褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 砂と霧の家(2003) House(ハウス)とHome(ホーム)の違いが理解できる?

2020年02月03日 | 映画(さ行)
 毎日、何かと愚痴をこぼしてばかりいる俺だが、この寒い冬でも暖かい家に帰って布団の中で寝れることに幸せを感じる。しかしながら、今こうしている間にも自分の住む家が無くなってしまったり、手放さないといけない事が起きるようなことが充分にあり得るのは、災害の多い日本に住んでいる者ならば感じること。誰にだって好まざるともホームレスになってしまう可能性はあるのだ。
 さて、一軒の家を巡って元住人と現在の住人との激しい対立を描いた映画が今回紹介する砂と霧の家。原題のHouse of Sand and Fogを直訳しただけの邦題だが、これが非常に意味深で逸品なタイトル名だということは本作を観ればわかる。

 もしも自分の住む家がなくなったらどうしよう、なんて考えさせられるストーリーの紹介を。
 夫に家を出ていかれ精神的ダメージを背負ったキャシー(ジェニファー・コネリー)は、亡き父親の遺産である家で独り暮らし。しかし、わずか500ドルの税金をうっかり滞納してしまったために家を差し押さえられてしまう。キャシーが弁護士に相談へ訪れたところ、行政の手違いだと判明。難なく差し押さえを回避できると思っていたのだが、既に家は競売に掛けられており、イランから亡命してきた元高官のベラーニ(ベン・キングズレー)一家に買われていた・・・

 イスラム革命のあおりを受けてイランから亡命してきたベラーニだが、故郷では大佐である高官だった男なだけにプライドが高い。しかしアメリカに来てからは昼は肉体労働、夜は売店でバイトをしている屈辱の日々。そんな彼の目に相場の4分の1という非常に安い物件が目に入った。時代背景はリーマンショック前であり、しかもこの家から海が見渡せるように祖国を思い出させる。そして、しばらくしてからは、この家を相場で売って大金を得て、イランでの優雅な暮らしをアメリカの地でもう一度なんて野心に燃えている。それだけに偶然見つけたとは言え、この家に対する執着心は並外れている。一方キャシーの方も、このまま黙って見過ごすとホームレスになってしまうだけでなく、父親の遺産であり様々な思い出が詰まっている家を簡単に手放せない。
 お互いに引くに引けない事情があるだけに、一軒の家の所有を巡って激しいバトルが繰り広げられる。しかも、なかなか着地点が想像できないので先々の展開が気になり、退屈しないで観ることができる。そして、主人公の2人だけでなく脇役に至るまで細かい人間描写が優れているのも素晴らしい。特にキャシー側の助っ人的な役割を果たす地元の副保安官の男のキャラ設定が抜群。そりゃ~、キャシーを演じるジェニファー・コネリーみたいな美人でプロポーションも抜群だったら、助けたくなるのも当然ってか。

 ストーリーはドンドン悪い方向へ転がっていくし、結末もなんだか後味が悪く感じる。しかし、観終わった後に多くの人は感じるだろう。家よりももっと大切な物があるんだということを。ひたすら明るくて楽しい映画しか好まない人にはお勧めできないが、個人的には本作のような暗闇の中で一寸の灯りが見えるような映画はお気に入り。アメリカとイランの仲がただならぬ気配が漂っている今だからこそ今回は砂と霧の家をお勧め映画として挙げておこう。



 監督はヴァディム・パールマン。非常に斬新な構成と驚愕な結末に感動させられるダイアナの選択がお勧めです。


 
 

 

 
 
 
 
  
 
 
 
 
コメント (4)
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