まず、下の2つの図を見比べてみてください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/ca/3a75e0f787c2dd7254261230304ffa7b.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/a6/d5cefff667b431a6e8034fa6c94f354f.png)
よく似ていますね。唯一の違いは、先手の銀の位置です。A図は5四、B図は4五にあります。
手番は後手です。後手を持ったとして、あなたならA、Bどちらの図を選びますか?
普通の人なら△5四歩と銀が取れるので、A図を選びますよね。見方を変えて、もしA図で先手番だったら、▲6五銀と逃げてB図に進める人が多いかもしれません。
今日の譜は、この2つの図の違いと羽生名人の工夫(羽生マジック)が主題ですが、ひとまず先日の記事の続きです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/de/d35183e338324c2e3790738d44883003.png)
第6図より羽生名人が△6二歩と辛抱したあと、▲7七桂△7六歩▲4五銀(第7図)と進む。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/00/614207ac569e85e51ce9bc35a763d2a4.png)
第7図の▲4五銀では▲5五歩△4四飛▲6五桂△6六金▲5三桂成△同玉▲3六桂と進めるべきだったようだ(中継解説、週刊将棋)。しかし、対局中は久保棋王も検討陣も決め手に近い手と見ていて、「羽生マジック」が出なかったら「疑問手」の烙印を押されなかったかもしれない。
ちなみに、先崎八段は「▲4六桂と桂打つ一手。桂打てば勝ちですけどね。▲4五銀は
絶対飛車を取るという手です」
第7図より、△7七歩成▲同銀△7五桂▲6五飛と進む。いろいろ変化手順はあるが、検討陣の本命手順で進んでいる。そして……
そして、飛び出した△5九飛成!(第8図)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/8a/076a84c8fa19dda0fe5b89da4d119064.png)
普通、△5九飛成では△7七角成と銀を取る。それに対し▲5四銀と飛車を取った局面がA図。で、A図で△5四歩と銀を取ってどうかと読み進める。検討陣もそう予想し、△5四歩に▲5三歩が厳しく先手良しの結論を出しかけていた。
つまり、▲5四銀と飛車を取られたときに△同歩と取ることができない(飛車のタダ取られ)なら、△5九飛成とタダで捨てようというのだ。わざわざ一手を費やして飛車を捨てるのは損なようだが、▲5九同金に△7七角成が金当たりとなり、▲4九金(B図)と戻さなければならないので、手損にはならない。
というわけで、普通に進めるA図とは銀の位置だけが違うB図が実現した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/ca/3a75e0f787c2dd7254261230304ffa7b.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/a6/d5cefff667b431a6e8034fa6c94f354f.png)
羽生名人は2つの局面を比較して、「銀は取れるが▲5三歩と急所に打たれる」より、「銀は取れないが、△7六馬と引いたとき飛車取りになる(銀が4五にいるので飛車には銀のヒモがない)」ほうが優っていると判断したのだ。
それにしても、取れる銀を取れないようになっているB図の方が、A図より良いとは!
A図からB図を仮定し、両局面を比較し、飛車を捨てる手順(桂の打ち場所も5五では飛車のタダ捨てが実現しない)の妙でB図を実現させてしまう羽生名人。異次元の大局観だ。
(谷川九段が『異次元の大局観』という著書を出していると記憶しているが、敢えて「異次元の大局観」と呼ばせてほしい)
「羽生マジック」という表現をするのは、安易な気もするが、使わざるを得ない今日の記事である。
と言いつつ、わからないことがひとつ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/19/1b1618217fb68c66e705de36593d1479.png)
この図は、A図で△7六馬と引いた局面。本譜は羽生マジックを駆使して、銀を4五に留めて△7六馬を飛車取りの先手にしたのですが、この疑問図では銀のヒモがついているので、先手を取れていません。なので本譜より良くないはずです。
では、この局面で先手はどう指せばいいのでしょうか?
図で先手の飛車と銀の両方が当たっていて、かなり急かされた状態になっています。しかし、下手に動くと、例えば、▲6三歩成△同歩▲同銀に△6五馬、また、、▲6三歩成△同歩▲同飛成には△5四歩、さらに▲5三銀成△同金▲6二馬なら△6五馬と、飛車か銀が取られてしまいます。
この疑問図より、先手はどう指せばいいのでしょうか?どなたか、ご教授ください。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/ca/3a75e0f787c2dd7254261230304ffa7b.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/a6/d5cefff667b431a6e8034fa6c94f354f.png)
よく似ていますね。唯一の違いは、先手の銀の位置です。A図は5四、B図は4五にあります。
手番は後手です。後手を持ったとして、あなたならA、Bどちらの図を選びますか?
普通の人なら△5四歩と銀が取れるので、A図を選びますよね。見方を変えて、もしA図で先手番だったら、▲6五銀と逃げてB図に進める人が多いかもしれません。
今日の譜は、この2つの図の違いと羽生名人の工夫(羽生マジック)が主題ですが、ひとまず先日の記事の続きです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/de/d35183e338324c2e3790738d44883003.png)
第6図より羽生名人が△6二歩と辛抱したあと、▲7七桂△7六歩▲4五銀(第7図)と進む。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/00/614207ac569e85e51ce9bc35a763d2a4.png)
第7図の▲4五銀では▲5五歩△4四飛▲6五桂△6六金▲5三桂成△同玉▲3六桂と進めるべきだったようだ(中継解説、週刊将棋)。しかし、対局中は久保棋王も検討陣も決め手に近い手と見ていて、「羽生マジック」が出なかったら「疑問手」の烙印を押されなかったかもしれない。
ちなみに、先崎八段は「▲4六桂と桂打つ一手。桂打てば勝ちですけどね。▲4五銀は
絶対飛車を取るという手です」
第7図より、△7七歩成▲同銀△7五桂▲6五飛と進む。いろいろ変化手順はあるが、検討陣の本命手順で進んでいる。そして……
そして、飛び出した△5九飛成!(第8図)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/8a/076a84c8fa19dda0fe5b89da4d119064.png)
普通、△5九飛成では△7七角成と銀を取る。それに対し▲5四銀と飛車を取った局面がA図。で、A図で△5四歩と銀を取ってどうかと読み進める。検討陣もそう予想し、△5四歩に▲5三歩が厳しく先手良しの結論を出しかけていた。
つまり、▲5四銀と飛車を取られたときに△同歩と取ることができない(飛車のタダ取られ)なら、△5九飛成とタダで捨てようというのだ。わざわざ一手を費やして飛車を捨てるのは損なようだが、▲5九同金に△7七角成が金当たりとなり、▲4九金(B図)と戻さなければならないので、手損にはならない。
というわけで、普通に進めるA図とは銀の位置だけが違うB図が実現した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/ca/3a75e0f787c2dd7254261230304ffa7b.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/a6/d5cefff667b431a6e8034fa6c94f354f.png)
羽生名人は2つの局面を比較して、「銀は取れるが▲5三歩と急所に打たれる」より、「銀は取れないが、△7六馬と引いたとき飛車取りになる(銀が4五にいるので飛車には銀のヒモがない)」ほうが優っていると判断したのだ。
それにしても、取れる銀を取れないようになっているB図の方が、A図より良いとは!
A図からB図を仮定し、両局面を比較し、飛車を捨てる手順(桂の打ち場所も5五では飛車のタダ捨てが実現しない)の妙でB図を実現させてしまう羽生名人。異次元の大局観だ。
(谷川九段が『異次元の大局観』という著書を出していると記憶しているが、敢えて「異次元の大局観」と呼ばせてほしい)
「羽生マジック」という表現をするのは、安易な気もするが、使わざるを得ない今日の記事である。
と言いつつ、わからないことがひとつ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/19/1b1618217fb68c66e705de36593d1479.png)
この図は、A図で△7六馬と引いた局面。本譜は羽生マジックを駆使して、銀を4五に留めて△7六馬を飛車取りの先手にしたのですが、この疑問図では銀のヒモがついているので、先手を取れていません。なので本譜より良くないはずです。
では、この局面で先手はどう指せばいいのでしょうか?
図で先手の飛車と銀の両方が当たっていて、かなり急かされた状態になっています。しかし、下手に動くと、例えば、▲6三歩成△同歩▲同銀に△6五馬、また、、▲6三歩成△同歩▲同飛成には△5四歩、さらに▲5三銀成△同金▲6二馬なら△6五馬と、飛車か銀が取られてしまいます。
この疑問図より、先手はどう指せばいいのでしょうか?どなたか、ご教授ください。
しかし、△5四歩▲3四桂△3三玉▲2二桂成の時に△6五馬で攻め切るのは難しいように思います。
また、最初の▲4六桂に△3二玉として、▲3四桂には△3三銀でも△5四歩でも、先手が容易でないように思います。
代替案としては▲63歩成△同歩▲43銀成として△同玉は▲46飛の王手馬。多分△43同金でしょうけど、そこで▲63飛成で飛車を助けてはどうでしょうか?攻め切る自信はまったくありませんが・・・。
ただ、4筋の歩が切れたので、△4八歩から△5九銀の反撃の筋が生じたのと、△3一玉の早逃げでしのぐ手筋が勝負の望みです。
先手は飛車の打ち場所に注意が必要です。安易に7二に飛車を打つと△5四馬の紛れ(7二の飛と6三龍の両取り)、また、8二に打つと△7一金と頑張られます。あと、7三の馬が意外に働かないですね。
とは言え、後手が足りないようです。
あと、飛成りを避けて、最初の▲6三歩成のとき△5四歩と銀を取る手も考えられますが、▲5二歩成△同金▲5三歩で支えきれないようです。