協会所属コーチの暴力事件を端緒に露見した日本体操協会の内訌が、最終局面を迎えようとしている。
協会副会長と女子強化本部長をそれぞれ勤める塚原光男・千恵子夫妻が職務停止されたことにより、塚原帝国の終焉が間近に迫った感じがする。塚原夫妻の職務停止は、選手から申し立てられたパワハラ疑惑解明のために設けられた第3者委員会の結論が出るまでとされているが、両者の言い分や協会の対応を見る限り塚原夫妻の更迭・退任は避けられないところと推測している。相撲協会と日大アメフト部のドタバタは別として、連続して明るみに出たレスリング協会、ボクシング協会、体操協会それぞれの内紛に共通しているのは、傘下全般を統括すべき組織のトップ又はキーマンが下部組織の利益代表者を兼務して、当該組織を優遇以上に厚遇することに対する不満が噴出したことである。組織のトップにあるものが、出身母体や後援者をある程度優遇することは一般的で、自民党総裁選が原因で冷遇された山崎拓・加藤紘一両氏、浙江省・上海閥・太子党を優遇する習近平主席の例によるまでもなく、企業における出世競争にもみられるものと思う。韓国の積弊清算の例にみられるように、大目に見られている”ある程度の優遇”が”必要以上の厚遇”に変わった時、組織として必要なコンプライアンスやガバナンスの自浄作用を一気に失なって指導者の専制・腐敗・狂気を阻止できず、組織の自壊をすら招いてしまう例は歴史上にも数多い。
塚原夫妻には、過去にも運営に大きく関わっていた体操クラブ所属選手のみが日本選手権で高得点を与えられるとの抗議・競技会ボイコットの責任を取って1兵卒に格下げされた経験を持っているようであるが、その経験も生臭い権力欲抑制の教訓とはなり得なかっものかと同情するところである。古人曰く「賢者は歴史に学び、愚者は経験にも学ばない」、また孔子曰く「・・・(年齢)70にして己の欲するところに従えど則を超えず」と。今日もスロットに行きたい自分への大いなる自戒を込めて・・・。