安倍元総理の銃撃事件を切っ掛けに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の事が連日ニュースで取り上げられています。そう言えば私も遠い昔の20代の頃に、統一教会の勧誘を受けた経験がありました。
その頃職場近くの時折通う喫茶店に、Sさんという感じの良さそうな女性が働き始め、当時女性とは無縁だった私も、彼女とはさり気ない会話を交わすぐらいの間柄になりました。
そのSさんがある日「私の家へ遊びに来ませんか」と話しかけてきたのです。タイプの女性から声を掛けられて、モテない男がNOと言えるはずもありません。
休日に喜び勇んでSさんの家へ向かいました。家の中に招き入れられると、居間には十字架が飾られており、彼女は同年代の女性達数名と同居生活をしていたのでした。
女性達は皆真面目そうな人柄で、私を温かく迎えいれてくれました。居心地の良かった私はその後何度もSさんの家へ遊びに行き、こたつを囲んで一緒に食事をしたり、時には泊めてもらう事もありました。
しかし彼女達と交わす会話の中で、「先祖をおろそかにすると、Fさんにサタンの罰が・・」などという宗教的な言葉が織り交ぜられるようになり、カルト的とは言わないまでも、何だか違和感を感じるようになりました。
そんな雰囲気に少しづつ嫌気が差し、その頃ちょうど登山が面白くなった時期だったので休日はもっぱら山の方へ行き、Sさん宅や彼女の務める喫茶店への足が遠のくようになった。当時はスマホや携帯の無い時代だったので、彼女らと会わない事で関係は自然に消滅していった。
その時は統一教会の事など知る由もなかったが、その後違法な霊感商法などで統一教会の事が世間に知られるようになり、彼女達は統一教会の信者で、私を勧誘していたんだと気が付いたのでした。
もし私が誘いに乗り信者となっていたら、高額な壺や印鑑を買わされ、ソウルの合同結婚式へも行っていたかも知れません。それを思うと、なんだか背筋がゾっとします。
あの時登山という趣味が無かったら、たぶん私は統一教会の勧誘に負けていたのではないでしょうか。そういう意味で、山が私の人生を救ってくれたと言えるかも知れません。