宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、飛翔体の大気圏突入に挑戦することが報じられた。
挑戦はISS(きぼう棟)での研究成果を日本が独自回収しようとするもので、任務を終えた”こうのとり”の大気圏突入前にカプセルを分離して南鳥島近海に着水させる計画である。既にJAXAは”はやぶさ”の成功で飛翔体の回収技術は持っているものの、今回の実検は大気圏突入前の最終誘導や耐熱保護等更に一歩進んだものと思われる。壮図を祝し成功を祈念するものであるが、今回の実検で得られる技術がデュアルユース(軍民共用)技術の最たるもので、弾道ミサイルの大気圏突入と最終誘導に転用可能であることに注目する必要がある。これまで、日本学術会議は軍事技術と軍事転用可能技術の研究忌避を主張しているが、民需の先端技術と最新兵器は表裏一体の関係にあることからは頑なに目を逸らしている。災害用・介護用ロボットと自動車用蓄電池にAIを組み合わせれば、モビルスーツはおろか自律型致死性兵器(LAWS)にまで発展させることは、日本学術会議の手を借りなくても比較的容易であり、今回のJAXZの試みが成功すればバンカーバスターに数倍する弾丸を隕石化して正確に着弾させることも可能となる。軍事転用可能技術開発まで忌避することは、日本の基礎研究の後退に繋がるとする意見も学会にあり、日本学術会議の決意も幹事会では承認されるものの、多くの反対が予想される総会には上程されないことが長年にわたって続いていることから学会の総意とは考えられない。このことは〇〇帝国と揶揄されるボクシング協会や体操協会に似ている感なしとしない。日本が先鞭をつけた半導体は云うに及ばずLEDでさえ兵器の近代化に大きく貢献した実状を考えれば、日本学術会議も頑迷固陋な体質の見直しを図る必要があるのではないだろうか。軍事研究忌避の美名に隠れて、会員や学者が高額の開発費や特許料とする利益を得ていることは、既に周知のことなのに・・・。
アメリカの銃規制が進まないのは憲法の規定はともかく、全米ライフル協会の「銃器が悪いのではない。銃を悪用する人間が悪いのだ。」との主張が、少なからぬ賛同を得ている。かって「栄華の巷低く見て」と学問の孤高が謳われたが、日本株式会社存続のために、学会も鎧の上の衣を脱ぐべき秋に来ているのではないだろうか。