今や日本人の引きこもりは子供だけではなく大人にも多くみられる。その数は70万人と言われているが、もはや引きこもり大国ニッポンと言われるまでの数字の上昇だ。引きこもりの理由は色々あるだろうが、会社に行く気力がない、何もかもが面倒くさい、嫌いな人と出会うのが耐えられない・・・等あるだろうが、今回紹介する映画家族の肖像のバート・ランカスター演じる老教授もこの映画を見ている限りだが、一歩も外に出歩かない引きこもりに見える。しかも、行動範囲が狭い。豪華なアパートに住んでいるが、自分の部屋とその上階をせいぜい行ったり来たり。この老教授の場合は人と会うのがどうやら苦痛。後は静かに本を読み、音楽を聴くことを楽しみ、多くの集められた絵画に囲まれて暮らすことに心の安らぎを感じている。ただ今の日本人の引きこもりと違って、どうやらカネは相当たくさん持っているようだ。
さて、こんな老教授を主人公にした映画なのだが、果たして本当に面白いのか、そもそも観る価値はあるのか?なんて心配してしまいそうだが、静かに過ごしたい老教授にとっては有難迷惑な無礼者が押し寄せてきてからが面白い。
それでは、描かれている舞台設計は非常に狭い空間だが、実は当時のイタリア社会を反映している奥深いストーリーの紹介を。
ローマの中心地の豪邸に住んでいる老教授(バート・ランカスター)は絵画のコレクターを集めて、部屋中に絵画を飾っていた。絵画の中に囲まれて本を読んだり、音楽を聴いて静かに暮らすことに安らぎを覚えていた。しかし、ある日のこと教授と画商が値段の相談をしているところを利用して、大富豪夫人のビアンカ(シルヴァーノ・マンガーノ)が巧みに近寄ってきた。彼女の狙いは老教授の住んでいる上階の部屋を借りること。しかもビアンカの娘リエッタ(クラウディア・マルサーニ)、その彼氏のステファノ(ステファノ・パトリッツィ)、そしてビアンカの愛人であるコンラッド(ヘルムート・バーガー)が次々と現れてくる。
教授はみずからの生活を壊されることを心配して上階を貸すことに反対していたのだが、あまりにもしつこく頼んでくるビアンカに根負けした教授は部屋を貸すことにする。ところがその日、上階を借りて住んでいたコンラッドは部屋を改造してしまい、下の階にいる教授の部屋は水浸しになる。あまりにも粗暴なコンラッドに手を焼いていた教授だったが、コンラッドが意外にも芸術全般に詳しいことを知り、次第に親近感が湧くようになってきた。
ある日の夜、上階に住んでいたコンラッドの部屋で騒々しい音が聞こえる。教授が上階へ上がってみると、コンラッドが血まみれで倒れていたのだが・・・
それにしても老人が住んでいるところに何とも我儘な奴らが侵入してきて、これは相当困った。勝手に部屋を改造するし、約束の晩餐には来ないし、若者三人が音楽をかけながらスッポンポンで踊っていたり、何かと教授を悩ませる。老教授からは考えられないジェネーレーションギャップのせいだと言いたいところだが、さすがの俺もこんな奴らが居候してきたら腹が立つ。
それでも老教授は家族が出来なかったことへの後悔から、押し掛け四人組を夕食に呼ぶ。ところが老教授のおもてなしをこの四人組がぶち壊し。可愛い女性エリエッタはそれほど害があるように思わなかったが、残りの三人はイデオロギーの違いから言い争いから殴り合いに発展。まさに当時のイタリア社会は共産党主義的な政党が台頭してきたが、左翼が力を持てば右翼も伸びてくる。このようなイデオロギーの対立は世界中で見られるが、この夕食のシーンにルキノ・ヴィスコンティ監督の想いが出ている。ちなみにヴィスコンティ監督はヴィスコンティ家の貴族の末裔でありがら、彼は共産党主義。そのような知識があれば、より一層この映画を興味深く観ることができるだろう。
ルキノ・ヴィスコンティ監督の名前は聞いたことがあるけれど彼の作品を観たことが無い人、家族というものをもう一度考え直したい人、この映画の制作時は共産主義が盛り上がったのになぜ今はすっかり下火になってしまったのかを知りたい人、自分が引きこもりであると自覚している人・・・等に今回は家族の肖像をお勧めしておこう
当初はネオリアリズモの代表的監督として労働者を描いたこともあったが、貴族の末裔ということだけあって次第にカネが掛かっているような豪華な映画に変遷していく。貴族の滅んでいく様子を描いた映画が多い。けっこう日本でも人気のある監督だが、個人的には嫌いな作品も多い。お勧めは寛容さに心が救われる若者のすべて、女の執念の凄さを思い知ることができる夏の嵐が良いです。
さて、こんな老教授を主人公にした映画なのだが、果たして本当に面白いのか、そもそも観る価値はあるのか?なんて心配してしまいそうだが、静かに過ごしたい老教授にとっては有難迷惑な無礼者が押し寄せてきてからが面白い。
それでは、描かれている舞台設計は非常に狭い空間だが、実は当時のイタリア社会を反映している奥深いストーリーの紹介を。
ローマの中心地の豪邸に住んでいる老教授(バート・ランカスター)は絵画のコレクターを集めて、部屋中に絵画を飾っていた。絵画の中に囲まれて本を読んだり、音楽を聴いて静かに暮らすことに安らぎを覚えていた。しかし、ある日のこと教授と画商が値段の相談をしているところを利用して、大富豪夫人のビアンカ(シルヴァーノ・マンガーノ)が巧みに近寄ってきた。彼女の狙いは老教授の住んでいる上階の部屋を借りること。しかもビアンカの娘リエッタ(クラウディア・マルサーニ)、その彼氏のステファノ(ステファノ・パトリッツィ)、そしてビアンカの愛人であるコンラッド(ヘルムート・バーガー)が次々と現れてくる。
教授はみずからの生活を壊されることを心配して上階を貸すことに反対していたのだが、あまりにもしつこく頼んでくるビアンカに根負けした教授は部屋を貸すことにする。ところがその日、上階を借りて住んでいたコンラッドは部屋を改造してしまい、下の階にいる教授の部屋は水浸しになる。あまりにも粗暴なコンラッドに手を焼いていた教授だったが、コンラッドが意外にも芸術全般に詳しいことを知り、次第に親近感が湧くようになってきた。
ある日の夜、上階に住んでいたコンラッドの部屋で騒々しい音が聞こえる。教授が上階へ上がってみると、コンラッドが血まみれで倒れていたのだが・・・
それにしても老人が住んでいるところに何とも我儘な奴らが侵入してきて、これは相当困った。勝手に部屋を改造するし、約束の晩餐には来ないし、若者三人が音楽をかけながらスッポンポンで踊っていたり、何かと教授を悩ませる。老教授からは考えられないジェネーレーションギャップのせいだと言いたいところだが、さすがの俺もこんな奴らが居候してきたら腹が立つ。
それでも老教授は家族が出来なかったことへの後悔から、押し掛け四人組を夕食に呼ぶ。ところが老教授のおもてなしをこの四人組がぶち壊し。可愛い女性エリエッタはそれほど害があるように思わなかったが、残りの三人はイデオロギーの違いから言い争いから殴り合いに発展。まさに当時のイタリア社会は共産党主義的な政党が台頭してきたが、左翼が力を持てば右翼も伸びてくる。このようなイデオロギーの対立は世界中で見られるが、この夕食のシーンにルキノ・ヴィスコンティ監督の想いが出ている。ちなみにヴィスコンティ監督はヴィスコンティ家の貴族の末裔でありがら、彼は共産党主義。そのような知識があれば、より一層この映画を興味深く観ることができるだろう。
ルキノ・ヴィスコンティ監督の名前は聞いたことがあるけれど彼の作品を観たことが無い人、家族というものをもう一度考え直したい人、この映画の制作時は共産主義が盛り上がったのになぜ今はすっかり下火になってしまったのかを知りたい人、自分が引きこもりであると自覚している人・・・等に今回は家族の肖像をお勧めしておこう
家族の肖像 デジタル完全修復版 [DVD] | |
バート・ランカスター,シルヴァーナ・マンガーノ,ヘルムート・バーガー | |
KADOKAWA / 角川書店 |
当初はネオリアリズモの代表的監督として労働者を描いたこともあったが、貴族の末裔ということだけあって次第にカネが掛かっているような豪華な映画に変遷していく。貴族の滅んでいく様子を描いた映画が多い。けっこう日本でも人気のある監督だが、個人的には嫌いな作品も多い。お勧めは寛容さに心が救われる若者のすべて、女の執念の凄さを思い知ることができる夏の嵐が良いです。
旅費が浮くどころか遊びまくったよヽ( ・∀・)ノ
http://houkei.yycola.net/gyaku/bdskkoBY.html