リエさんちへの滞在、三日目です。朝から雀の声も姦しい囀りに、暫し我が家に帰った感覚になるが、青空の覗く道を歩いて、電車にて深川に。記念館を訪ねれば、大鵬展に行き合わす。正面の階段を上がりながら、夏でなくてよかった。と内心で思う。中に入れば、何処からともなく職員が。
長屋があり、火の見櫓あり、下町の情緒あふれる佇まいです。猫ものどかに屋根で鳴いている。思わず、たまやと声かける。長屋の住まいには、野菜が置かれ、笊やら籠やらが並んでおり、台所には水甕、竈等の、当時の生活用品が見える。職員が説明するまでもなく、子どもの頃にはあった物。
そこから移動し、小津安二郎記念館に行く。おおっ!原節子さん、岡田茉莉子さん、往年の女優陣が並ぶ。高峰秀子さんも、噂に違わず美貌ですな。然したる興味の程でもないが、有名監督でもあるので、見ておこう、という不埒な考えで入る。料金は無料にて有難いことです。桜も満開にて。
墨田川とは違った情緒もあり、ゆっくりと散策するには頃合いです。宮部みゆきさんのお住まいもあるとか。霊源寺にも行きましたよ。震える岩を読んで怖かった。冬には読んではいけない。これは小泉八雲です。で、深川不動さんに足を向け、お参りしてから昼食を摂る。深川丼が旨かった。
お腹がくちくなると、眠くなるのですが、リエさんに付き合ってもらう立場では、欠伸の一つも呑み込んで見物です。八幡さまには、入り口に伊能忠敬像があり、驚きました。深川の桜祭りを堪能して土産物屋に。ここで煎餅を買い、お茶をよばれて帰路に着きます。上々の天気でありがたや。
リエさんは晴女ですよ。赤穂浪士の際も、曇りながら雨は降らず、予報通りの夕方にびっくり。深川は、宮部みゆきさんにこそ遭遇しなかったが、お宿かわせみ・長寿庵の長介、捕り物の場面も浮かぶ、小粋な町を思いました。ブラタモリも影響していて、当時が蘇えって、心弾む一日でした。
夕方には買い物を済ませて帰宅。リエさんのご主人さまの作る、ピザに舌つづみを打ち、近所で買って来てくれた、珈琲豆を挽いて淹れての味を堪能し、ワインも戴きながらの歓談。kazu君は、話し上手であり、気づかいのやさしい人柄です。大歓迎をしてくれての、さり気ない心配りです。
ロイも歓迎の意志で、膝に乗ってきてくれました。すばるはどうしているかしら?と、片隅で思いだしましたが、預けて心配するよりも、自宅の方が安心なことも。明日は帰路に着くので、手足を伸ばしての入浴。今晩は暖かくていい気持ちです。リエんのおもてなしにも甚く感謝するばかり。
我が家には、茂木を始めとした、田中も、房州もあり、掛けあわせたのや、白枇杷もある。