先日北アルプス登山に出掛けた時の話ですが、松本駅から松本電鉄で終着駅の新島々駅へ着き、ここから接続する上高地行きのバスに乗った。トイレなどで遅く乗車したので、私の席は最後尾付近になった。
最後尾の席には、オバサン7~8名のグループが陣取っていた。何だか嫌な予感はしたが、バスが発車するや否やそのオバサングループが繰り広げるトークショーが始まった。
発車間際に「マスクの着用、及び会話はお控えください」とアナウンスされたのだが、聞いて無かったのかそれとも黙殺してるのか、おばさん達の会話が途切れる事はない。
普通なら静まり返った車内の雰囲気を察して、一人ぐらい気付いても良さそうなのに誰も止める者はいない。絶え間ない会話の連鎖に、ひょっとしてこの人達は喋らないと窒息してしまうんだろうか、それともバスに乗ったら喋らなきゃならぬという仲間内の掟でもあるんだろうかとさへ思えてきた。
それに対して、乗客の中に注意をする勇者は誰もいない。こんな時に頑固で短気なお爺さんでも居てくれたら、「ウルセー静かにしろ。会話しちゃいけないというのが分らねーのか。このクソババーども」とでも威嚇してくれただろうが、私は頑固でも気弱な爺さんなのでそんな勇気は持ち併せていない。
黙って聞いてると、「ネェー、河童橋から此処まで行くとイワナが食べられるそうよ」、「マア忙しいのによく調べたわねェー」・・・(こんな所で準備会ヤルナ―)。「アラ私アクビが出ちゃったわ」、「マア寝不足じゃ無いの、寝てればー」・・・(お前ら全員寝てろー)
付けっぱなしラジオみたいな会話は途切れる事は無く、バスは上高地へとひた走る。そして釜トンネルを抜けてしばらくすると、大正池の奥に穂高連峰の絶景が現れた。
「ワァ~20年前に見た風景とちっとも変わらないわあ」・・・(風景は変わらなくても、バスのマナーは変わってんだよ」・・そしてバスは定刻から少し遅れて上高地バスターミナルにするすると到着した。
バスを降りたらあのお喋りオバサングループの後ろ姿でも盗撮して、ブログに載せてやろうかと振り返ったら、下車したオバサングループは、全員速やかに女子トイレの中へ消え去ってしまった。
いろいろ悪口は書いたけれど、退屈な日常生活から解き放たれて、はしゃぎたくなる彼女達の気持ちも分からなくはない。誰かに怒鳴られて嫌な旅の思い出とならねばいいんですが・・マアそんな事でメゲルほどヤワなオバさん達じゃねーか。