天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

玉岡かおる『負けんとき(上下)ヴォーリズ満喜子の種まく日々』感想その2

2014-09-23 21:16:27 | 
負けんとき 下: ヴォーリズ満喜子の種まく日々 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


下巻は長いアメリカ留学から日本に帰国した満喜子、そして日本で根を下し活動していたヴォーリズが寄り添って生きた半生について描かれています。
余談ですが、どちらも巻頭にお二人の写真が載っているのですがなんとなくお顔が似ているんですよね。
ヴォーリズはキリスト教の伝道のために来日し、生涯それを貫きますが戦時下には満喜子のためにも日本国籍を取得します。当時、日本国籍を取得するためには国家進神道への帰依を誓わないといけなかったそうです。ヴォーリズは日本人が自然の中に感じる神々の存在を認め、また自身の中で折り合いをつけていたのでしょう。彼の存在があったからこそGHQは天皇制を残した部分は大きかったようです。
さて、物語の主人公は満喜子。満喜子は今までの先進的な世界(女性が企業を動かしていたり、留学したり)から近江へやってきて夫を支えようとしますが、まわりと軋轢が生じまた戦争という時代に翻弄されながらも、幼児教育に尽力します。

折々、満喜子が打つ“大阪締め”が心地よいです。
満喜子の尽力した教育は近江兄弟社学園へ、ヴォーリズが福音を伝えるためにメンソレータムの権利を買って販売していた近江兄弟社、キリスト教の精神をもって運営されている一粒社ヴォーリズ建築会社が現在にも続いていますが、さらに!ヴォーリズのお母さんが今や滋賀の名産品となっているバームクーヘンの作り方を教えたそうですよ。

さて、上巻は関西学院の建物が表紙ですが、神戸女学院で長く教鞭を執られている内田樹先生が巻末でヴォーリズが建設した建物での生活について書かれています。改めてそうした建築物を巡りたいと思いましたよ。
ヴォーリズ建設のひとつ大丸心斎橋店が取り壊されることが決まりました。残念です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする