前回からの続きです。
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「セロ弾きのゴーシュ」の制作費は8千万くらいで、村田耕一さんと小松原一男さんが私費で3千万ずつ出していた。絵コンテ作成は高畑さんと才田俊次さんだけで、書き始めたのは「アルプスの少女ハイジ」の後、エンディングや大事な部分は「母をたずねて三千里」を終えた後に書き終えていて、長い時間かけていた。
高畑家に押しかけて数日泊まりがけでやったり、予告編においては自分が担当ということになってしまい、高畑さんは自分のマンションに来て一週間泊まりがけで作業もした。βデッキを2台つないで編集し、こんな感じかと見てもらった。納得いかないようで「う〜む」と一週間言われ続け、結局最初に自分が作ったもので行こうと(笑)
だからといって高畑さんは無茶な要求は決してしなかったし、会社の規模・実力や予算を見極めて対応してくれたと思う。才田さんの用意したレイアウトなどが上手くて良いスタートになったのが大きかった。
椋尾篁さんの参加は最後の方で決まり「母をたずねて三千里」の後くらいだった。意気に感じて参加してくれたと思う。
椋尾さんの描く背景は緻密で細かいので、作風に合わないと思っていた。高畑さんからはそんなに強い要求は無かったと思うが、椋尾さんもよく考えて描いてくれた。椋尾さんの絵を展示でやりたいと思っているが、隅っこの画面外の...塗った先の方を見てもらいたいのでフレームを大きく取りたい。
村田さんと椋尾さんは飲み友達で、荻窪の怪しげな中華料理店でギトギトしたものを二人で食べ飲んでいた。
椋尾さんは「銀河鉄道999」もやっているが、普通の軽めなものだが、「さよなら」の方は緻密でタッチが違う。「ゴーシュ」を境にして椋尾さんにも進化を感じている。
原画の方は原画だけ描いて、動画は進めずに溜め込んでいた。才田さんは一年間勉強のために仕事を休みたいと言ったのがキッカケだが、ただ遊ばせず何かやらせようと、それが「ゴーシュ」だった。なので他のアニメーターが仕事している中、才田さん一人だけに「ゴーシュ」の原画を描かせた。そして「母をたずねて三千里」の後で溜まった原画を放出して動画を一斉に始めた。合間に仕事があったので、動画終わっても彩色や撮影など、それぞれに間が空いたりしていた。何日までにやるとか締め切りも無かったので、預けっぱなしでゆっくり進めていった。撮影フィルムも余ったものとか端尺を繋いでだりしていた。
そのため、所々セルが光ったり影が出ていたりで、どこか仕上がりに緩いところがある。セルも何度も撮影しているとキズがついて行く。
例えば、作中たぬき汁のシーンで、包丁がなぜかピカッと光るコマがあって、何故光るのかと思って4Kスキャンで拡大してチェックしたら、塗りミスを指示するメモを剥いだ跡だった。BD版では処理されて消してある。
4Kデジタルリマスターでキレイになっているが、前の方がフィルムっぽくて懐かしいという見方もある。高畑さんもその必要はないと言っていたし、「ゴーシュ」の良さはそういうことでもないのかも。
音楽・アフレコは半々な感じで分けて収録している。高畑さん同様に才田さんも音楽好きで上手くいっている。楽器の動きと音がうまくマッチングしている。
たぬきが叩くところの動画は自分もやっている。1コマ撮り作画なので、動画は自分でもできた。
そして完成した折に、まず自分のところに来て感想を求めたのは高畑さんが「母をたずねて三千里」の時からしょっちゅうオープロに来ていてた。作品が素晴らしいのでアニドウ研究誌を作りたいと、小田部羊一さんや宮崎駿さんにもお願いして、最後に高畑さんに頼んだら「インタビューとはどういうことでしょうか?」と言われた。他の方は素直に応じてきれたのに、困ったが最終的には応じてくれた。だが掲載写真には怒られてしまった。どうしてなのかはわからないが、そういう経緯もあって仲良くさせてもらうようになった。長くやっているのが良いねと言われた。
感想を求められたのはそういうこともあっての上だと思う。
作品の完成には小松原さんの強い意志も大きく作用していたからだったと思う。制作自体には絵の一枚すら描く事は無かったが、宮沢賢治をやりたかったし岩手・花巻にも同行したりと、いろんな形で応援してくれた。
今の時代では難しい企画だったと思う。
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他にもいろいろやってるんだけど、ゴーシュだけで終わってるなぁ...とぼやかれてましたが(^_^;、同社にとってもアニメ業界においても大きな金字塔になっていると...それは時代を経ることに高まりを感じています。
来年にはフルオーケストラ生演奏で上映やるかも...いや冗談ですが(笑)って仰ってましたけど、なんだか実現しそうな気もしています(^_^)
野外音楽堂なんかでやったら最高!\(^o^)/期待しましょう!
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「セロ弾きのゴーシュ」の制作費は8千万くらいで、村田耕一さんと小松原一男さんが私費で3千万ずつ出していた。絵コンテ作成は高畑さんと才田俊次さんだけで、書き始めたのは「アルプスの少女ハイジ」の後、エンディングや大事な部分は「母をたずねて三千里」を終えた後に書き終えていて、長い時間かけていた。
高畑家に押しかけて数日泊まりがけでやったり、予告編においては自分が担当ということになってしまい、高畑さんは自分のマンションに来て一週間泊まりがけで作業もした。βデッキを2台つないで編集し、こんな感じかと見てもらった。納得いかないようで「う〜む」と一週間言われ続け、結局最初に自分が作ったもので行こうと(笑)
だからといって高畑さんは無茶な要求は決してしなかったし、会社の規模・実力や予算を見極めて対応してくれたと思う。才田さんの用意したレイアウトなどが上手くて良いスタートになったのが大きかった。
椋尾篁さんの参加は最後の方で決まり「母をたずねて三千里」の後くらいだった。意気に感じて参加してくれたと思う。
椋尾さんの描く背景は緻密で細かいので、作風に合わないと思っていた。高畑さんからはそんなに強い要求は無かったと思うが、椋尾さんもよく考えて描いてくれた。椋尾さんの絵を展示でやりたいと思っているが、隅っこの画面外の...塗った先の方を見てもらいたいのでフレームを大きく取りたい。
村田さんと椋尾さんは飲み友達で、荻窪の怪しげな中華料理店でギトギトしたものを二人で食べ飲んでいた。
椋尾さんは「銀河鉄道999」もやっているが、普通の軽めなものだが、「さよなら」の方は緻密でタッチが違う。「ゴーシュ」を境にして椋尾さんにも進化を感じている。
原画の方は原画だけ描いて、動画は進めずに溜め込んでいた。才田さんは一年間勉強のために仕事を休みたいと言ったのがキッカケだが、ただ遊ばせず何かやらせようと、それが「ゴーシュ」だった。なので他のアニメーターが仕事している中、才田さん一人だけに「ゴーシュ」の原画を描かせた。そして「母をたずねて三千里」の後で溜まった原画を放出して動画を一斉に始めた。合間に仕事があったので、動画終わっても彩色や撮影など、それぞれに間が空いたりしていた。何日までにやるとか締め切りも無かったので、預けっぱなしでゆっくり進めていった。撮影フィルムも余ったものとか端尺を繋いでだりしていた。
そのため、所々セルが光ったり影が出ていたりで、どこか仕上がりに緩いところがある。セルも何度も撮影しているとキズがついて行く。
例えば、作中たぬき汁のシーンで、包丁がなぜかピカッと光るコマがあって、何故光るのかと思って4Kスキャンで拡大してチェックしたら、塗りミスを指示するメモを剥いだ跡だった。BD版では処理されて消してある。
4Kデジタルリマスターでキレイになっているが、前の方がフィルムっぽくて懐かしいという見方もある。高畑さんもその必要はないと言っていたし、「ゴーシュ」の良さはそういうことでもないのかも。
音楽・アフレコは半々な感じで分けて収録している。高畑さん同様に才田さんも音楽好きで上手くいっている。楽器の動きと音がうまくマッチングしている。
たぬきが叩くところの動画は自分もやっている。1コマ撮り作画なので、動画は自分でもできた。
そして完成した折に、まず自分のところに来て感想を求めたのは高畑さんが「母をたずねて三千里」の時からしょっちゅうオープロに来ていてた。作品が素晴らしいのでアニドウ研究誌を作りたいと、小田部羊一さんや宮崎駿さんにもお願いして、最後に高畑さんに頼んだら「インタビューとはどういうことでしょうか?」と言われた。他の方は素直に応じてきれたのに、困ったが最終的には応じてくれた。だが掲載写真には怒られてしまった。どうしてなのかはわからないが、そういう経緯もあって仲良くさせてもらうようになった。長くやっているのが良いねと言われた。
感想を求められたのはそういうこともあっての上だと思う。
作品の完成には小松原さんの強い意志も大きく作用していたからだったと思う。制作自体には絵の一枚すら描く事は無かったが、宮沢賢治をやりたかったし岩手・花巻にも同行したりと、いろんな形で応援してくれた。
今の時代では難しい企画だったと思う。
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他にもいろいろやってるんだけど、ゴーシュだけで終わってるなぁ...とぼやかれてましたが(^_^;、同社にとってもアニメ業界においても大きな金字塔になっていると...それは時代を経ることに高まりを感じています。
来年にはフルオーケストラ生演奏で上映やるかも...いや冗談ですが(笑)って仰ってましたけど、なんだか実現しそうな気もしています(^_^)
野外音楽堂なんかでやったら最高!\(^o^)/期待しましょう!