どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

この世界の片隅に、66回目鑑賞+(3)

2018年08月30日 20時00分00秒 | アニメ
前回「アリーテ姫」からの続きです。

トークで話題になるまで気づいてませんでしたが、今回の「マイマイ新子と千年の魔法」の上映方式はDCPではなく、旧来のフィルムによるものでした。

映画館での初見からDCPでの鑑賞のみでしたので、かえって有り難い!と思いましたが、今回の上映も当然DCP版を予定していたが、松竹に問い合わせたら(貸し出し分が)見つからないと言われてしまったとのことで...(^_^;

そしてトークのテーマは、やはりデジタル制作における裏話となりました。

「マイマイ新子」も「アリーテ姫」同様デジタル素材で制作し、フィルムレコーダーでフィルムへ出力という方法だったが、この時期には「アリーテ姫」のような色味の違いはほぼ解消されていた。元データも加工することは無かったので、DCP化するときにも問題なかった。

これから再上映の機会も増えそうだし、BD化も同じ素材で可能、製作委員会もノリノリだったので、DCP版はすぐに出来た。

DCP化の折に「この世界の片隅に」BD版(現在上映しているリテイク版)同様な手直しをしたかったが、忙しくてほとんどできなかった(背景のズレなど気づかれないだろう程度の調整くらい)。

CS放送などで使われているものもDCP同様に色味を鮮明な方向に調整している。フィルム版のようにシックな方向にもできるが、「アリーテ姫」の時と同じように元素材も変質させてしまうことになってしまう。なので元素材をいじらずデフォルトの状態を維持させた。テレビでフィルムのように観たければ、シネマモードなどで好みの画調にできるので。

この判断は正解だったと思います。自分のテレビ(あるいはモニター)でシックにも鮮明にも自由にコントロールできるワケですから。

今回のフィルム版の鑑賞で、以前片渕さんが「フィルムでなかなか出なかった麦畑などの緑系の色味を、DCP化の折にかなりの調整をした」という意図はダイレクトに感じ取れる事が出来ました(^_^)

DCP版を見慣れた目に、フィルムの色(特に緑系)はシックというより、全体的に精気なく、くすんで褪せて映ったのです。

この違いはDCP化以前(おそらくフィルムスキャンのみ)のDVD版と、以後のBD版を比較しても感じ取れます。

DVD版↓

BD版↓

BD版は全体的に明るく発色が良くなっています。

でも思ったほどの差はない...もしかしたらDVD版に際し、最低限の色味や輝度の調整をかけたのかもしれません。

上映されたフィルム版はもっと差があったと思います。印象に残る色味はこんな感じでした。

フィルム版(印象)↓

何度も映写機にかけられ、キズもありましたし、経年劣化による褪色が進んでしまった結果なのかもしれませんが。

緑を鮮明にすることで、戦後世代の前向きさを強く押し出したかった...そんな片渕さんの意志を感じるコダワリの色調整なんでしょうね!

この後テーマは「この世界の片隅に」...そして「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」がどのようなものになるのか?...お話しはまだまだ続きます(^_^)