昨年5月に、「新会社法」が施行されました。それにあわせて、日本公認
会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委
員会から「中小企業の会計に関する指針」が公表されました。
株式会社は、商法により、計算書類の作成が義務付けられていますが、
中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠るところが望ましい会計処理
や注記等を示すものとして、上記「指針」はまとめられました。
退職給付債務については、確定給付型退職給付制度(退職一時金、厚生
年金基金、適格退職年金、確定給付企業年金)を採用している場合は、
中小企業では、簡便法による期末要支給額で計算できるとされています。
期末要支給額とは、期末に在籍している従業員に関して、退職金規程に
よる自己都合支給率で、退職金を計算した合計額です。
退職給付債務を計算し、そこから、退職給付のために積み立てている年金
資産を控除した金額を退職給付引当金として、B/S上の負債に計上するこ
とになります。
年金資産とは、確定給付型の制度で積み立てている金額のことです。
保険商品で積み立てている金額は、この年金資産にはなりません。
このことが、保険商品での退職金準備を勧める際に、ほとんど説明されて
いないことが、気になっています。
確かに、中小企業会計の指針は、強制適用ではありません。
が、今後、企業が計算書類を作成する際に採用する、せざるを得ない方向
にあることは間違いありません。
保険商品で退職金準備を進める際に、中小企業への退職給付会計の導入
を語らないのは、死亡保障額を設定するに当たり、遺族年金を計算に入れ
なかったり、医療保険では高額療養費を無視するといったことと同じ行為
だと、思います。