もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

脱しがらみ

2017年09月27日 | 社会・政治問題

 小池党首の立党会見が行われ、会見の場で[脱しがらみ]の言葉が多用された。

 [脱しがらみ]という言葉は、大衆受けするものであるとの分析に依っての使用であろうが、しがらみからの脱却は社会の混乱と荒廃の方が多いことを学んでいないのだろうか。しがらみとは、利益を受ける者(支持者)との癒着を指しているのだろうが、もし小池新党が政権を奪取し得た場合には小池新党支持者への配慮が必要となる新たなしがらみを生むこととなる。脱しがらみをマニュフェストに掲げた鳩山政権の失敗が思い起こされる。事業仕分けによる独立行政法人の整理と埋蔵金の発掘によって児童手当を増額する目論見が竜頭蛇尾に終わったことは、整理すべき独立行政法人の構成員と事業の受益者に民主党支持者がいた「しがらみ」が指摘されている。また、在沖米軍基地の国外(最低でも県外)移設は、支持者と安全保障のしがらみの狭間で迷走した挙句に日米関係をも危うくし、後に民主党政権下は空白の3年間と総括されている。[脱しがらみ]が社会の混乱と荒廃を示す好個の事例は、政権交代後に行政の主要幹部を交替させ従来のしがらみを断ち切るシステムの米韓で顕著である。韓国は、大統領選支持者への対北融和の新たなしがらみと在韓米軍に依存した国防体制の従来のしがらみの中で迷走しており、米国では「白人中産階級」の支持を受けたオバマケアの見直し公約が、選挙支持者と貧困層救済のしがらみに縛られて混乱している。

 人気投票である総選挙では、従来のしがらみ打破を訴えることは選挙対策として不満層の取り込みに有効であろうが、そこから生まれる新しいしがらみが新政権を縛り、新しい受益者を生む結果にしかならない現実を我々有権者は理解しておかなければならないと思う。複雑な現代社会と国際関係においてしがらみからの脱却は、好結果につながることはないと思う。


安倍政権打倒?

2017年09月27日 | 社会・政治問題

 野党のリーダーが、再三「安倍政権打倒」を口にするし、今回の衆院解散に際しても会見で前原民進党代表が使っていた。

 何らかの制度・システムの破壊を主張する場合は、主張の前提として当該制度に代わるものを提示して、両者の優劣判定・選択は第3者の手にゆだねるのが一般的、すなはち「ビルド・アンド・スクラップ」が基本であると思うが、安倍政権の明確な問題点と責任ある受け皿の提示がないことに疑問を感じる。打倒すべきが「自民党政権」でないことは「自分には自民党政権に代わり得る力量と組織がないため止むを得ず「安倍政権」を倒して満足する」との婉曲話法であり、それはそれで自分を適切かつ客観的に評価しての発言と苦笑するしかない。

 改憲、北朝鮮制裁強化、国防強化、対テロ強化に積極的な安倍政権は打倒するが、[石破政権][岸田政権]なら容認するのだろうか?

 安倍政権打倒の表現は、真意が伝わらないとともに、なにやら日本の伸張を望まない国の意見を代弁しているように案じられる言葉である。