純シチリア料理と書かれた看板。
知らないと前を行き過ぎてしまうほどの小さな店。
やっと来れた、茨木の「トラットリア・イル・ピスタッキオ」。
わずか8席。若い主人が一人で切りまわす。
前菜の、マグロのカラスミとトマトのブルスケッタ。 よき滑り出し。
シチリアご存じか…。 イタリアのブーツでポンと蹴った辺り、地中海に浮かぶ島。
蕎麦の実みたいな形をしている。
上はチーズのスモークといったか、下はカジキの生ハム。
黒いのはブータンノワール。血液に香草など混ぜてソーセージにしてある。
アニスの香り。
塩は強め。シチリアでは大方こういう感じなのだろう。
南部イタリアを旅した人は塩っ辛かったとよく言うが、気候のせいで、
日本人がパッと行って口に合うなんてことはまずないのかもしれない。
オイルサーディン
この店の面白いのは、年の半分が魚ばかり。半分が肉ばかりという。
甘エビとオレンジ
延々こんな前菜が続いて欲しい…。いくらでも飲める。財布にゃ限度がある。
シチリアの白ワイン
鉄拳のパラパラ漫画みたいなラベル。
うっひょ~! 生シラスが出てきた。
パン・コン・生シラス
こればかりは新鮮でないといけない。
続いて、サクラエビ。 静岡で解禁されるのは今時分だったか。
シャク・シャク…
イタリア料理店というより、静岡の郷土料理っぽい感じ。
ムール貝、小海老、イカ、我ら日本人とシチリアとは合うね。
小魚が好き、マグロをよく食べるし。
この日のパスタは、生うにがたっぷり乗ったスパゲッティ。
思わず歓声が…。
イワシの粉・フェンネル・松の実などがかかった、ブカティーニ。
派手さはないが、シブめのママンの味といえようか。
ナッツがかかった鯛の身のクスクス。
ブロードをかけて食べたのかな、うろ覚え。
クスクスっていうのは小麦粉、セモリナ粉を指で粒状にした北アフリカ
アルジェリアあたりの食べ物らしいが、仏領があったことから仏料理にも以前から使われる。
きっと国境を接するスペインにもあるのだろう。
米飯食を真似たものという説もある。
この夜は白ワイン出ずっぱり。
イカ、赤海老のフリット。
プリリとしたイカ美味し。白はもちろん、もう何にでも合うね。
鯛のアクアパッツアのような煮物。
軽い塩とトマトの酸味で、かろやかな味。
メインはカジキの串焼き
えっと、中に詰め物してあったけど、何だったか忘れた…。
それほど印象に残るマッチングではなかったということだろう。
カジキマグロという呼び方をしてるがそいつはまちがい。
カジキと鮪は学術上も別物なのだ。
シチリアというと、ご存じマフィア。 神戸というと山口組みたいな図式で悪いけど。
20もの共和国があったイタリア。産業革命以降、工業都市となったミラノを中心とした北部に対し、
南部イタリアは農業中心で、労働力として北へ移るものも多かったそうな。
離島になれば尚のこと厳しい経済事情があっただろう。
自国でも差別されたりして(知らんけどね)、1900年初頭、多くのシチリア人たちは
船に乗り込み、自由の国アメリカを目指した。
だがそこでも、マッケローニばかり食ってやがると馬鹿にされ、ついには
マフィアとなって勢力を伸ばし、血で血を洗う抗争を繰り広げたという訳。
ゴッドファーザーpart3に、シチリア名物のドルチェが出てくる。
それが…右端にあるカンノーリ。
小ぶりに作ってあるが、もっとでかいのもあるらしく。
蕎麦粉だったかの生地の中に甘いリコッタチーズに、クラッシュしたチョコと
ピスタチオがくっついている。
最期に店名のピスタッキオが出てきた。
これを食べながら、苦いエスプレッソを一杯すすれば、極上のシメとなること請け合い。
カンノーリは複数形で、1個ならカンノーロ。
漢字で書くと、官能裏。
マフィアもお気に入りのデザートだ。
官能の後の裏道には気をつけなければならない。
マンマミ~ヤ!!