「ライヘンバッハ・ヒーロー」
Directed:Toby Haynes
Written:Stephen Thompson
いよいよモリアーティが221Bを訪れる場面ですがこれを含めてライヘンバッハは正典「最後の事件」が元ネタですが、
ふたりで逃避行、あ、いや、身を隠す場面は例のアレなんですかね。
正典以外でも細かいネタが多くて、ファンにとってはそれを見つけたときに裏側を妄想するのも楽しかったり大変だったり(笑)
続きです。
裁判所を出たジョンがシャーロックに電話で報告します。
「無罪だ。無罪判決が出た。モリアーティは弁護もせずに無罪放免になったんだ。」
シャーロックはそれを黙って聞いています。
「シャーロック、聞こえるか?奴は外に出た。わかってるだろうけど君を追ってくるぞ。シャー・・」
ジョンの電話を途中で切ると起き上がりケトルのスイッチを入れティーセットの用意をします。
そしてドレスガウンを脱ぎジャケットを着てヴァイオリンを手に取り弾き始めます。
‐バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタNo1ト短調 BWV 1001第一楽章‐
曲が始まると1階のドアが開きシルエットが見えます。
男はゆっくりと階段をのぼっていきますが途中大きく軋むとヴァイオリンが鳴りやみます。
そのまま足を止めていましたが、演奏が再開すると同時に再び階段をのぼります。
演奏中のシャーロックが背を向けているドアが開きモリアーティが姿を現します。
シャーロックは演奏が終わると「ほとんどの人はノックをするんだ。いや、君はほとんどの人とは違うから仕方ないな。」
そう言いながらヴァイオリンを外し、「ちょうどお湯が沸いたところだ。」と言います。
モリアーティはスタスタと入ってくると「Johann Sebastian(バッハ)が愕然とする。」と言いながらリンゴを手にします。
「座っても?」とモリアーティに「どうぞ」と向かいの椅子を指しますが、
モリアーティは黙ってシャーロックの椅子に座ります。
「バッハは死ぬ間際に自分の曲を彼の息子がピアノで弾いていたが曲が終わる前に息子は演奏をストップさせた・・・」
シャーロックはお茶を入れながらモリアーティに続けます。以下SHをS、JMをMで記載します。
S「すると死にゆく男はベッドから飛び起きるとまっすぐピアノに向かい自ら演奏を終わらせた。」
M「未完の曲に耐えられなかったんだ。」
S「君もできない。だからここに来た。」
M「正直になりなよ。ちょっと嬉しいだろう?」
S「判決は?」
M「僕は自由の身になった。あらゆるおとぎ話は古き良き悪役を必要としているんだ。」
M「君は僕を必要としている、さもなければ君は無価値だ。
僕たちは似ているんだよ。君と僕、君がつまらない奴って事以外は。」
M「君は天使の側にいる。」
S「当然、陪審を操作したんだろう。」
M「僕はロンドン塔に侵入したんだ。ホテルの12の部屋に侵入できないと思うか?」
それを聞いたシャーロックは自分のティーカップを手にしながら「ケーブルテレビか」と言います。
(スーツを着た男性が座るときにジャケットのボタンを外す所作を時々見かけますがベネディクトも必ずやるんですよね。
ベネディクトのこれが大好きで見かけるといつもいつもジーッと見てしまいます。)
M「ベッドルームにあるテレビに個別に画面を映した。」
テレビ画面に映す出される「Hello Ms Williams」。そしてその下には子供たちの写真と、
『IF YOU WANT YOUR BEAUTIFUL CHILDREN TO STAY BEAUTIFUL THEN FOLLOW MY INSTRUCTIONS.』の文字。
(あなたの可愛い子供たちに可愛いままでいてほしいなら私の指示に従ってください)
M「あらゆる人にはそれぞれプレッシャーポイントがある。危害から守りたい誰かがいる。」
そして「簡単だよ」と言いながらモリアーティはティーカップに口をつけます。
S「それで、どうするつもりなんだ?・・・僕を焼き尽くす?」
シャーロックもティーカップに口をつけます。
M「それが問題だよ。最後の問題。それが何なのかもうわかった?」
モリアーティの言葉を黙って聞いているシャーロック。
M「最後の問題とは?」
モリアーティは少し笑いながら「僕は君に教えてある・・・君は聞いていたかな?」と歌うように囁きます。
そしてカップをソーサーに置くと左手で自分の膝をトントンと打ちはじめます。
その様子をじっと見つめるシャーロック。
M「わからない、と言うのはそんなに難しい?」
そう言われたシャーロックもカップを置くと即効で「わからない」と言います。
M「ああ、賢いね。とても賢いよ。かなり賢い。」
小ばかにした言い方に口だけで笑うシャーロック。
M「賢いと言えば君はもう小さな友人に話したかな?」
その言葉に瞬間的に真顔になります。
S「何を?」
M「なぜ僕がここに侵入したときに何もしなかったか。」
S「No」
M「だが君はわかってるんだろうね。」
S「明白だ。」
M「では話してくれ。」
S「君は君が既に知っていることを僕に話せと?」
M「いや。僕は君がそれを知っているという事を証明してほしいんだ。」
(侵入の話はジョンブログに出てきた件ですよね?ブログの動画はもう見れないのでYoutubeを。)
https://www.youtube.com/watch?v=6OH-nPEEtNc
S「必要がないから何も盗らなかった。」
M「Good」
S「君にはこの先、何かをとる必要なんてない。」
M「Very good. なぜなら?」
S「なぜなら、イングランド銀行やロンドン塔と刑務所、君を3ヶ所全てに侵入させることのできる鍵に見合うものなどない。」
M「僕はほんの2、3行の小さなコンピューターコードでどこでもどんなドアでも開けることができる。
今は個人の銀行口座なんてものなどない、全て僕のものだ。秘密など存在しない、僕自身が秘密なんだ。
核兵器のコード、僕はアルファベット順にNATOを吹き飛ばすことができる。
鍵のかかった部屋の中では鍵を持つ者がキングだ。ねえ、ハニー。君は僕を王冠と見なすべきだ。」
S「君は裁判を通して宣伝をしていた。君に何が出来るかを世界に教えていたんだ。」
M「君も手伝ってくれたし。」
M「大口顧客リストには無法国家や情報機関、テロリストたちだ。みんな僕を欲しがる。突然ミスター・SEXになったんだ。」
S「君が銀行破りが出来るなら、最高入札者など気にする事ではないだろう?」
M「しないね。僕はみんなが競争するところを見たいだけだよ。
『パパは私の最高に愛してるの!』平凡な人たちって可愛いだろう?
君はジョンがいるし、僕も同棲相手を手に入れないと。」
S「なぜこんな事をするんだ?」
M「面白いから。」
S「君は金や権力など望まない。何のためにやってる?」
M「問題を解きたい。僕たちの問題、最後の問題だ。」
囁くように言うと下を向きながら更に続けるモリアーティ。
M「すぐに始まるよ、シャーロック。落下が。」
そして顔を上げると上から落ちるような擬音を発します。
M「でも怖がらないで。落ちるのは飛ぶのと同じだ。ただ目的地がより明確なだけだよ。」
視線が下にいくと鈍い音を発し、それからゆっくりと顔を上げシャーロックを睨みます。
シャーロックは少しの間モリアーティの視線を受け止めそして立ち上がりジャケットのボタンをはめます。
S「なぞなぞは好きじゃない。」
モリアーティも立ち上がります。
M「努力だよ。僕は君を落下させないと、シャーロック。I OWN YOU.(僕は君に借りがある)」
モリアーティはそう言うと立ち去ります。
それを目で追ったシャーロックは視線をテーブルに落としモリアーティがカットしていたリンゴを見ると手に取ります。
リンゴには「I O U」の文字が彫られていました。
続きます。
Directed:Toby Haynes
Written:Stephen Thompson
いよいよモリアーティが221Bを訪れる場面ですがこれを含めてライヘンバッハは正典「最後の事件」が元ネタですが、
ふたりで逃避行、あ、いや、身を隠す場面は例のアレなんですかね。
正典以外でも細かいネタが多くて、ファンにとってはそれを見つけたときに裏側を妄想するのも楽しかったり大変だったり(笑)
続きです。
裁判所を出たジョンがシャーロックに電話で報告します。
「無罪だ。無罪判決が出た。モリアーティは弁護もせずに無罪放免になったんだ。」
シャーロックはそれを黙って聞いています。
「シャーロック、聞こえるか?奴は外に出た。わかってるだろうけど君を追ってくるぞ。シャー・・」
ジョンの電話を途中で切ると起き上がりケトルのスイッチを入れティーセットの用意をします。
そしてドレスガウンを脱ぎジャケットを着てヴァイオリンを手に取り弾き始めます。
‐バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタNo1ト短調 BWV 1001第一楽章‐
曲が始まると1階のドアが開きシルエットが見えます。
男はゆっくりと階段をのぼっていきますが途中大きく軋むとヴァイオリンが鳴りやみます。
そのまま足を止めていましたが、演奏が再開すると同時に再び階段をのぼります。
演奏中のシャーロックが背を向けているドアが開きモリアーティが姿を現します。
シャーロックは演奏が終わると「ほとんどの人はノックをするんだ。いや、君はほとんどの人とは違うから仕方ないな。」
そう言いながらヴァイオリンを外し、「ちょうどお湯が沸いたところだ。」と言います。
モリアーティはスタスタと入ってくると「Johann Sebastian(バッハ)が愕然とする。」と言いながらリンゴを手にします。
「座っても?」とモリアーティに「どうぞ」と向かいの椅子を指しますが、
モリアーティは黙ってシャーロックの椅子に座ります。
「バッハは死ぬ間際に自分の曲を彼の息子がピアノで弾いていたが曲が終わる前に息子は演奏をストップさせた・・・」
シャーロックはお茶を入れながらモリアーティに続けます。以下SHをS、JMをMで記載します。
S「すると死にゆく男はベッドから飛び起きるとまっすぐピアノに向かい自ら演奏を終わらせた。」
M「未完の曲に耐えられなかったんだ。」
S「君もできない。だからここに来た。」
M「正直になりなよ。ちょっと嬉しいだろう?」
S「判決は?」
M「僕は自由の身になった。あらゆるおとぎ話は古き良き悪役を必要としているんだ。」
M「君は僕を必要としている、さもなければ君は無価値だ。
僕たちは似ているんだよ。君と僕、君がつまらない奴って事以外は。」
M「君は天使の側にいる。」
S「当然、陪審を操作したんだろう。」
M「僕はロンドン塔に侵入したんだ。ホテルの12の部屋に侵入できないと思うか?」
それを聞いたシャーロックは自分のティーカップを手にしながら「ケーブルテレビか」と言います。
(スーツを着た男性が座るときにジャケットのボタンを外す所作を時々見かけますがベネディクトも必ずやるんですよね。
ベネディクトのこれが大好きで見かけるといつもいつもジーッと見てしまいます。)
M「ベッドルームにあるテレビに個別に画面を映した。」
テレビ画面に映す出される「Hello Ms Williams」。そしてその下には子供たちの写真と、
『IF YOU WANT YOUR BEAUTIFUL CHILDREN TO STAY BEAUTIFUL THEN FOLLOW MY INSTRUCTIONS.』の文字。
(あなたの可愛い子供たちに可愛いままでいてほしいなら私の指示に従ってください)
M「あらゆる人にはそれぞれプレッシャーポイントがある。危害から守りたい誰かがいる。」
そして「簡単だよ」と言いながらモリアーティはティーカップに口をつけます。
S「それで、どうするつもりなんだ?・・・僕を焼き尽くす?」
シャーロックもティーカップに口をつけます。
M「それが問題だよ。最後の問題。それが何なのかもうわかった?」
モリアーティの言葉を黙って聞いているシャーロック。
M「最後の問題とは?」
モリアーティは少し笑いながら「僕は君に教えてある・・・君は聞いていたかな?」と歌うように囁きます。
そしてカップをソーサーに置くと左手で自分の膝をトントンと打ちはじめます。
その様子をじっと見つめるシャーロック。
M「わからない、と言うのはそんなに難しい?」
そう言われたシャーロックもカップを置くと即効で「わからない」と言います。
M「ああ、賢いね。とても賢いよ。かなり賢い。」
小ばかにした言い方に口だけで笑うシャーロック。
M「賢いと言えば君はもう小さな友人に話したかな?」
その言葉に瞬間的に真顔になります。
S「何を?」
M「なぜ僕がここに侵入したときに何もしなかったか。」
S「No」
M「だが君はわかってるんだろうね。」
S「明白だ。」
M「では話してくれ。」
S「君は君が既に知っていることを僕に話せと?」
M「いや。僕は君がそれを知っているという事を証明してほしいんだ。」
(侵入の話はジョンブログに出てきた件ですよね?ブログの動画はもう見れないのでYoutubeを。)
https://www.youtube.com/watch?v=6OH-nPEEtNc
S「必要がないから何も盗らなかった。」
M「Good」
S「君にはこの先、何かをとる必要なんてない。」
M「Very good. なぜなら?」
S「なぜなら、イングランド銀行やロンドン塔と刑務所、君を3ヶ所全てに侵入させることのできる鍵に見合うものなどない。」
M「僕はほんの2、3行の小さなコンピューターコードでどこでもどんなドアでも開けることができる。
今は個人の銀行口座なんてものなどない、全て僕のものだ。秘密など存在しない、僕自身が秘密なんだ。
核兵器のコード、僕はアルファベット順にNATOを吹き飛ばすことができる。
鍵のかかった部屋の中では鍵を持つ者がキングだ。ねえ、ハニー。君は僕を王冠と見なすべきだ。」
S「君は裁判を通して宣伝をしていた。君に何が出来るかを世界に教えていたんだ。」
M「君も手伝ってくれたし。」
M「大口顧客リストには無法国家や情報機関、テロリストたちだ。みんな僕を欲しがる。突然ミスター・SEXになったんだ。」
S「君が銀行破りが出来るなら、最高入札者など気にする事ではないだろう?」
M「しないね。僕はみんなが競争するところを見たいだけだよ。
『パパは私の最高に愛してるの!』平凡な人たちって可愛いだろう?
君はジョンがいるし、僕も同棲相手を手に入れないと。」
S「なぜこんな事をするんだ?」
M「面白いから。」
S「君は金や権力など望まない。何のためにやってる?」
M「問題を解きたい。僕たちの問題、最後の問題だ。」
囁くように言うと下を向きながら更に続けるモリアーティ。
M「すぐに始まるよ、シャーロック。落下が。」
そして顔を上げると上から落ちるような擬音を発します。
M「でも怖がらないで。落ちるのは飛ぶのと同じだ。ただ目的地がより明確なだけだよ。」
視線が下にいくと鈍い音を発し、それからゆっくりと顔を上げシャーロックを睨みます。
シャーロックは少しの間モリアーティの視線を受け止めそして立ち上がりジャケットのボタンをはめます。
S「なぞなぞは好きじゃない。」
モリアーティも立ち上がります。
M「努力だよ。僕は君を落下させないと、シャーロック。I OWN YOU.(僕は君に借りがある)」
モリアーティはそう言うと立ち去ります。
それを目で追ったシャーロックは視線をテーブルに落としモリアーティがカットしていたリンゴを見ると手に取ります。
リンゴには「I O U」の文字が彫られていました。
続きます。