土日だけ営業する隠れ家店。福島のバーカモメ、京町堀のバー立山のオーナーTさんが趣味で始めた店。ごっつゆるい感じがよろし。この辺り、かつて浦江と呼ばれたところ。旧朝日放送からは割に近い。あ、ABCホールも大阪タワーも、もはや影も形もない。あすこは夢まぼろしを作っていたのだなぁ。
古い店舗か倉庫を店に改造。
お得意の手作り感ありありの店内。
舞台美術のようなちょいちょい仕掛けある楽しさ。
今日のとりあえずは、ポテサラ・・・望むところだ。
ポテサラはエライ。酒も選ばず、メシのおかずにもなる。
大人も子供もいけて、バーでも居酒屋でもある。
こう見えてポテサラにはうるさい。いろいろ入っていれば嬉しいが入りすぎてもダメ。リンゴなどは勘弁してほしい。
東京は逆に引き算のポテサラがあり、ジャガイモと玉ねぎだけの祖師谷大蔵の居酒屋のは出色だった。
これは若き女将、直子さんの手作り。
魚肉ソーセージ炒め。
がさつな男がやるといくらでも小汚い料理になりそうだが、
女性がやるとなんか優しくなる。
揚げ豆腐 いちいち揚げて熱いのが出る。
週末、どうせ何処かで飲んでるんだから店開けちゃおう。
そのくらいの感覚で始めたそうな。
だから客はいろいろ求めてはいけない。
店主たちの気まぐれにつきあうぐらいの方がいいだらう。
誰だい、トマトたのんだ奴ぁ。
トマトをあてに飲む人がいるが、それだけは賛同しかねる。
酒の合間に食うならまだしも。
ハムカツ。こいつも通し揚げ。
昔のハムカツは何肉だかわかんないようなプレスハムだった。
あの野趣溢れるハムに食らいついた迫力が、平成の世の中
にはないなぁ。
店主がこれがやりたかったという仔羊。塩コショウ、クミンをかけて目の前で焼き上げる。この値段では儲からないという@400
骨を持ってかぶりつく。おお、生命力あるある。
赤ワインをグビグビ・・・。
もいいが、意外に紹興酒が合うという。
なかなか珍し、焼きラーメン。
焼きうどんもあるが、たまにはこの細麺がカイカン。
後方に見えるのはウエスティンホテル。
小ぶたの提灯の左に、羊肉。一体何屋だと思われるのも無理からぬところ。
小ぶた 大阪市北区大淀中2
今も元気な力餅食堂があると聞いてやってきた、玉出。
力餅食堂が120年も続いてきたのは何か秘密があると睨んでいる。多くは家族経営で後継者問題、売上不振であえぐ店もあれば、こちらのようにまだ職人を雇っている店(と聞いた)もある。
ここの親方は85歳、現在の力餅食堂大阪支部の執行部の長老である。ちょっと仁左衛門に似ている。麺業組合のエライさんでもあるとのこと。
小ざっぱりした紺の暖簾がかかっている。
入口左側には、やはりおはぎなどの甘味コーナーがある。
昼下がり。おひるを取り損ねたか客たちか、ぽつぽつと客足が途切れない。利用者の年齢層は高い。長閑な風景だ。
メニューはオーソドックス。でも同じ力餅でも少しずつオリジナルメニューがあったりして楽しい。
お年寄りには讃岐系のコシのある剛麺を啜りあげるのはつらかろう。やはり柔らかめの大阪風のうどんの方が食べやすいというのは想像に難くない。それに大阪流のちょい甘めのだしが馴染んでいるのだろう。年配に人気がある。これからの高齢社会、力餅が生き残っていくヒントがそこにある気がする。
机の上には星占い付きの灰皿。昔は喫茶店によく置いてたもんだ。物持ちがいいねぇ。
オーソドックスなきつねうどん。大ぶりのきつねが一枚。
直球どストレートにして、優しい味。南船場・松葉家総本家から始まったとされるきつねうどんだが、巷に佳品がいくらもある。
一方こちらは高槻センター街にある力餅のきつね。ザーッと勢いよくだしを注ぎ過ぎるのか、泡が立つのはよろしくない。ここは商店街の中にあるため、買い物客のご婦人たちが多く、ここの中華そばはあっさりとした夜鳴き風で、これまた人気がある。
ここのだしはエッジの利いた濃いめ。先日行った野田と同様、和歌山系の力餅の出身だという。同じ力餅でも教わった親方によって、味が似てくるのも面白い。
町場の食堂のうどん、わざわざ行くご馳走うどんとはもう一つの世界がここにある。美味いだの不味いだのという前に、自分の町の構成要素の一つになっているような日常うどん。ちょっと食べてみたいでしょうが。力餅再発見を唱えたいと思う所以だ。
力餅食堂 玉出店 大阪市西成区玉出西2
高槻店 高槻市高槻町 高槻センター街
いい年のおっさんが食べにくい食品のひとつに、たこ焼きがある。
その辺の地べたに座して食べる若さはない。立って食べるのは人目がある。さりとて持ち帰りでは冷めてしまう。ちょっとイートインがあるのが有難いが、客が若いのばかりだと気が引ける。
天五中崎商店街「うまいや」。音に聞こえたこの店の前を素通りするのはつらい。店前ではせっせと孫とおかんが焼いている。
「え~い、入ってしまおう!」とある昼下がり、店頭で注文してから、ちょいと敷居をまたがせてもらった。
たこ焼きに何の飲み物を合わせるかは大きな問題である。
ここには保証牛乳というのもある。たこ焼き&牛乳=子供。やってみたいが少々ガキっぽい。一番合うのは水だ。ソース味には水が一番相性がいい。だが、ここのたこ焼きは生地にしっかりと味の付いただし系であり、油を足しつつしっかりと二度焼きされた、なかば揚げものに近い香ばしさもある。これには冷たいビールが適当だ。
均等に丸ではなく、無骨な感じがいいでせう。焼き立てのあつあつを放り込み、急いでビールで消火に当たる。そのままとソースを刷毛で塗るのと二通りの食べ方を楽しむ。
たこ焼きの屋台でも引く・・・ひとは簡単そうに言うが、夏は猛烈に暑く、冬は足先から凍える中での作業。しかも単純な作業のくりかえしは生半可でできる仕事ではない。去年、主人夫婦は一線を引いて娘&孫にバトンを渡した。
たかがたこ焼き、だが大阪人としては単なるおやつとして軽視できないものがある。生地づくり、道具へのこだわり、ひとつの料理カテゴリーに入るほどまで頑張ってきた喜多さん。彼の負けたらアカン精神は、亡き息子の嫁へ、そして孫へと力強く受け継がれている。
うまいや 大阪市北区浪花町 天五中崎商店街
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/41/585e98ead2c1673eadb2a0740c266b8f.jpg)
浅川マキ亡くなりし晩に、ミッキー安川もまた。
出会いは小学校時代のローラーゲームだった。プロレスになかばマンネリ感を感じていた頃、東京12チャンネルという新興チャンネルと共に忽然と現れたスピード感ある格闘技に圧倒された。サンフランシスコ・ジャイアンツ、東京ボンバーズ・・・
怪しげなアメリカ人たちの中で互角に渡り合っていたのがミッキー安川だった。米国留学時代に身に付けたスラングで、ポーキーなどとやりあっていた正体不明のバタくさいおっさん。トラブルに油を注がせたら天下一品だった。
横浜のセントジョセフカレッジだかの出身で、EHエリック、岡田真澄、ウイリー沖山なんかと一緒に舞台に出たとか言ってたな。ウイリーはヨーデルの名手なんだがインド人なんだぜと語っていた。
中野鍋屋横丁の21という店で一緒になった。ここは故エディ・タウンゼントの奥さんがやるスナック。ミッキーさんは一杯やりながら米国武者修行時代のことを語ってくれた。
彼がいた時代は人種差別の厳しい時代。生意気だったし英語はよく解らないし、とにかくコテンコテンに殴られ続けたという。ある時、ぶちのめされて、あんまり頭にきたので、カウンターの中で沸いているスープの寸胴を相手の頭から浴びせてやったという。それからはようやく「あいつはcrazyだ」と認められるようになったという。存在を認めさせるには本気でケンカしなきゃいけないんだ、とそんなことを言ってたような記憶がある。
べらんめぇ調だが、下町風でもなく堂々たる体躯に青い背広なんぞをシュッと着こなして、ハマ育ちの颯爽たる米国帰りだった。テレビでガチンコでリポーターを務めた最初の頃の人ではなかったろうか。そして最後まで右か左かもよくわからぬ正体不明な人だった。若き日、日劇ミュージックホールでショーの合間のコントなんかをやってたというから、そういう謎の部分は詳らかにしない方がいいと知っていたのだろう。
あの世でもひと暴れしてください。合掌。
いま関西は讃岐うどんの台頭著しく、讃岐に並び称されるほどのグレードを誇る店も少なくありません。讃岐に行くと、いかにも生活に密着した、古くから暮らしの一部として存在したうどんがあることに、さすがうどん王国の思いを強くするのですが。
手打ち讃岐うどんもいいけど、ああいう麺は気力体力が充実している時でないと負けてしまう。行って見ればハレのうどんであって、日頃は普段着のうどんの方がいい。文字通り普段着のうどんが食べられる店が、力餅食堂なんです。
関西人ならこの暖簾、一度は目にしているでしょう。
杵が重なり、ど真ん中に「力」の文字が力強い。
たいがい何処の町でも一軒ぐらい見かけた「力餅」ブランド。
ここは野田店。阪神野田阪神からすぐの一等地にある。
非常に昭和の風景です。
きょうびのうどんに比べて、安いのが何より。
雑煮やおはぎ、赤飯を売っているのが力餅食堂の特徴。
麺は外注してもおはぎなどはほとんど自家製です。
お腹いっぱいにしようというのぢゃない、虫養いにちょいとお腹に入れときたいとか、凍えて身体を芯から温めたいなんて時もあるだろう。そんな時にとじもんはあったまる。卵とじ。あるならば、けいらんも行きたい。
一方こちら、天五中崎商店街にある「中崎力餅」。
ここも建物の左手で餅菓子を販売している。
ばらずし、稲荷ずし、赤飯、おはぎ…茶道の席で用いられそうな上菓子にあらず。野暮であか抜けないぼたもちなだけに、逆に郷愁を誘う気がする。
後継者不足で「力餅食堂」は存亡の危機にある…などという記事が昨12月に新聞に踊った。でも元気な店は案外元気だ。こちらもひっきりなしに客が来る。一人でうどんをすすり、おはぎを食べて行く。
すうどん。うるめやサバなどの雑節で濃いめの出汁をひくのが
力餅の伝統といえようか。じわっと来る美味さ!それに比べ柔らかく力のない麺。でもこの方が出汁が引き立ちそうだ。
特製カレー皿うどん。うどんにカレー粉を打ち込んである。
その上にコクのあるカレールー。
ここは自家製麺だけにこんなこともできる。
カレーざるそば 麺はプーンとカレの香りがする。
つゆや薬味はいつものざると一緒。
研究熱心の主人はともすれば、変わり者のようにも言われるが
たくまざるチャレンジャーである。
手前はコーヒーざるそば。のどごしがいい。
ここは定番の赤飯は行っておかなくては。
この後しばらく、力餅行脚は続きそうだ。
力餅食堂 野田店 阪神野田阪神 駅前
力餅食堂 中崎町店 天五中崎商店街内