毎週日曜の朝は必ず文化放送の鎌田實と村上信夫の「日曜はがんばらない」をradikoで聴く。その前の親鸞聖人の教えを紹介してくれる「一万年堂出版の時間」とセットで聴いて、心が休まる時間となっている。普段の生活では、ラジオはまず聴かないが、日曜の朝だけは別である。
先日、番組でも紹介された鎌田先生の「ピンピン、ひらり」という本【4月発行】を図書館で借りることが出来た。サブタイトルは、「鎌田式しなやか老活術」とあり、まさに我々世代にとってピタリの内容であった。まず気に入った記述は、「まえがき」で「老いという『下り坂』は、美しい景色も見せてくれる。『上り坂』は上ることに一所懸命で、自分の足元しか見えていないことが多い。下り坂は違う。眼下には、これまで上ってきた道のりや、すそのの広大な景色が広がっている。その美しい景色は人生のご褒美といってもいい。そんなふうに考えると、老いは長生きの残念なオマケなんかじゃない。人生のなかで最も自由に生きられる最後のチャンスだと思えてきた。」というところで、全く同感である。
「ピンピン、ひらり」とは、ダイゴ流ではPPHとなるが、従来言われていた「ピンピン、ころり」より、前向きなイメージがある。老いは避けられないが、病気になっても上手な付き合い方を身に付ければ、ピンピン元気に生きられると信ずる。次々と老いが襲ってきても、「ひらり」と身をかわしてやり過ごせばいいと思えてきた。
・立ち止まって人生の残り時間を意識する
・すべきことより したいこと
・時間の感じ方は心の持ち方次第
・20%に全力投入する
・ぼうっとするのも意味がある
と内容の見出しの一部を見るだけで、どうしたらいいかのヒントが満載である。時間の感じ方については、「ジャネーの法則」なるものが紹介され、目を引いた。初耳であったが、「ジャネーの法則」とは、19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者ピエ-ル・ジャネがその著書で紹介した法則で、「生涯のある時期における時間の心理学的長さは」年齢の逆数に比例する(年齢に反比例する)というもの。7歳の子供にとっての1年は7分の1だが、70歳にとっての1年は70分の1になる。つまり、70歳の1年は、7歳にとっての1年の10分の1に感じてしまうという計算になるから、年を取ると1年が早く感じるのは当然かも知れない。
「20%に全力投入する」とは、「パレートの法則」に従い、生活にメリハリを付けるということである。「パレートの法則」とは、イタリアの経済学者パレートが発見した分布の法則で、「2:8の法則」とも呼ばれる。顧客全体の2割である優良顧客が売上の8割をあげているという法則で、全ての顧客を平等に扱うのではなく、2割の優良顧客を差別化することで、8割の売上が維持でき、高い費用対効果を追及できるというものである。この2:8の法則は、いろいろなところで引用されている。これを自分自身にあてはめ、自分の中によく働くアリが20%いて、このアリが機嫌よく元気に働いているうちはあとの80%はのんびりしていてもよいとする。遊ぶ時間が1日の20%であっても、その遊びで貯えた心のエネルギーは、他の80%の生活の糧となる。24時間の20%は好きなことをやってメリハリをつければそれでよしとすれば気が楽になるというものである。なんとなく、しなやかな老活術が見えてきたような気がする。