ACミランへ移籍した本田圭佑は、自らエースの称号である背番号10を要求したそうです。「自信がないと10番は要求しない」と言い放った彼は、自らにプレッシャーを与えることで、新天地での活躍を誓いました。なるほどなあ。そういうメンタルの強さが、一流選手の証なのかも知れません。ただ、ちょっと穿った見方をすれば、自身が脚光を浴びる最良の道具として、ミランの10番を利用したとも言えます。日本代表でも個の力に言及することが多く、彼の哲学が如実に現れたエピソードだと思います。
一方Jリーグに目を移すと、やはり自ら背番号10を要求した選手がいました。横浜Fマリノスの中村俊輔です。35歳のベテランは、今シーズンもキャプテンに任命されて、昨年の無念を晴らすべく始動しました。自分がチームを引っ張る。その決意のほどが背番号10に表れています。日本代表ではおなじみでしたが、クラブでは実に12年ぶりだそうです。マリノス復帰の時は、若手に託すというような意向だったと記憶しているので、ここへ来て再び10番を背負うという心境の変化は、かなり興味深いものがあります。託すべき若手がいないのか?本田の影響(これはないか)なのか?ユニフォーム販売の営利目的(これはありそう)なのか?
本田圭佑は個を活かすために組織を利用する。中村俊輔は組織を活かすために個を利用する。その達成手段として選択されたのが、奇しくも同じ背番号10だったというわけです。やはり、サッカーは奥が深いなあと思いました。