孫の湯
東戸倉に「孫の湯」と云う銭湯がある。
昔懐かしい破風?造りの入り口の屋根、今時このような形で営業している所は珍しい。
一度入って見たいと思うが、我が家からは離れすぎていて行く気になれないのが残念。
子供の頃は、家から10分ほど先にある銭湯に通っていた。
料金は確か子供は10銭だったと記憶している。
内風呂があるのは余程のお金持ちの家にしか無く、庶民の子供たちは皆銭湯だった。
銭湯には色々なおじさんがいた。
浪花節を唸る人、刺青のおじさん、45度位の熱くて入れないような湯船に浸かり、自分が入っているうちは水を入れて温度を下げさせないおじさん、その頃必ずいた三助と呼ばれる背中を流し、肩もみをしてくれる人に、パンパンと威勢の良い音を響かせて肩を叩いてもらっているおじさん、色々なおじさんがいた。
庶民の憩いの場、一種の社交場でもあった。
戦後の銭湯はひどかった。
着物を脱いで入れて置く衣装籠には、シラミがいた。衣装を入れる前に籠を逆さにして床にパンパンと打ち付けてから衣装を入れたものだ。
また、綺麗な衣装はあっという間に盗難にあったりする。
履物なども良いものは持って行かれてしまう。
私も比較的新しかった下駄を盗まれて裸足で帰ったことがある。
そんな浅ましい時代もあったが、この「孫の湯」を見るたびに昔の銭湯の楽しさを思い出す。