退職金を準備する手段として、保険商品が利用されています。
最も多いのは、養老保険のハーフタックスプランです。
保険料の半分が資産計上、半分が損金算入となるものです。
適年の移行に当たり、中退共とこの養老保険ハーフタックスを組み合わせ
て、お勧めする例を多くみかけます。
保険会社サイドからのお勧めの内容としては、
①退職金が直接中退共から、従業員に支払われてしまいます。
②懲戒解雇の場合は、事業主にお金が戻ってきません。
③養老保険ハーフタックスなら、税負担軽減と内部留保に役立ちます。
このようなお勧めによる適年の移行プランでは、当然中退共を使う部分は
少なくなり、養老保険が幅を利かせた内容となります。
さて、退職給付制度を検討する時、欠かせないのが「財務戦略、人事戦略」
との整合性です。その視点から上記提案を見てみると、③は昨日のブログ
でも記述いたしましたが、退職給付会計上では保険商品での積立は、退職
金を準備しているとはみなされませんので、リスクのある提案といえます。
適年は、退職金が外部積立され、従業員に直接支払われる制度です。それ
が経済環境の悪化により運用難に陥り、積立不足を抱えるようになりました。
そのため解約され多数の適年がうやむやになることが、問題となりました。
そうした状況を踏まえて、受給権の保護が打ち出された「確定給付企業年金」
や「確定拠出年金」が創設されました。どちらの制度も年金や退職金は、金融
機関から直接従業員に支払われます。
「退職給付制度を作るに当たっては、それによって企業風土を作っていく」と
いう考え方が大切だといわれます。
保険商品による「従業員に直接いかない」退職給付制度を、人事戦略や従業
員のモチベーションという観点からの考えた場合、どうでしょうか?