乳幼児期に 母親と安定した関係が 築けたかどうかが、
その後の 自我や情緒の 安定を左右します。
ごく幼い時期に 母親から引き離されたり、 安全が脅かされる 体験をすると、
脳の器質的な変化を 半永久的に残すことが 分かってきました。
虐待を受けた子供は 「愛着障害」 を起こしやすくなります。
ごく幼い頃に ネグレクトされた子供は、
周囲に無関心になり、 誰にも愛着を 示しにくくなってしまいます。
一方、 もう少し 年齢が上がって、 親の愛情を失う 体験をした子供は、
誰かれ構わずに なつくというタイプの 愛着障害を起こすことがあります。
なついている人が いなくなっても、 割合 あっさりと切り替えて、
すぐ次の人になつくという パターンを繰り返します。
境界性パーソナリティ障害の かなりの人が、 同じ愛着パターンを示します。
振り向いてくれる人には 見境なくしがみつき、
その人がいなくなると 別の依存相手を探します。
大部分の人は、 乳幼児期に見捨てられ体験をし、 愛情飢餓を抱えているのです。
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
心子は これとは違うパターンでした。
僕と知り合ってから、 しばらく 楽しいときを過ごすと、
傷つく出来事が起きて 離れていきます。
でも 忘れた頃になると 連絡が来て、 しばし交友し、
また傷ついては 去っていくということを、
約6年にわたって 何回も繰り返していました。
離れていった直後は、 別の相手を 探したかどうか分かりませんが、
しばらくすると必ず、 再び僕の所に 戻ってくるのでした。
ボーダーの人はよく、 次々と異性を渡り歩く とも言われますが、
必ずしも そうとは限らないでしょう。
ひとつの関係を 大切に守ろうとし、 こちらがそれに応えれば、
長期にわたって 関係が続いていくことも 少なくないといいます。