失礼な表題お許し下さい。 この度は火災お見舞い申し上げます。
心より尊敬する蕎麦屋で、火災と聞いて動揺いたしました。
創業明治12年、江戸蕎麦藪の本家として今も君臨していました。
蕎麦屋で酒を呑むということを学んだのもここです。
すきっとした白い徳利でやる燗酒に蕎麦味噌。
竹の囲いがあり、坪庭を通って店に入るすがすがしさ。
「せいろう~にま~い、一人さま~」
「ありがとうぞんじま~~す」
客席と厨房との間に帳場があって、そこを掌握する
女将さんがいらして、その声がいいのです。
語尾が伸びて、それがかすかに揺れて、
ちょっとした声明のような響きになる。
惚れ惚れしながら、聴いておりました。
こののんびりした物言いにも泰平の江戸の風情が感じられて、
本当に気持ちのいい店でした。
戦災にも耐えて昔の佇まいを守ってきたのに、
火災ごときで消失するのは耐え難い思いでしょう。
おつらい心中お察しします。
神田やぶそば、堀田さん。どうか頑張って立ち直ってください。
一蕎麦好きとして、大阪の地より応援しております。
この際、都民と行政一体になって、神田連雀町を風致特区として残して欲しい。
「やぶそば」、「ぼたん」、「いせ源」、「松栄亭」、「竹むら」、「ショパン」、
「まつや」、「志乃多寿司」…なんかを、まだ健在なのかどうか知らないけれども
こういう店含めて生きるテーマパークみたいにしてしまう。
周りにビルなくして、アスファルトなんかもひっぺがしてもらいたい。