猛烈な台風21号が本土に接近中であるとき、櫻井よしこ氏の「太陽光発電49kWの罠」と題する主張を読んだ。
氏の主張ではメガソーラー設置工事に伴う森林伐採、発電設備設置に建築基準法の網が掛からないために起こるであろう施設の脆弱性、とりわけ49kW以下の小規模発電施設に対する規制が緩やかであることに着目し大規模施設を細分化して手抜き施設を量産するかもしれない悪質業者の出現を憂いている。豊かな自然が売り物の伊豆高原では韓国資本の会社が地元の反対を押し切って傾斜地にメガソーラの開発を強行しているが、反対運動を支援しているのが太陽光発電を原発代替の切り札として拙速にデザインした民主党政権の中枢であった細野豪志議員(希望の党)と渡辺周議員(国民民主副代表)であることも皮肉な回り合わせとしか言いようがない。太陽光・風力発電は初期投資だけでランニングコストを殆ど必要としない夢のエネルギーとされていたが、門外漢の自分でもメンテナンス費用が膨大になるであろうことは容易に推測できたし本ブログでも主張してきた。メンテナンス費用を列挙すれば、太陽光発電では設置場所の草刈り、発電素子表面の清掃、電力取り出し部の絶縁維持等が考えられ、風力発電では発電機の絶縁処理、風車の定期点検がそれぞれ必要となる。更には両者に共通することであるが、構造物基礎部分の腐食防止や腐食箇所の修理・交換と送電線の保守整備に多額の費用を要し、先の台風で設置後数年の風力発電用風車が倒壊したことからも明らかのように、経年劣化を補うためのメンテナンス費用は稼働年数に比例して年々増加する。火力・原子力の発電コストに6~7円を上乗せ設定された大手電力会社の買取制度も、国民の負担を大きくするとともに大手の経営をすら危うくしていいる現状から、早晩撤廃若しくは値下げされることは確実であり、そうなれば風力・太陽光発電業者の経営破綻に依る発電施設の放置すら予想される。桜井氏も指摘しているところであるが、森林伐採は森林の保水力低下と土壌流出を招いて洪水被害の危険性を増し、草刈り費用を節約するために使用が懸念される除草剤の大量使用は深刻な土壌汚染と水質・水源汚染を招くであろうことは、バブル時代のゴルフ場による水源汚染でも経験したことである。
再生エネルギー教の教祖と仰いだドイツも電力買い取り制度を打ち切って過度の自然エネルギー依存を見直し、同じく太陽光発電先進国であった中国は200基の原発計画を発表した。原子力発電の総量規制と原子炉の廃炉線表のみ話題とされるエネルギー基本計画の見直しと並行して、代替エネルギー整備に関する法整備を急ぐべきと思うのだが。