某大学附属高校の体育館の改修設計を担当することになった。東大合格者数○○名みたいな優秀な学校である。そういう伝統ある学校の校舎というのは、これまた伝統ある建物であることが多い。別の言い方をすれば、老朽化がかなり進んでいるということである。何はともあれ現地を見ましょう。ということで、三軒茶屋から世田谷線に乗って現地調査へ行ってきた。
朝から降っていた雨も上がって、すっかり花見日和となった昼下がりの学校は、春休みのためとても静かである。グラウンドでは、ハンドボール部が練習をしていた。問題の体育館へ行くと、中では男子バスケ部と女子バレー部が、やはり練習をしていた。部活かあ、いいなあ。しかし目の前に出現した建物の予想以上の劣化状況に一同唖然とする。耐震補強どころか、屋根は全て取り替える必要がありそうだ。壁も床もそろそろ限界。塗装の剥げたコートでは、レシーブだってしたくないだろう。これではあまりにかわいそうだ。
あきらかに怪しいスーツのオジサンたちが、ブレースがどうのこうのとカメラを片手にウロウロしている姿は、高校生たちには一体どんな風に映っているのだろうか。高校生と同じ空間に同居すると、ああ自分は大人なんだなあと実感する。東大どころか大学へ行くのもままならない某県立高校を卒業した私は、今ではすっかりダメな大人の見本みたいになってしまった。結婚もしていない、家も持っていない。休日も仕事をしている、そのくせ給料は安い、ボーナスだって出たり出なかったり。毎晩、内PのDVDを見るのが唯一の楽しみである。一体いつからこんな風になってしまったのか。将来有望な高校生たちを見ていたら、何だかとても恥ずかしくなってしまった。
誰のために設計をするのか。お金持ちの経営者のためではない。偉そうな役人のためでもない。自分の作品をつくる、なんてトンチンカンなことのためでもない。その建物を使ってくれる人のために設計をする。新しくなった体育館を見たら、バスケ部の彼ら、バレー部の彼女らは、きっと喜んでくれるだろう。今まで以上に一生懸命練習をするかもしれない。そう考えると、設計という仕事はまんざらでもないように思えてくる。そういう仕事を選んだこと、今まで続けてきたこと、それだけは正解だったかもしれないね。
そんなことを考えながら、ダメな大人は、いつも図面を描いている。
朝から降っていた雨も上がって、すっかり花見日和となった昼下がりの学校は、春休みのためとても静かである。グラウンドでは、ハンドボール部が練習をしていた。問題の体育館へ行くと、中では男子バスケ部と女子バレー部が、やはり練習をしていた。部活かあ、いいなあ。しかし目の前に出現した建物の予想以上の劣化状況に一同唖然とする。耐震補強どころか、屋根は全て取り替える必要がありそうだ。壁も床もそろそろ限界。塗装の剥げたコートでは、レシーブだってしたくないだろう。これではあまりにかわいそうだ。
あきらかに怪しいスーツのオジサンたちが、ブレースがどうのこうのとカメラを片手にウロウロしている姿は、高校生たちには一体どんな風に映っているのだろうか。高校生と同じ空間に同居すると、ああ自分は大人なんだなあと実感する。東大どころか大学へ行くのもままならない某県立高校を卒業した私は、今ではすっかりダメな大人の見本みたいになってしまった。結婚もしていない、家も持っていない。休日も仕事をしている、そのくせ給料は安い、ボーナスだって出たり出なかったり。毎晩、内PのDVDを見るのが唯一の楽しみである。一体いつからこんな風になってしまったのか。将来有望な高校生たちを見ていたら、何だかとても恥ずかしくなってしまった。
誰のために設計をするのか。お金持ちの経営者のためではない。偉そうな役人のためでもない。自分の作品をつくる、なんてトンチンカンなことのためでもない。その建物を使ってくれる人のために設計をする。新しくなった体育館を見たら、バスケ部の彼ら、バレー部の彼女らは、きっと喜んでくれるだろう。今まで以上に一生懸命練習をするかもしれない。そう考えると、設計という仕事はまんざらでもないように思えてくる。そういう仕事を選んだこと、今まで続けてきたこと、それだけは正解だったかもしれないね。
そんなことを考えながら、ダメな大人は、いつも図面を描いている。