褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 コレラの時代の愛(2007) コロンビアが舞台です

2014年06月26日 | 映画(か行)
 チョッと前(4月の中頃)になるがコロンビアというより、南米を代表するノーベル文学賞受賞作家であるガブリエル・ガルシア=マルケスが亡くなられた。彼の作風は世界の知識人と呼ばれる人達に影響を与え、日本でも大江健三郎が彼の影響を受けていると言われる。先日のFIFAワールドカップ2014ブラジル大会で日本代表はコロンビア代表チームに敗れてしまったが、コロンビアが舞台であり、ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作品である小説コレラの時代の愛の映画化が今回紹介する作品。
 初恋の相手である女性を、50年以上を経ても一途に愛し続ける男の物語。ちなみに主役の男優はコーエン兄弟監督のノーカントリーでは、人を殺すことに一途なオカッパ男を演じたバビエル・バルデムだ。
 決して相手の女性は、いささかも美貌の衰えがないヴァンパイアみたいな女性ではなく普通の人間。当然のことながら年数を重ねるごとに顔はシワだらけになり、黒髪も白髪になり、歩き方も非常に心許ないし、体のラインもすっかり崩れてしまっている。容姿の衰えは目に見えてわかるほどなのだが、それでも同じ女性を愛し続ける。そんな純粋な男の物語なのだから感動するのは当たり前の話のように思えるが、ノーベル賞を獲る人が書く小説はやっぱり我々の想像を超えるトンデモなストーリー展開が繰り広げられる。果たしてこの男の生き方に、どれだけの人が共感できるのだろうか、またどのような人が共感できるのか。
 この男の言っていることは純情そのものだが、その行為自体は何だか?が付きそうなストーリーとは如何なるものか。

 飼っていた鳥(オウム?)を捕まえようと高い木によじ登っていた 老人フベナル(ベンジャミン・ブラット)が足を滑らせて死亡。夫であるフナベル(ベンジャミン・ブラット)の葬儀で悲しみに暮れるフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)だったが、彼女の前にいきなり年老いた男フロレンティーノ(バビエル・バルデム)が現われる。そしてフロレンティーノ(バビエル・バルデム)が彼女に言い放つ。『この時を待っていたんだ!』
 さて、すっかりお互いに70代を超えてしまった2人の間には、今までの50年以上もの長きの間に何があったのだろうか?
 時は戻り、1897年のコロンビア、カルタヘナにおいて。電報配達人の仕事に就いているフロレンティーノ(バビエル・バルデム)は配達先の裕福な家庭で暮らすフェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)に一目惚れ。それから2人は文通を通してお互いに恋に落ちる。
 しかし、彼女の父親であるロレンソ(ジョン・レグイザモ)は娘を貧乏人と結婚させたくないために、2人の仲を引き裂く行為に出る。すっかり離れ離れになった2人だったが、恋愛感情は冷めなかったのだが、ロレンソ(ジョン・レグイザモ)の策略もあり、フェルミーナ(ジョヴァンナ・メッツォジョルノ)はフベナル医師(ベンジャミン・ブラット)と結婚してしまう。
 彼女の結婚に立ち上がれないほどのショックを受けたフロレンティーノ(バビエル・バルデム)だったが、いつか再び彼女に愛を告白しようと、何年もその時を待とうと心に誓うのだが・・・

 告白のタイミングをずっと待っていたら50年以上も経ってしまった。その間、この男は何をしていたのか?俺なんかは、どうせなら力づくで彼女を奪い取ったら良いやん、と思ったりしたのだが、この男が取った選択は彼女の夫が死ぬまで待つ事。念願が叶って、やっと告白ができたわけだ。しかし、夫が死んで悲しみに暮れているところへ『この時を待っていた』なんて失礼にもほどがある。こんな罰当たりな奴がこの女性と結ばれるわけがないだろうと思ったり、どうせ年老いた女性と本当は恋愛したくないからワザと適当なことを言っているのか、なんて思ったりしていたのだが、この男が女性を一途に思う気持ちは、チョッとドン引きしてしまうぐらい本物であることがわかってくる。
 まあ、彼女の相応しい男になるために貧乏人から抜け出すために上流階級の仲間入りをしようとする辺りのくだりは、なんとなく納得できる。しかし、この男は彼女が結婚してしまった時に決心した事の1つとして、『僕は彼女と結ばれるまで純潔を誓う』なんて、男を全く知らない女の子のようなことを言ったりしているが、実際はある事を切っ掛けにして、片っ端から女を抱きまくる。しかも気持ち悪いことに、1人目は・・・、2人目は・・・、3人目は・・・、というふうに抱いた女性の特徴をノートに書き込んでいる。何だかただの変態な気がしなくもないが、なぜそのようなことをするのかもっともらしい説明があったような、無かったような・・・
 そして、更に驚くのが女を抱いた人数。さすがにカサノバの千人斬りには及ばないが、軽く三桁を超える人数。しかも年老いていくのに伴いペースが落ちていくところか、さらにペースを上げていくから驚き。なぜコレほどまでに次から次へと女を引っ換え、取っ換え抱きまくるのか?これまたもっともらしい理由づけがされている。その理由が、1人の女性を愛し続けるために色々な女を抱きまくる、ということ。きっと多くの人はハア~?と思うはずだ。個人的にはな~んとなくわかるような気がするし、けっこう共感できるのだが
 
 コロンビアの大自然、ラテン音楽、タイトルにあるコレラ菌の流感や国内内戦などの激動の展開が、退屈になりそうな内容にちょっとしたスパイスとして効いている。そして内容が内容なだけにエロいシーンも多いが、けっこうそのようなシーンがコミカルで笑えたりする。50年以上にも渡る壮大な恋愛映画と思わせておきながら、実はコメディー映画たったのか?なんて思えるコレラの時代の愛は、ワールドカップで少しでもコロンビアという国に興味が湧いてきた人はもちろん、ちょっと変わった感動を味わいたい人にお勧めしたい映画です

コレラの時代の愛 [DVD]
ガルシア=マルケス,ロナルド・ハーウッド
ギャガ


 主演はノーカントリーのバビエル・バルデム。スペインを代表する名優。コーエン兄弟監督のノーカントリー、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督で父子の絆に感動するBIUTIFUL ビューティフル、アレハンドロ・アメナバール監督の尊厳死という重いテーマについて考えさせられる海を飛ぶ夢、ミロス・フォアマン監督、ナタリー・ポートマン共演の宮廷画家ゴヤは見た等、お勧め多数です。

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