数多い鍋料理の中、やはりふぐ、てっちりというと目の色が変わる。いくら、クエだのスッポンだの言われても、ふぐというとひと味違うのは、あの雑味のない淡白さにあると思う。こればかりは初めて食べてハマるというものではない。何度か食べている間に分かってくる、そういう味なんだと思う。
年に何度かは頂きたいと思う、てっちり。天然ものに勝るものはないだろうが、3~4万円はおいそれと出せぬ。ここはグッと涙をのんで養殖でもよしとしよう。いやいや、養殖とて捨て難いものがある。
てっさ
ちょいと厚切り。量がたっぷりあるのが嬉しいふぐ刺し。少し取っておいてしゃぶっとしてもよし。
湯引き
これも昔は何処が美味いのか分からなかった。
ほとんど歯応えとポン酢の味である。でもムニムニ食べて酒を飲むと、そこはかとなく、てっちりで一杯やってることの愉しみ、贅沢さをしみじみ感じることができる。安いんだけどさ。
ひれ酒
こればかりはぬる燗ではいけない。アツアツの飛びきり燗をふーふー言いながら頂く。てっちりの時でないとまったく欲しいとは思わないが、なけりゃ寂しい。 ¥680
空揚げ
誰かにふぐの美味さを問うと、答えに窮し、空揚げが美味いと言った奴がいた。上身もいいが骨のついたアラの部分の空揚げがまた美味。手づかみでワシワシ食いたい。
焼きふぐ たまり醤油で和えたのを炭火で炙る。
たまらん香りが食欲を刺激する。
何度かつけ焼きにすると、さらに風味もよろしく。
これを専門的には“メイラード反応”とよぶ。
さぁてメインエベント、てっちりの用意も揃い・・・
ここは紙鍋なのが面白い。アクが出ない。
てっちりの美味さ・・・普通の鍋は具材をいろいろ入れて、味が複雑に絡み合うことのうま味。だがてっちりの場合は珍しく掛け合わせない。引き算のうま味。あるかないかの淡味。それと、ふぐを食べている充実感だろうか。昔なら、これに生命の危険も伴う緊張感まで付いてきた。
淡白な中にも、ふぐから上品なだしが出る。
これを残してなるものか。
したがって雑炊となる。漢字で書くときたない。
ぞうすいと平仮名にしたい。
客席係の女性が作ってくれる。社内である程度認められないとぞうすいは作らしてもらえないと聞く。
ああ、あったまる。
改めて、鍋の第一はてっちりだと思った一夜であった。
これに、メイプルナッツアイスか柚子シャーベットがついて、
秘玄極味コース ¥5780 どう?腹も立たない値段でしょ。
玄品ふぐ 高槻の関 高槻市城北町2