厚生年金基金は、平成12年度末に1801基金がありました。
それが、今年6月1日における基金の数は、576となっています。
この12年間で約68%減少していることになります。
この576残っている基金のうち、中小企業が主に加入している総合型は、494基金
あります。残りの82基金は単独型、連合型です。
中小企業が加入している総合型基金が多く残っているのには、理由があります。 基金に加入している企業の問題、
国の問題、
金融機関の問題です。
基金をやめるには、代行返上、解散、脱退があります。
脱退には、その企業が将来負担することになっている積立不足を一括拠出する
必要があり、この負担が大変重く、やめるにやめられない状況です。
代行返上は、厚生年金の報酬比例部分=代行部分を国に返上した後、加算部分に
替わる制度を基金に加入していた全ての企業で新たに作ることになり、それを望まな
い事業主の方が多いと思われます。
解散は、基金の代議員数の3/4以上の賛成が必要です。
規約で定められている解散時に必要とされる金額(最低積立基準額または最低責任
準備金)と積立金との差額は一括拠出することになります。
は、つまり、脱退は負担が重く、代行返上と解散は、一企業あるいは数社の意向
だけではどうにもならないということです。
は、税制適格退職年金のように10年間の移行期間を定めて、廃止するというよう
な、施策を国が示していないということです。
総合型基金の積立不足は、中小企業の経営を圧迫しています。
基金の積立不足は、適年より深刻ではないでしょうか。
は、国が適年の廃止のような施策を打ち出してないので、当然ですが、金融機関は
企業サイドにたった取り組みをしていません。
基金を受託している金融機関としては、基金の解散は、何の“うまみ”もありません。
適年は、「上と下からなくなっていった。」と言われています。
つまり、金融機関にとって、適年に替わる制度を提案し、適年の資産をそっくりもらえる
メリットが大きい、加入者の多い適年から移行が始まり、加入者の少ない適年は、適切な
情報がないまま、事業主が解約していったということです。
中小企業が主に加入している総合型基金は、解散されるより存続していたほうが、金融
機関には、ありがたいということになります。
先週は、18日に都内で、ある基金に加入している数社の事業主へ現状の説明を行い、
19日は広島でセミナーを2回行い、社労士の先生方と情報交換し、20日は名古屋で
事業主と基金の解散に向けての問題点等をお話ししました。
基金の問題では、必要な情報が事業主、社労士の方々に届いていないと感じました。
適年のときもそうでしたが、情報不足は基金のほうがより深刻です。