英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その1

2024-06-25 17:22:25 | 将棋
 木村九段は好きな棋士(しかも、かなり)で、西山女流三冠も応援したい棋士。
 どっちを応援しようか?……ここは木村九段に我慢していただこう………
 まあ、木村九段が勝っても嬉しいので、けっこう、気楽に観戦していた。

木村研究会と藤井研究会
 解説は藤井猛九段。
 振り飛車の研究、理論、経験を数値化して合計すれば、トップに位置するのではないだろうか?
 「居飛車に急戦の気配がなければ、こう指すところ」
 「急戦に対しては、こう備えておく方がよいです」
と解説(↑文言の再現は適当です)、研究、理論、経験による序盤の体系が染みついている。振り飛車等の西山女流の解説者にはうってつけの棋士だ。

 本局に限らず、解説の合間に、棋士の情報を語ることが多い。本局も面白かった。
「西山さんは、木村九段によく教わったと語っていましたね。
 弟子の方が強くなること自体は嬉しいことだが、それは自分関係ないところで活躍する場合で、自分と対局が当たって、それで勝たれてしまうと、(教えるんじゃなかったと)後悔します。
 で、木村九段の研究会は“鍛錬”で厳しいです。で、私はやさしいんですよ。
 西山さんが属していた研究会(木村研究会?)の奨励会員は3人全員居飛車党で、振り飛車党1人対居飛車党3人では(気分的に)苦しい。
 なので、優しい私は《振り飛車等だけの研究会》を作り、西山さんを誘ったんです」
「今度西山さんに、《どっちの研究会が役に立ったか?》訊いてみたい」

 木村九段は強くするため鍛え、藤井九段は将棋を指す環境(精神的なモノを含めて)を整えた。二人ともやさしい。

異形の戦い

 将棋は予想通り、西山振り飛車対木村居飛車となったが、通常とは違う構え。(最近では、居飛車対振り飛車を“対抗形”と呼ぶが、どうもしっくりこない)
 木村玉は居飛車穴熊だが、2三銀・2二金の位置が異形。これは、左美濃から居飛車に変形した為。
 西山女流三冠の8五桂・7六銀形も珍しい。これは、7五歩と伸ばした西山布陣に対し、△6四銀と歩を取る指向を見せた為、銀で7五の歩を支えた為。さらに、その銀を活かすため、桂を9七~8五と跳ねて、歩を取った。
 木村九段の2二金型穴熊は「▲3一銀と絡まれてあっと言う間に寄ってしまう弱点もあるが、そうならないケースもある」と藤井九段。

 ただ、本局は、やはり弱点が気になるのか、木村九段は先手の動きを見ながら穴熊の強化を果たした。
 対する西山女流三冠は、8五の桂を安定させ後手の飛車の捌きを抑え、▲5五歩と中央に動きを求めた。
 “先手の1歩得”対“後手玉の堅さ”だが、やや後手有利というのがAIの評価(多分、プロ棋士の評価もそうだろう)。ただし、振り飛車党にとっては、このくらいは許容範囲。
 ただし、先手は8筋に桂、7筋に銀があり、中央より右(玉側)が戦場になる可能性が高いので、その銀桂が取り残される危険性がある。

振り飛車の呼吸
藤井九段「先手は7六に銀をおいたままで、決戦になっては勝てません。銀は6七に引いておきたい」と再三解説。「銀が6七にあれば、5八で交換になった場合、▲5八同銀とするのが味が良い(▲5八同金となるのとは雲泥の差)」

 その藤井九段の解説が聴こえたのか、西山女流三冠は▲6七銀!(もちろん、解説が聴こえるはずはなく、振り飛車としては当然の一着)
続く

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岸田総理の答弁 2024年6月17... | トップ | 2024年度NHK杯将棋トーナ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

将棋」カテゴリの最新記事