菅直人立民最高顧問のツイートが波紋を広げている。
ツイートの内容は「国民民主党の解党・立民への再結集」を呼び掛けるものであったが、国民民主党の猛反発・抗議を受けて枝野代表が口頭でながら菅氏に厳重注意する事態に発展したものである。菅直人議員は、首相在任中に発生した東日本大震災時に生起した福島原発のメルトダウンに対して生半可の知識で容喙して初動対処を誤ったことが夙に知られているが、事後の調査委員会でも責任が指摘されたにもかかわらず菅氏自身の口から反省や謝罪が述べられていない。菅氏といえば、政界入りに際して社会活動家の市川房江氏を担ぎ出したことで示した存在感を利用して政界入りを果たしたもの、後に市川女史から絶縁されるという後味の悪さが今に取り沙汰されている。厚生大臣として入閣した際も、O157問題のパフォーマンスや薬害エイズを国の責任と認めたことなどで手腕を発揮したものの、他人を踏み台にする或いは他人の手柄を我が物にするという人間性の弱点が常にささやかれていた。思想的には心情三派であり、総連関係への献金や日本人拉致の実行犯である辛光洙を始めとする北朝鮮のスパイ容疑者の釈放要望書に署名したことが有名であるが、かっては憲法を改正して自衛力の保持を明記すべきとの現実的・柔軟な立場をとっていたものの、集団的自衛権の論議を契機として護憲論に転舵したように思える。こうして菅氏の政治活動歴を羅列してみると、明確な国家感は希薄で時宜によって都合よく所信を使い分けるタイプの政治家かとも思える。菅氏は、鳩山由紀夫氏とともに国益を損なう元宰相の双璧とされるが、鳩山氏が中国・韓国で反日言動をとることに比べれば菅氏の言動が国内のコップの水をかき回す程度に終始しているために大して実害はないが、国民の心に棘を突き刺すのは同じであると感じる。
菅氏・鳩山氏の他にも、政界を引退した元宰相、小泉純一郎氏、森喜朗氏、細川護熙氏等も菅氏・鳩山氏ほどではないが、あまり芳しい動きを見せていない。その点アメリカ大統領経験者は、政権から請われて特使の任に当たったカーター氏を除いて、政局・政争・外交の表舞台で活動することは報道されない。現職の大統領が大統領経験者の意見を聞く慣習はあるが、それも儀礼的の範囲を超えない程度とされる。大統領を退いて後は、国家機密に触れない自伝を書いて、どこかのシンクタンクの名誉職に就任するのが慣例とされているが、日本もそうあるべきではないだろうか。