前オバマ政権の複数の有力閣僚から「北朝鮮の核保有」を容認する発言が相次いで報じられている。
その論調は、北の核を認めて対中・対露と同等の防衛・抑止態勢に移行すべきとするものであり、トランプ政権以上のアメリカンファーストで友邦諸国を顧みない愚論と言えるが、弱腰の民主党員からの発言でもあり、ある程度予測されてはいた。しかしながら、北の核を公然と認めることはNPT(核拡散防止条約)の否定で、そうなれば、他の非公然核保有国(インド・パキスタン・イスラエル)は公式に核保有を宣言するだろうし、核保有を目論む国や核技術を持っている国がドミノ倒し的に核保有を目指すこととなる。そうなった場合、世界のパワーバランスは一挙に崩壊して、集団的自衛権保有にすら侃侃諤諤の論がある日本の存在など一顧だにされない世界が現出するかもしれない。さらには、核実験禁止条約は空文化し、地球上のいたるところで核の実験爆発が行われ放射能汚染は拡大する。北の核保有容認論を封じる最大の決め手は、日韓が、北の核が容認された場合には対抗手段として核兵器の開発研究に着手すると発表することではないだろうか。
核開発はおろか議論することさえ封印してきた日本も、国家存亡を賭けて前進・変針する必要があると考える。