6月20日(土)
先日のブログでも書いたけれど、私はかなりの読書好きです。その私が今一番ハマっているのが、垣内美雨さんの小説です。最初に読んだ「避難所」という本が面白くて好きになった。その後も「農ガール、農ライフ」や「70歳死亡法案、可決」など立て続けに読んだが、いずれも興味深く楽しい本だった。
彼女の作品の真骨頂は、日本の男社会に潜む不条理を女性目線で暴き出す事にあり、登場人物(殆ど男)の頑なな差別意識を痛烈に粉砕するところにある。今回読んだ「定年オヤジの改造計画」も、そんな類の小説だった。
定年を迎えた主人公の庄司常雄は自分じゃ物分かりの良い優等生の夫を思い込んじゃいるけれど・・・ところがドッコイ、老後は優雅な日々を夢見たのに、妻には避けられ娘からは馬鹿にされて、思いとは裏腹に憂鬱な定年人生となってしまう。
そんな常雄の日常に幾つもの試練が立ち塞がり、その試練の中で彼は妻や娘を始めとする女性達への考え方に根本的な間違いがあった事を気付かされる。やがて考えや生き方を改めた彼の前から熟年離婚の危機は去り、少しづつ妻や娘との距離が縮まって和やかな人生を取り戻していく。
「こんな定年オヤジいるいる」と共感したけれど、振り返れば自分の中にもそんなオヤジが棲みついていて身につまされる。そんな現代の男達が現代社会をどう生きるべきか、彼女の小説が教えてくれてるような気がします。特に昭和世代の旦那さんには、推奨すべき本だと思います。