日本ウェイトリフティング協会々長によるパワハラ疑惑が告発された。
日大アメフト部問題を皮切りに相次いで表面化した体育会系組織と類似の事案かと思っていたが、告発の真相と告発に至る経緯が明るみになるにしたがって一連の不祥事とは趣を異にする展開を見せている。ひと頃、ハリウッドで大物プロデューサーの積年に亘るセクハラで過去の被害者が続々と名乗り出たことから、”ME Too”として脚光を浴びた運動があり、当初は勇気ある告発者が被害に遭った女性に名乗り出て共に戦おうという正義感に満ちた行為であったが、時を経るにしたがって被害が疑われる売名的人物が名乗り出たり、明らかに金銭目当ての行動が明るみに出たりと、何やら泥仕合の様相を見せてしまったが、大物プロデューサーは一部の罪を認めて引退して一連の騒動は終息した。今回の日本ウェイトリフティング協会の告発を眺めるとMe Too運動の終盤に現れた便乗者に通じる思惑が透けて見えるものであると思われる。騒動に便乗して利を得ようとすることは古来”火事場泥棒”と称され、人の不幸を食い物にする卑しい行為とされてきたが、今回の告発は時流に便乗して会長の追い落とし、あわよくば会長の座を得ようとする思惑に満ちたものであるように感じられる。日本ウェイトリフティング協会の内紛と権力争い程度はコップの中の嵐と笑って受け流すことができるが、国際的な場で行われる場合は深刻である。中国が一帯一路という美名を掲げて最貧国を債務漬にした挙句に軍事拠点を獲得(租借)するのは、将に火事場泥棒であり、アメリカの保護貿易の嵐の中で影響を受けるであろう日本に対して領土問題を棚上げにした平和条約締結を提案してきたプーチン大統領にも同じ雰囲気が漂っている。
嘉手納基地周辺住民の安全確保を無視して辺野古移転阻止を叫ぶオール沖縄、モリ・カケをネタにG20経済会議への財相出席を阻止した野党、”世に火事場泥棒の種は尽きまじ”と思う”昨今である。