「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

仕事や趣味を 優先する親

2009年11月25日 22時49分29秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 現代は、 自分の仕事や趣味に 多くのエネルギーを費やす 親が増え、

 子育ては 絶対的に重要というより、 ひとつの選択肢になってきました。

 親は 様々な代替品で 子供の欲求を満たすようになり、

 子供は愛されたという 実感に乏しくなってしまいます。

 親は自分も 一人の人間として、 自分の自己愛を追求しようとします。

 また、 子供が親の  「作品」 になることもあります。

 子供は 親の期待や願望を 実現させるため、

 自分の本心を 抑えることにもなります。

 青年期になって、 親に主体性を侵害されていたことに 怒りを覚えると同時に、

 進むべき方向を 失ってしまいます。

 社会が自己愛的になり、 思いやりを失い、 他人の傷に 無関心な人が増えることは、

 社会全体が 不認証環境を呈することになるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子の両親が 家業に忙しかったというのは、 前に書いた通りです。

 父親は 工場をたたんだ後は、 好きだった 麻雀荘を開いたといいますが、

 それは自分の 趣味だったといえるのでしょうか。

 父親は 心子を自分の  「作品」 にしようとしていたことは、

 相当に言えるでしょう。

 心子は 父親の価値観に従って、

 完全な良い子である 自分を、 形成してきてしまったのだと思います。

 その父親が頓死し、 怒る対象さえなく、 自らの方向を 失ってしまったでしょう。

 心子はよく、 世の中の薄情さを 嘆いていたものです。

 きれいごとが通るわけはないと 悲観し、

 自分の存在価値を 見いだせなくなってしまうのです。
 
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