もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

イージス艦の運用は

2017年09月09日 | 社会・政治問題

北朝鮮の核の脅威に対する抑止・防護策として、イージス艦による迎撃が必須とされている。

現在、我が国が保有するイージスシステム搭載護衛艦は、ミニイージス艦を除いて8隻である。世間では、8隻のイージス艦を常時日本海に展開させて不測の事態に対処するように思われているかもしれないが、艦艇は年間に定期修理と乗員の慣熟訓練のため、約2~3か月間正面(実戦)配備できないため、最大6隻の運用が限度であろう。また、補給と乗員の休養を考慮すれば、1回のパトロールは2週間程度が限界であるので、日本海の恒常的な哨戒は2隻程度でおこなわれるのではなかろうかと推測される。安全保障関連法の改正で米国との情報交換がスムーズに、日本独自の偵察衛星による情報収集能力の向上等、我に有利な要因が増えたとはいえ、北も固体燃料によるミサイル発射兆候の秘匿性が向上しており2隻の哨戒では撃ち漏らす危険性も多い。艦艇の建造と実戦化には長期間(現在の建造ペースは5年)が必要で、急速なイージス艦の拡充は望むべくもないため、来年度予算に要求された「陸上配備型イージスシステムMD」の早期実現が望まれる。しかしながら、迎撃ミサイルの洋上発射基地としてのイージス艦には利点・強点も多く、新艦の建造等の拡充が待たれる。