行ってまいります。/また、金剛バス路線につきましては、太子町、富田林市、河南町、千早赤阪村に跨る路線であることから、近畿運輸局・大阪府から助言を受けながら、4市町村が広域的に連携し、可能な限り路線維持に努めてまいりたいと考えております」と記されています(/は原文における改行箇所)。

 続いて、河南町のサイトです。今日付で、河南町役場の総合政策部秘書企画課による「金剛自動車株式会社のバス事業廃止について」が掲載されており(https://www.town.kanan.osaka.jp/material/files/group/1/konngoubasuhaisihpyou.pdf)、「南河内郡河南町は、令和5年9月8日付けで、金剛自動車株式会社から令和5年12月20日をもって路線バス事業から撤退する旨の事業廃止届の提出を受けました。/乗務員不足の深刻化および利用者低迷による経営悪化を受けて、運行を継続することが難しいとのことでした」と書かれており(/は原文における改行箇所)、「町長のコメント」として「金剛バスは、近鉄長野線富田林駅・喜志駅へのアクセスとして、古くから通勤・通学など多くの住民の 皆さまが利用してきた日常生活において欠かせない交通機関であります。/地域の交通機関が廃止されることは、誠に残念であります。/このことは住民生活に大きな影響があり、移動手段の確保が急務と考え、国・府の助言を受け、沿線市町村等関係機関と連携を図りながら、可能な限り路線維持に努めてまいります」と記されています。

 そして、千早赤阪村のサイトです。今日付の 「金剛自動車株式会社のバス事業廃止について」(https://www.vill.chihayaakasaka.osaka.jp/material/files/group/1/20230911.pdf)が掲載されており、「令和5年9月8日付けで千早赤阪村に対しまして金剛自動車株式会社より、令和5年12月20日をもって路線バス事業を廃止する旨の通知がありました」、「金剛バスにつきましては、近鉄長野線富田林駅と本村を結ぶ地域交通として、通勤・通学など日常生活において欠かせない地域住民の移動手段であり、古くか ら多くの方々に利用されてきました。/そのような中、地域の実情に即した輸送サービスなどを協議する地域公共交 通協議会への相談や支援の要請などもなく、事業廃止を決断されたことは誠に遺憾であります。/今後は、事業廃止後の代替交通の確保が急務となります。/金剛バス路線は、富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村に跨る路線であることから、近畿運輸局や大阪府から助言を受けながら、4市町村が広域的に連携し、 可能な限り路線維持に努めてまいりたいと考えております」と書かれています。

 重複をいとわず紹介させていただきました。正式な協議会も何も行われていなかった、と読めるのですが、そういうことなのでしょうか。少なくとも、金剛バスの路線バス全廃以後についての調整が全く行われていなかったことは明確です。富田林市には近鉄バスおよび南海バス、千早赤阪村には南海バスの路線があるのですが、近鉄バスおよび南海バスが金剛バスの路線を継承するのかはわかりません。

 また、金剛自動車が事業の廃止を国土交通大臣に届け出たのかどうかは、上記朝日新聞社記事、金剛自動車、富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村の各サイトにいずれにも書かれていません。道路運送法第15条の2および第38条に定められる原則によれば、廃止の6か月前までに国土交通大臣に届け出なければなりません。従って、6月20日までには金剛バスから国土交通大臣に届出がなされている必要がある訳です。「5月に富田林市などに対して路線バスの廃止の意向を伝えており、6月には富田林市長などとも協議した」結果を受けて届出がなされたのであれば、9月8日になって富田林市などに通知がなされ、今日になって公表されたことは不自然です。6月の下旬、遅くとも7月の上旬には公表されているはずです。

 そうなると、9月に入ってから金剛自動車が事業廃止を国土交通大臣に届け出たということも考えられます。道路運送法第38条第2項には「利用者の利便を阻害しないと認められる国土交通省令で定める場合にあつては、その30日前」までに届出がなされていればよいということになります。

 ここで道路運送法施行規則をみましょう。まずは「一般乗合旅客自動車運送事業の事業計画の変更の特例」という見出しが付けられた第15条の4です。次のように定められています。

 「法第15条の2第1項の旅客の利便を阻害しないと認められる国土交通省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

 一 当該路線において他の一般乗合旅客自動車運送事業者が一般乗合旅客自動車運送事業を現に経営し、又は経営するものと見込まれる場合

 二 当該路線の休止又は廃止について地域協議会(地域住民の生活に必要な旅客輸送の確保に関する協議会であつて、関係地方公共団体の長、地方運輸局長その他の関係者により構成されることその他の国土交通大臣が告示で定める要件を備えるものをいう。以下同じ。)、地域公共交通会議(市町村長が主宰するものにあつては、当該路線が一の市町村の区域内のみにおいて運行しているものである場合に限る。)又は協議会(市町村が組織するものにあつては、当該路線が一の市町村の区域内のみにおいて運行しているものである場合に限る。)において協議が調つた場合

 三 前二号に掲げる場合のほか、旅客の利便を阻害しないと地方運輸局長が認めてあらかじめ公示する場合」

 次に、道路運送法施行規則第25条です。「事業の休止及び廃止の届出等」の見出しの下、次のように定められています。

 第1項:「法第38条第1項の規定により、一般旅客自動車運送事業(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業を除く。)の休止又は廃止の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した事業の休止(廃止)届出書を提出するものとする。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 二 事業の種別

 三 休止又は廃止の日

 四 休止の届出の場合にあつては、休止の予定期間

 五 休止又は廃止する理由」

 第2項:「第15条の4から第15条の11までの規定は、法第38条第2項の規定による一般乗合旅客自動車運送事業の休止又は廃止の届出について準用する。この場合において、第15条の5第1項中『事業計画変更事前届出書』とあるのは『事業の休止(廃止)届出書』と、第15条の11中『事業計画変更繰上届出書』とあるのは『事業の休止(廃止)繰上届出書』と読み替えるものとする。」

 6か月未満での届出として考えるならば、金剛自動車の場合は道路運送法施行規則第15条の4第2号か第3号に該当することとなりますが、近畿運輸局のサイトには公示がなされていないようなので、少なくとも現時点においては第2号に該当することとなるはずです。しかし、地域協議会、地域公共交通会議、協議会のいずれかが開かれたのか、開かれたとして協議が調ったのかは「5月に富田林市などに対して路線バスの廃止の意向を伝えており、6月には富田林市長などとも協議した」ことの意味によるでしょう。あるいは、まだいずれも開かれていないのかもしれません。6月までに届出がなされたとすれば、国土交通省あるいは近畿運輸局のサイトに何らかの情報が掲載されているはずですが、私が参照した限りでは何の情報もありません。

 いずれにせよ、道路運送法や地域公共交通活性化再生法に定められる手続がしっかりと踏まれたのか、事業廃止の届出が既になされたのか、それともこれからなされるのかは、報道などによるところからでは詳細不明であるとしか記せません。その上で、金剛自動車のバス路線の処理について何も決まっていないというのは、地域において十分な意思形成が行われなかったままであることを意味します。調整は難航するのではないでしょうか。あと3か月ほどで、南海バス、近鉄バスなどの事業者が引き受けることになるのか、各市町村でコミュニティバスやオンデマンド交通を採用することになるのかなどを決定しなければならないのです。とくに、河南町には前述のように公共交通機関が金剛自動車のバス路線しかありませんので(同町に大阪芸術大学があり、そのスクールバスが運行されているようですが、学校関係者以外であれば金剛バスしかないということになります)、公共交通機関を一から作り直すことになりかねません。

 それにしても、運転士不足のために路線バス会社が事業の全廃を表明するという事態に至ってしまいました。今後も日本各地で似たような例が続くことも予想されます。

 福井義高教授流に言えば、地方の公共交通は自家用車で十分であるということになりますから、路線バス会社の撤退は当然であり、これを防ぐ必要は全くないということになります。私は、以前記したところからおわかりかもしれませんが、福井教授の考え方には一定の範囲で賛同できます。ただ、福井教授の思想には、故宇沢弘文教授流に記すなら自動車の社会的費用の観点が欠落しているという事実も否めません(あるいは無視されているのかもしれません)。

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JR西日本芸備線について再構築協議会の設置が要請されるか

2023年09月10日 00時00分00秒 | 社会・経済

 昨日(2023年9月9日)付で錦川鉄道錦川清流線の存廃論議を扱いましたが、実は芸備線の話題も一緒に取り上げるつもりでした。錦川鉄道錦川清流線の話が長くなったので、別々にすることとしました。

 このブログにおいて何度かJR西日本芸備線について記してきました。2018年度における芸備線の区間別の平均通過人員が、備中神代駅〜東城駅で73、東城駅〜備後落合駅で9、備後落合駅〜三次駅で196、三次駅〜狩留家駅で765、狩留家駅〜広島駅で8,052となっており、東城駅〜備後落合駅の9というのは、鉄道どころか路線バスでも存在意義を失っているとしか言えません。備中神代駅〜東城駅でも73で、やはり鉄道路線を維持する意味がないものとしか言えないでしょうし、路線バスでもどうなのかと疑いたくなるでしょう。これではJR西日本が芸備線を廃線にしたくなるのも理解できます。

 1980年代の国鉄改革では路線毎に平均通過人員を出しており、区間別にはなっていなかったので、芸備線全体としての平均通過人員で判断されました。実は当時でも芸備線は特定地方交通線に指定される可能性が高かったのですが、除外要件に該当したために鉄道路線が存続したのです。それは、狩留家駅〜広島駅の平均通過人員が高かったことによるのでしょう(また、他の区間でも当時は現在より高い数値が出ていたはずです)。やはり、芸備線が2010年代後半になって存廃論議の対象になったことは当然であると言えます。

 さて、2023年9月8日19時34分付で、日本経済新聞社のサイトに「JR西日本社長、芸備線再構築協議会『10月にも設置要請』」という記事(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF087EE0Y3A900C2000000/)が掲載されており、呼んだ瞬間に「やはり」と思いました。以前から、今年改正された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(以下、地方公共交通法)第29条の3以下(10月1日施行)に規定されている再構築協議会の第1号になるという噂が流れていたからです。

 9月8日、JR西日本の社長が記者会見において芸備線に関する再構築協議会の設置を国土交通大臣に要請する意向を明らかにしました。法文でも「要請」であって「申請」となっているのは、「申請」であれば国土交通大臣がYesかNoかを答える義務を負うのですが、「要請」であれば国土交通大臣がそのような義務を負うことがないからであると考えられます。少なくとも、「要請」のほうが、国土交通大臣の裁量の幅が広くなります。もっとも、芸備線については、地方公共交通法第29条の3第3項各号に掲げられる要件(「大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした地域旅客運送サービスの持続可能な提供が困難であること」および「当該区間に係る交通手段再構築(中略)を実施するためには関係者相互間の連携と協働の促進が特に必要であること」)に該当するのが明らかであると言えるので、再構築協議会が組織される蓋然性は高いでしょう。

 ここまで記してこなかったのですが、芸備線の全区間が再構築協議会の対象になる訳ではありません。対象となるのは備中神代駅〜東城駅および東城駅〜備後落合駅です。備後落合駅〜三次駅が対象にならなかったのは、木次線および福塩線の存在があるからかもしれませんが、備中神代駅〜東城駅および東城駅〜備後落合駅の区間の平均通過人員が低すぎて路線バスに転換してもどうなのかというところからでしょう。ただ、とりあえずという印象も受けます。中長期的には備後落合駅〜三次駅についても再構築協議会の設置が求められるのではないかと予想できます。備後落合駅で接続する木次線、塩町駅で接続する福塩線の府中駅~塩町駅の平均通過人員が低いからです。よくぞここまで放置してきたと感心せざるをえません。

 ブログで鉄道路線の存廃論議を扱い続けていると、或る思いが湧き上がってきます。

 正直なところ、鉄道維持論者などによる「少子高齢化が進む今後の日本には鉄道路線の維持が必要である」という趣旨の論調には、何年も前から疑問を感じています。一見して矛盾した主張であるからです。意味不明な意見であると思われる方も少なくないことでしょう。

 よく、公共交通機関の維持は地域の維持のために必要であるとも言われていますし、高齢化という点だけを取るならばその通りであるとも考えられます。しかし、少子化という点を取るとたちまち「必要論には矛盾や欠陥があるのではないか?」と思われるのです。最近、運転士不足でバスや鉄道の減便というニュースを耳にします。当然のことであり、「鉄道維持論者にはこんな簡単なことも理解できないのか」という疑念が浮かび上がっても不思議ではありません。最近出版された、福井義高『鉄道ほとんど不要論』(中央経済社)は、地域交通について非常に明快です。同書の第4章は「地域交通の主役は『鉄道やバス』ではなく『自家用車』でよい!」と題されています。このブログで福井教授の『鉄道は生き残れるか  「鉄道復権」の幻想』(中央経済社、2012年)を取り上げましたが、福井教授の立場は一貫しており、しかも約11年が経過して一層強化されたと評価することもできます。

 以上の点からしても、「交通権」という考え方には賛同できません(法的権利として成立しえないことについては、私の「交通政策基本法の制定過程と『交通権』—交通法研究序説」(大東法学68号、2017年3月、315頁以下)をお読みください)。かつて主張された「アクセス権」と同様に、あまりにも一方的であって相手方が有する権利を無視するものであるからです。

 「アクセス権」の場合は、相手方の表現の自由、たとえば新聞社にとっての編集の自由を無視するものです。この点について、最二小判昭和62年4月24日民集41巻3号490頁(サンケイ新聞事件)は、次のように述べています(一部の数字を算用数字に改めました。また、太字は引用者によるものです)。

 ・「憲法21条等のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は地方公共団体の統治行動に対して基本的な個人の自由と平等を保障することを目的としたものであつて、私人相互の関係については、たとえ相互の力関係の相違から一方が他方に優越し事実上後者が前者の意思に服従せざるをえないようなときであつても、適用ないし類推適用されるものでない」(最大判昭和48年12月12日民集27巻11号1536頁、最三小判昭和49年7月19日民集28巻5号790頁)。「その趣旨とするところに徴すると、私人間において、当事者の一方が情報の収集、管理、処理につき強い影響力をもつ日刊新聞紙を全国的に発行・発売する者である場合でも、憲法21条の規定から直接に、所論のような反論文掲載の請求権が他方の当事者に生ずるものでないことは明らかというべきである」。

 ・「アクセス権」(判決では「反論文掲載請求権」)を「認める法の明文の規定は存在しない」。民法第723条に基づく、裁判所による「名誉回復処分又は差止の請求権も、単に表現行為が名誉侵害を来しているというだけでは足りず、人格権としての名誉の毀損による不法行為の成立を前提としてはじめて認められるものであつて、この前提なくして条理又は人格権に基づき所論のような反論文掲載請求権を認めることは到底できないものというべきである。さらに、所論のような反論文掲載請求権は、相手方に対して自己の請求する一定の作為を求めるものであつて、単なる不作為を求めるものではなく、不作為請求を実効あらしめるために必要な限度での作為請求の範囲をも超えるものであり、民法723条により名誉回復処分又は差止の請求権の認められる場合があることをもつて、所論のような反論文掲載請求権を認めるべき実定法上の根拠とすることはできない。所論にいう『人格の同一性』も、法の明文の規定をまつまでもなく当然に所論のような反論文掲載請求権が認められるような法的利益であるとは到底解されない」。

 ・「新聞の記事に取り上げられた者が、その記事の掲載によつて名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、自己が記事に取上げられたというだけの理由によつて、新聞を発行・販売する者に対し、当該記事に対する自己の反論文を無修正で、しかも無料で掲載することを求めることができるものとするいわゆる反論権の制度は、記事により自己の名誉を傷つけられあるいはそのプライバシーに属する事項等について誤つた報道をされたとする者にとつては、機を失せず、同じ新聞紙上に自己の反論文の掲載を受けることができ、これによつて原記事に対する自己の主張を読者に訴える途が開かれることになるのであつて、かかる制度により名誉あるいはプライバシーの保護に資するものがあることも否定し難いところである。しかしながら、この制度が認められるときは、新聞を発行・販売する者にとつては、原記事が正しく、反論文は誤りであると確信している場合でも、あるいは反論文の内容がその編集方針によれば掲載すべきでないものであつても、その掲載を強制されることになり、また、そのために本来ならば他に利用できたはずの紙面を割かなければならなくなる等の負担を強いられるのであつて、これらの負担が、批判的記事、ことに公的事項に関する批判的記事の掲載をちゆうちよさせ、憲法の保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存するのである。このように、反論権の制度は、民主主義社会において極めて重要な意味をもつ新聞等の表現の自由(中略)に対し重大な影響を及ぼすものであつて、たとえ被上告人の発行するサンケイ新聞などの日刊全国紙による情報の提供が一般国民に対し強い影響力をもち、その記事が特定の者の名誉ないしプライバシーに重大な影響を及ぼすことがあるとしても、不法行為が成立する場合にその者の保護を図ることは別論として、反論権の制度について具体的な成文法がないのに、反論権を認めるに等しい上告人主張のような反論文掲載請求権をたやすく認めることはできないものといわなければならない。なお、放送法4条は訂正放送の制度を設けているが、放送事業者は、限られた電波の使用の免許を受けた者であつて、公的な性格を有するものであり(同法44条3項ないし5項、51条等参照)、その訂正放送は、放送により権利の侵害があつたこと及び放送された事項が真実でないことが判明した場合に限られるのであり、また、放送事業者が同等の放送設備により相当の方法で訂正又は取消の放送をすべきものとしているにすぎないなど、その要件、内容等において、いわゆる反論権の制度ないし上告人主張の反論文掲載請求権とは著しく異なるものであつて、同法4条の規定も、所論のような反論文掲載請求権が認められる根拠とすることはできない。」

 以上の判旨は妥当なものと理解すべきです。仮に「アクセス権」あるいは「反論文掲載請求権」が認められるならば、相手方が反論文を掲載しなかった場合に公権力を介入させてでも反論文の掲載を無償で行わせることになってしまいます。公権力の介入が無条件に悪いというものではないのですが、正当な理由が求められますし、程度の問題などもある訳です。

 趣旨などは少々異なりますが、実は、「交通権」についても「アクセス権」と同様のことが言えます。「交通権」が法的権利として認められるのであれば、常に、鉄道路線やバス路線などを経営する企業の経営権、営業の自由などと衝突することとなります。その際に「交通権」が経営権や営業の自由などよりも優先すべき理由が問われることとなります。もっとも、こちらの場合、公権力の介入が認められる余地は「アクセス権」と比較して格段に広いのですが(運賃変更についての認可制度を想起してください)、それでも企業が倒産に追い詰められるまでに経営権や営業の自由を侵害してもよいとまでは言えないでしょう。 

 この点については、まだまだ考えなければならない部分がありますので、機会を改めて記すこととします。

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錦川鉄道錦川清流線の存廃論議

2023年09月09日 07時00分00秒 | 社会・経済

 昨日(2023年9月8日)になって、山口県の錦川鉄道について存廃論議があることを知りました。

 錦川鉄道は、旧国鉄岩日線を引き受けて錦川清流線として運行する第三セクターです。もうお気付きであるかと思いますが、岩日線は、1980年代の国鉄改革において第2次特定地方交通線と位置づけられて廃止すべしとされた路線です。そればかりか、1960年代の赤字83線にも名を連ねていましたから、長らくの間、鉄道路線であることの意味が問われ続けてきた路線であることになります。

 元々、岩日線は、大正時代の鉄道敷設法別表第96号において「山口県岩国ヨリ島根県日原二至ル鉄道」(漢字は現在の表記に改めています)として掲げられていたもので、実際には1960年に岩徳線の駅である川西駅から分岐(より厳密には森ヶ原信号場で分岐)して河山駅までが先行開業し、1963年に錦町駅まで延長されました。錦町駅から日原駅(JR西日本山口線)までは岩日北線として工事が続けられていましたが、結局は開業できないままに終わりました。最初から旅客輸送の面で期待されていなかったようで、このことは赤字83線の一つとしてあげられたことからもわかりますし、途中の御庄駅(現在の清流新岩国駅)のすぐそばに山陽新幹線の新岩国駅が開業したにもかかわらず、御庄駅と新岩国駅とは全く別個の駅とされた上に接続も何もされなかったことからも明らかです(この点については、有名な宮脇俊三『時刻表2万キロ』においても取り上げられています)。

 何故に岩日線が建設予定線として法律にも明記されたのか、その理由はよくわかりません。山口線と接続することで陰陽連絡線の役割を担わせようとしたのかもしれませんが、国会図書館に保管されている資料を読んでみなければならないでしょう(但し、デジタルアーカイブで少しばかり他の路線について読んだ限りでは、あまり詳しい説明はなされていないので、岩日線についても同様ではないかと思われます)。もっとも、仮に日原駅までの全線開業が実現したところで、赤字線であることには変わりがなかったようにも思われます。

 岩日線改め錦川清流線は岩国市内のみで運行されていることから、岩国市は2024年度末までに検討を重ね、岩国市長が最終的に判断を下すこととされています。早速、存続運動がスタートしましたが、果たしてどれだけの意味があるのでしょうか。

 よく、乗って残そう、1人が(1か月間に、あるいは1年に?)1回でも多く鉄道を利用して残そう、というようなスローガンが叫ばれ、実践されています。しかし、実際に存続する割合は高くありません。高校生の通学利用が主であり、通勤利用はあまりありませんし、そもそも住民があまり利用しないから鉄道が廃止されるような事態になる訳です。存続運動に関わる人々は、一度、岩国市の公務員である沿線住民(など)が錦川清流線をどの程度利用しているのか調べるほうがよいでしょう。仮に利用率が低いのであれば、沿線自治体が存続を主張する資格は全くありませんし、ましてや第三セクターに出資する資格もありません。このことは、別に錦川鉄道に限らず、どこの鉄道路線についても妥当するでしょう。

 それに、鉄道の存続で錦町地区を元気にしたい旨も唱えられていますが、これについても冷徹に考え、早めに他の交通手段への切り替えを考えたほうがよいかもしれません。鉄道に関しては有名なYouTuberである鐵坊主さんも動画にされていますし、最近出版されたばかりの福井義高『鉄道ほとんど不要論』(中央経済社)でも書かれていることですが、鉄道が廃止されたから地域が衰退する、あるいは衰退に拍車がかかるという命題は証明されえません。標津線が通っていた中標津町の人口は、1986年に21700人でしたが2018年には23500人に増えています(標津線の廃止は1989年)。一方、宗谷本線の終点である稚内駅を抱える稚内市の人口は、1986年には51200人であったのが2018年には34200人に減っており、石北本線の主要駅にして北海道ちほく高原鉄道池北線の終点であった北見駅を抱える北見市の人口は1986年に43200人であったのが2018年に35800人に減っています。この例だけでも先の命題が成立しえないことは明らかです(勿論、中標津町、稚内市、北見市のそれぞれの事情を検討しなければなりませんが、鉄道路線の存続と廃止が無関係であることはわかります)。

 ローカル線が高齢者の通院に必要な手段である、と主張されることも多いようです。そうであるならば、COVID-19によって全国の鉄道路線の需要が大きく落ち込むことはなかったでしょう。いや、COVID-19は特殊な例であると言えますので、実態を調査するとよいのではないでしょうか(私が住んでいる川崎市高津区でも、高齢者が通院する際には病院や福祉施設が保有する福祉車両をよく見かけます。高齢者向けの病院には、鉄道駅からかなり離れた所にあることが珍しくないからです)。地図で見る限りでは、岩国駅から川西駅の間に比較的大きな規模の病院が多いようなので、或る程度は妥当するでしょう。ただ、駅から離れている所も少なくないようなので、バスや福祉タクシーなどのほうが便利である可能性は高いでしょう。

 錦川鉄道は、設立当初の1987年から一度も黒字を計上したことがありません。おそらく、第三セクターの設立時から、黒字を見込めないことは理解されていたのではないでしょうか。それでも旧国鉄の路線を引き受けたということは、それなりの需要の見込みがあったはずですが、沿線人口の減少が当初の予想を上回っていたということなのかもしれません。現在の岩国市も平成の大合併によって成立したところですが、旧来からの岩国市の領域はともあれ、それ以外の部分については人口の減少が顕著です。これでは公共交通機関の存立の基盤が失われる一方であり、岩国市の財政を圧迫するだけでしょう。沿線の人口が減少すれば、学校もなくなりますから、通学客も減少します。

 通勤通学でだめなら観光路線で、という意見もあるでしょう。しかし、これこそあまり意味のない、とまでは言えないまでも、大きな期待をよせないほうがよい、とは言えます。観光が水物であることは、COVID-19で痛いほど理解されたはずです。東京などでは、再び外国人観光客が多くなっており、東京メトロ半蔵門線に乗ると2019年より増えたのではないかと思わされるほどですが、これも円安という(現在の日本人の大多数にとっては全くありがたくない)事情によるものと考えられます。よほどの努力を積み重ねたりしなければ、観光で稼ぎ続けることはできない、と考えるほうがよいでしょう。まして、観光で鉄道路線を維持することをや、です。

 このブログでJR北海道、JR西日本などの鉄道路線の存廃論議を何度も取り上げています。そこで話題となる路線を見ると、1980年代の国鉄改革で特定地方交通線と位置づけられたところ、あるいは、本来であれば特定地方交通線とされるべきであったが除外要件に該当したために存続したところが少なくありません。除外要件に該当した路線が21世紀になって存廃論議の対象になったりするのです。福井義高教授は、先にあげた著書において、1980年代の時点で赤字ローカル線は全て廃止すべきであったと記しています。極論と思われるかもしれませんし、私自身もそのように考えてはいるのですが、現実を見ると、多くの鉄道維持論者よりも福井教授の立場にこそ妥当性があったものとも考えられます。

 もう一つ、錦川鉄道錦川清流線の存廃議論を目にして思ったことは、果たして、平成の大合併とは何であったのであろうか、ということです。私は、大分大学時代に市町村合併について講演をしたり論文を書いたりしましたし、実際に大分県内の市町村合併の状況を見たりしたのですが、当時度々主張されていた合併のメリットが本当に存在しうるのかがわからず、懐疑的な意見を示さざるをえませんでした。そして、現在、当時の私の考えは誤っていなかったのである、と思っています。

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JR九州の利用状況

2023年09月06日 18時20分00秒 | 社会・経済

 やはり、JR九州の状況が気になります。読売新聞社のサイトに、今日(2023年9月6日)の15時4分付で「JR九州、12区間で1日の平均利用者1000人未満」という記事(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230906-OYT1T50203/)が掲載されています。

 これは、今日、JR九州が2022年度の路線別・区間別の利用状況を発表したことを受けたニュースです。1日あたりの輸送密度が1000人未満の路線は10、区間は12でした。これらは、今年改正された「地方公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づく再構築協議会を国土交通大臣の判断で設置することのできる対象となります。

 JR九州が発表している資料があるかと思い、サイトを見たら「線区別ご利用状況(2022年度)」というページがあり、「(1)平均通過人員・旅客運輸収入」と「(2)線区別収支(平均通過人員が2,000人/日未満の線区)」という資料があります。

 上記読売新聞記事では輸送密度と書かれていますが、JR九州(をはじめとしたJRグループ)は平均通過人員という言葉を使います。JR九州の資料に基づいて、平均通過人員が一日あたりで2000人未満の路線・区間をあげておきます。ありがたいことに、JR九州は同社が発足した1987年度の平均通過人員も示していますので、それもあげておきます。

 (以下、路線名:区間、1987年度の平均通過人員⇒2022年度の平均通過人員、減少率の順に記します。2022年度の平均通過人員が1000人未満の区間については赤字で示します。)

 ①日豊本線:佐伯〜延岡、3,428→604、▲82%

  日豊本線:都城〜国分、2,029→1,068、▲47%

 ②筑肥線:唐津〜伊万里、728→196、 ▲73%

 ③宮崎空港線:田吉〜宮崎空港、1,494(1987年度には未開業)

 ④筑豊本線:桂川〜原田、2,981→385、▲87%

 ⑤日田彦山線:城野~田川後藤寺、3,287→1,945(2016年度には2,595)、▲41%

  日田彦山線:田川後藤寺〜夜明、1,103→2016年度には299

 ⑥後藤寺線:新飯塚~田川後藤寺、1,728→1,205、▲30%

 ⑦久大本線:日田~由布院、2,564→1,401、▲45%

  久大本線:由布院~大分、3,890→1,793、▲54%

 ⑧唐津線:久保田~唐津、3,649→1,818、▲50%

  唐津線:唐津〜西唐津、1,315→765、▲42%

 ⑨豊肥本線:肥後大津~宮地、2,711→768、▲72%

  豊肥本線:宮地~豊後竹田、1,028→171、▲83%

  豊肥本線:豊後竹田〜三重町、2,384→806、▲66%

 ⑩肥薩線:八代〜人吉、2,171→2019年度に414

  肥薩線:人吉~吉松、569→2019年度に106

  肥薩線:吉松~隼人、1,109→493(2019年度に605)、▲56%

 ⑪三角線:宇土~三角、2,415→825、▲66%

 ⑫吉都線:都城~吉松、1,518→394,▲74%

 ⑬指宿枕崎線:喜入~指宿、3,687→1,862、▲49%

  指宿枕崎線:指宿~枕崎、942→220、▲77%

 ⑭日南線:田吉~油津、2,129→914(2020年度には934)、▲57%

  日南線:油津~志布志、669→2020年度には171

 いずれも「やはり」と納得できるものでした。

 上記読売新聞記事にも「豊肥線の宮地―豊後竹田は171人、筑肥線の唐津―伊万里は196人でいずれも200人を下回った」と書かれているように、この2路線・区間は際立っています。私はいずれの区間も利用したことがあり、普通列車の利用状況の低さが手に取るようにわかったのです。

 一度、夜に宮地駅発豊後竹田行きの2両編成の普通列車に乗った時に、前の車両には運転士と乗客1人、後の車両には車掌と私しかおらず、寂寥という言葉がふさわしいような状態でした。しかも、豊肥本線の宮地~豊後竹田には特急列車も運行されているのですが、その特急列車の本数も少なく、高速バスのほうが利便性が高いのでした。

 また、筑肥線の唐津〜伊万里(正確には山本~伊万里と思われます)は、姪浜~唐津と同じ路線名であることが不自然の極みに感じられる程、性格が違います。唐津〜伊万里には特急などの優等列車もなく、佐賀や福岡への直通列車もないので、利便性が低いのが平均通過人員の数に現れているのでしょう。

 〈なお、かつての筑肥線は博多〜伊万里の1本の路線(但し、東唐津でスイッチバック)でしたが、福岡市営地下鉄空港線との直通運転や、結局開業しなかった呼子線建設などとの関係で博多~姪浜および虹ノ松原~鏡~久里~山本(但し、東唐津は移転)が廃止され、虹ノ松原~東唐津(移転後)~和多田~唐津が開業したことにより、路線が分断されてしまいました。唐津線の山本~唐津には筑肥線のディーゼルカーも走りますが、あくまでも唐津線です。また、唐津線の唐津〜西唐津は電化されており、筑肥線の電車も走ります。〉

 他の路線・線区を見ると、本線と名付けられている路線にも平均通過人員の低いところがあることも注目に値するでしょう。とくに、日豊本線の佐伯〜延岡、筑豊本線の桂川〜原田の落ち込み方には目を見張ります。

 日豊本線の佐伯〜延岡には特急列車も走ります。というより、普通列車よりも特急列車のほうが多いのです。私が大分大学に勤めていた時でも佐伯〜延岡の普通列車は3往復、市棚~延岡は1往復だけしかなかったのですが、今や、佐伯から延岡まで運行される普通列車は朝の1本だけ、延岡から佐伯まで運行される普通列車は早朝の1本と夜の1本だけですから1.5往復しかありません。佐伯から重岡までの普通列車も夕方および夜の2往復だけ(そのうちの1本は大分行き)ですから、宗太郎駅、市棚駅、北川駅、日向長井駅、および北延岡駅に停車する普通列車は1.5往復しかない訳です。大分県南部と宮崎県北部とを跨がるような通勤または通学の需要はかなり少ないでしょうし、とくに佐伯から宗太郎駅までの大分県の区間の人口は少なく、もとよりモータリゼイションも進んでいますが、それにしても普通列車の少なさは目立っており、もはや本線の名に値しないとも言えるでしょう。

 また、特急列車が走るといっても、現在のにちりん号は基本的に大分から宮崎空港または南宮崎までの区間でしか運行されておらず、本数も8往復しかありません(私が大分市に住んでいた時には10往復以上あったと記憶しています)。大分駅で特急ソニックに接続するにちりん号もあるのですが、利便性はどれほどなのでしょうか。東九州道も開通していますし、様々な状況を考え合わせても、日豊本線、とくに大分県・宮崎県境を跨ぐ区間の活性化はかなり難しいのではないかと思われます。

 筑豊本線の桂川〜原田についても触れておきましょう。この区間には、かつて寝台特急あかつきなども運行されたことがあるのですが、現在は8往復の普通列車しか運行されていません。また、途中の駅には列車交換施設がないのです。桂川から博多へ行くには篠栗線に乗ればよいですし、原田から黒崎や小倉、そして門司へ向かうのであれば鹿児島本線を利用するほうが便利であるはずですし(距離的にどうであるのかわかりませんが)、やはり博多を通ることの意味は大きいのです。旅客輸送という点からすれば、桂川〜原田の需要は見込めません。かつて、筑豊本線は石炭輸送で賑わった路線でしたが、炭鉱が次々に閉山され、貨物輸送も行われなくなった鉄道路線の行く末を、筑豊本線はよく見せてくれたのです。

 この他の区間についても、あれこれと考えさせてくれます。今後、存廃論議が生ずる、あるいは再燃する路線・区間が新たに生ずる可能性も否定できません。

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