梨木さんの「渡りの足跡」が今月、文庫版になった。
野鳥に凝り始めていた私にとってはこの上なく良いタイミングだ。
渡り鳥の移動範囲はすごい。
スズメより小さな体のマヒワやアオジそして愛嬌のあるジョウビタキさえ、とてつもない距離を移動する。
しかも、また日本に戻ってくるその場所は何丁目何番地まで正確にもどってくるそうだ。
だがその長旅の間には体力問題や天敵の危険などアクシデントは尽きない。命をかけた飛翔だ。
なのになぜ、渡るのか。
知床あたりでは、渡りの「港」のような場所があるらしい。空を渡る「港」だ。
人が知りえない、遠くの空へと風が吹くところ。
「さ、帰ろう」と思い立つとき、渡り鳥のその場所は、毎日慣れ親しんだ今日の場所ではなく
「ここではない、もっと違う場所へ」という衝動が生まれるのではないかと書かれてた。
冬鳥が去り、夏鳥がやってくる、春は移動の季節。
人も動物、なにか突き動かされるものを感じて、春を新しくスタートするのかもしれない。
近所で出会ったあの鳥たちは来年またここに無事戻ってきてくれるだろうか。
(梨木さんのヒヨドリの表現はさんざん過ぎて面白かった)
飛行機に乗って上昇するシーン。
どんどん変わる雲の種類を表現して、すっかり渡り鳥の目になっていた。
しばしば「○○から○○が見えてくるその鳥瞰図を想像してみてください」というくだり、
読んでいて思わず笑って相槌を打ちそうになる。
鳥の注釈がまた梨木さんらしくて楽しい。
梨木香歩:1959年生まれ
「水辺にて」に次ぐネイチャーライティング作品2作目と解説の野田研一氏が書いていた。
梨木さんの動植物に関する知識は素晴らしい。そして人間もそんな自然の一部として考えようとする。それが梨木さんのネイチャーライティングだとしたら、「沼地のある森を抜けて」も微生物の有り様から命そのものの紡がれる形を考察する内容で、梨木さんらしいネイチャーライティングの究極ではないだろうか。
野鳥に凝り始めていた私にとってはこの上なく良いタイミングだ。
渡り鳥の移動範囲はすごい。
スズメより小さな体のマヒワやアオジそして愛嬌のあるジョウビタキさえ、とてつもない距離を移動する。
しかも、また日本に戻ってくるその場所は何丁目何番地まで正確にもどってくるそうだ。
だがその長旅の間には体力問題や天敵の危険などアクシデントは尽きない。命をかけた飛翔だ。
なのになぜ、渡るのか。
知床あたりでは、渡りの「港」のような場所があるらしい。空を渡る「港」だ。
人が知りえない、遠くの空へと風が吹くところ。
「さ、帰ろう」と思い立つとき、渡り鳥のその場所は、毎日慣れ親しんだ今日の場所ではなく
「ここではない、もっと違う場所へ」という衝動が生まれるのではないかと書かれてた。
冬鳥が去り、夏鳥がやってくる、春は移動の季節。
人も動物、なにか突き動かされるものを感じて、春を新しくスタートするのかもしれない。
近所で出会ったあの鳥たちは来年またここに無事戻ってきてくれるだろうか。
(梨木さんのヒヨドリの表現はさんざん過ぎて面白かった)
飛行機に乗って上昇するシーン。
どんどん変わる雲の種類を表現して、すっかり渡り鳥の目になっていた。
しばしば「○○から○○が見えてくるその鳥瞰図を想像してみてください」というくだり、
読んでいて思わず笑って相槌を打ちそうになる。
鳥の注釈がまた梨木さんらしくて楽しい。
梨木香歩:1959年生まれ
「水辺にて」に次ぐネイチャーライティング作品2作目と解説の野田研一氏が書いていた。
梨木さんの動植物に関する知識は素晴らしい。そして人間もそんな自然の一部として考えようとする。それが梨木さんのネイチャーライティングだとしたら、「沼地のある森を抜けて」も微生物の有り様から命そのものの紡がれる形を考察する内容で、梨木さんらしいネイチャーライティングの究極ではないだろうか。