某日、鶏へのこだわり方がハンパではないと聞いていた、近江堅田のかしわ屋さんへ。併設の鶏料理屋のカウンターはなかなか予約が取れない。集まったメンバーは堂々たる体躯の男たち。ラーメン屋さん、ソムリエさん、鮒寿司屋さん、司会・演出・ホン屋、職種は違えど放送関係3名。体格からしてまさしく重鎮。我々などとてもとても。
淡海地鶏 食べつくしコース
淡海というと淡路島を想起するが、これでおうみとも読み、
近江国のもう一つの呼び方だそうだ。
主、川中さんご夫妻が料理とサービスを務める。
鶏皮せんべいでビールをグイッと始める。
パリパリとクリスピー。あっという間になくなる。
白肝のコニャック漬け オリーブ油
まさしく、フォアグラ。
スモーク盛り合わせ トサカ・レバー・モモ
トサカはコリコリっとした食感。ヒアルロン酸の塊とのこと。
この小さめのトサカはメスのもの。
丸いのはヒゾウ
ソムリエ氏がワインリストの値ごろ感に欣喜雀躍。
カリフォルニアのロバート・モンダヴィ・プライベートセレクション・シャルドネの07年。
こちらはオスのトサカ。メスに比べて硬いので、薄く切ってポン酢で食べる。すると氷頭なますかナマコ酢のよう。
近江高島の萩乃露 純米吟醸“翠” (福井弥平商店)
無濾過生囲い、一回火入れ。
仕上げに純米大吟醸をブレンドして、さらに華やかな香りに。
手前から、もも肉のなめろう・胸肉の棒棒鶏・玉子そぼろ巻
出し巻きの中に、甘辛い鶏そぼろ。こいつはイケる。
小布施酒造 ソガ・ペール・エ・フィス Miyamanishiki‛08
信州産美山錦だけを使った純米吟醸酒。
(この写真はどなたかの画像をお借りしました…)
鶏スープ。
丸鶏と手羽をコトコト煮出したもの。
ほんのりと生姜の香り。
お腹が温まる・・・さぁ、宴は始まったばかりです。
駅に近いのだが隠れるようにある店で、こういう店は割かし当たりだったりする。店前に燗酒の旨い店みたいな張り紙がされていたのが気になっていた。
入ったならば見事に当たりで、静かな大人の酒亭といった塩梅だった。この日は亡き友人の息子と飲んだ。もう、そんな年になってしまったんだ。まいったなぁ。
銀河高原ビールの樽生で乾杯だ。
ここの女将さんは利き酒師でもあり食養管理士でもある。
柿と大根のなます
柿は酒飲みにはとてもいい。
ここにある日本酒は、大七、神亀、秋鹿、日置桜、強力など
純米酒のみ。
なすの煮びたし
酒は燗付け器でお燗しながら飲む。
早めにお湯の中からちろりを取り出しておく。
海老芋と棒だらの煮物
出会いものとして両者は作用しあい、一層おいしくなる。
おでん数種
お酒のことを質問したら、調べてきちんと返事をくだすった。
そういうきちんとしたことのできる店は、悪いはずがない。
がちゃがちゃした店も多い高槻だが、こういう静かに飲めるカウンターもある。
海鮮築山 高槻市芥川町1
中之島にある大阪ビルディング、ダイビル。
建造されたのは1935年。村野藤吾などの建築家が参加しての大プロジェクトだったが、2010年には取り壊しが決まっている。
窓などもいささか小ぶりであるが、神経の行きとどいた造りが
偲ばれる。
玄関上のファサード、レリーフなど見るべきものが多い。
代替の新築ダイビルができているが、新しいのは味気ない。
こういうものを利用して、外観はそのまんま、中を利便性に富んだものに造り替えられないものか。
見おさめぢゃ!!
ダイビル内部はこちらに。
http://www.geocities.jp/hetgallery/daibiru_photos.html
風が気持ちいい川っぺりを歩きながら、東の方へぶらぶら。
大阪地方裁判所の辺りを北へ折れて、老松通りへ。
時間のある時にしか行かない蕎麦屋がある。
軽く汗をかいたのでビールをいただく。
その日によって山葵の茎のおしたしとか、かえりの干物などが
出るのもたのし。
実は・・・時間がある時というか、一杯飲んでも問題ない時。
ひらめだったかの造り
ずいきととろろだったかな…
蕎麦には酒。うどんに酒は合わぬが蕎麦には酒と
昔から決まっている。
出雲の純米酒、豊の秋をぬる燗で。
辛味大根 おろし蕎麦
ピリピリッと辛いのがよろし。
辛つゆは修業先、翁の高橋邦弘氏譲りのコクのあるもの。
これでなきゃいけない。
もりそば一枚に1000円ほど支払う訳だから、なかなか普段使いの蕎麦屋という訳にゃいかない。内田百風にいうと、普段着の蕎麦は駄蕎麦だから旨いもまずいもない。翁さんは一枚1000円のハレの蕎麦の道を選んだのだから、レベルの高いものを出してもらわねばいけない。
湯葉そば。
かけだしは先々代のお祖父ちゃんが作った味を踏襲。
そこらへんに西天満で70有余年の矜持がある。
近頃、若奥さんの担当で、季節のご飯が始まった。
この日は、かやくごはん・・・上々の味。
今月ミシュランで星一つを獲得した。まずは喜ばしいことだ。
ぶれることなく、いつ行っても旨い蕎麦とゆっくりできる空間で
あってもらいたい。
なにわ翁 大阪市北区西天満4
来たかったビストロ・ヴァン・ダイガクの新店。今春の開店。
どなたかのブログで拝見し、その佇まいの素晴らしさに瞠目。
仕事がらみの親睦会。合コンぢゃねぇよ。角野卓造ぢゃねぇよ。
イベリコ豚のチョリソつまんで、ビールをクイッと始める。
アルザスのラシーヌ・メチス
酸味も適当にあってスキッと爽やかな白。
メニューはENTREE(前菜)とPLAT(主菜)、それにパン、デセールorフロマージュ、コーヒーを付けるというシンプルなもの。
前菜 ブーダンノワールのクロケット
豚の血の黒いソーセージのコロッケですな。
肉食歴たかだか140年ほどの日本では豚の血液まで料理にするなんて考えられません。隣のお皿から少し分けてもらったけど、こいつにゃ赤ワインでしょう。
私のは、鮑と有機野菜のサラダ仕立て肝ソース
鮑を食べて「消しゴムみたい」と称して電波に流れたアナウンサーがおりますが、独特ですね、あのプリリと歯茎を噛むような食感。蒸しても煮ても美味。肝ソース秀逸。
沖縄琉球豚のロースト 緑コショーのソース
ロワールのサンセール ヴァンサン・トラポルト
ソーヴィニオン・ブラン
牛ハラミのステーキ
私の皿、 山形四元豚のコンフィ ペッパーマスタード
低温の油の中でじっくりと火を通す。下はレンズ豆。
大ぶりの肉にナイフを入れる、頬張る喜び。ああ、オレは生きている。・・・はオーバーか。
コートドニュイの北部、マルサネ・ブラン
ロゼワインで知られる土地で、白は僅かに作られるそう。
カスレ・メゾン (鴨コンフィ、トゥールーズソーセージ、豚足)
そもそもは南仏ラングドックの郷土料理。
白インゲンと塩漬けの肉なんぞをグツグツ煮た田舎料理。
少しもらったら旨いのなんの。でも一人でひと鍋は飽きそう。
上州牛リブロースのグリエ
これもガッツリやってました。
ビストロ料理はボリュームなくてはね。
ブルゴーニュ ピエール・ギュイヨン 2000 ピノノワール
新鋭のドメーヌながら注目株とか。残念ながら味の記憶はほとんどございません。グビグビやってしまうからです。
もう少しワインが残ってたので、デザートよりフロマージュを。
ひとの頼んだデザートが旨そうに見えて仕方ない・・・
ピーチメルバ
サボイホテルの名料理人エスコフィエが客で現れた歌手メルバのために作ったデザート。フランボワーズのソース。
エクレア・メゾン
中二階から見下ろすと、この雰囲気。たまらないね、こりゃ。
場所を表のテラスに移して、食後の小菓子とコーヒー
満ち足りました・・・。
お隣はビオワインで知られるFujimaruさんのワインカーブ。
これもオールドファッションでいかす。
屋号は蝶ネクタイの意らしい。
だから、店主ダイガクさんも、グラスの豚も蝶ネクタイを結んでいる。
気取りのないいい店。旨いもんをガツガツ食べて、どんどんワインを空けて楽しみたい。そんな人にはうってつけ。
Le Noeud Papillon ル・ヌーパピヨン 大阪市中央区安土町1
夕暮れの京都東山、円山公園音楽堂。
ボクもご多分にもれず、幼くしてアメリカ音楽の洗礼を受け、憧れ続けた世代である。ボクにとっての音楽の都はウィーンではなくてナッシュビルだった。19歳で降り立ったナッシュビルでの印象が、今なお音楽的に突き動かしているといってもいい。若き日、この円山はブルーグラスの西の拠点だった。
「Country Dream」というコンサート。ゲストは、ブルースハープのCharlie McCoy、フィドラーのKenny Sears。
チャーリーは今年Country Music Hall of Fame(名誉の殿堂)入りを果たしたブルースハープの第一人者。スタジオミュージシャンA‐teamのリーダー的存在としても知られる。20回も来日しているらしいが、やっと見ることができた。
チャーリーが参加したArea Code615、Nashville Super Pickersにどれほど憧れたことか。
アップテンポのファナティックな曲での演奏はもちろんスゴイが、スローなリリカルな演奏には胸がいっぱいになった。音が秋の空気を伝わって客席を包みこみ、心に染み込んできた。
Kennyはウエスタンスイングバンド、Time Jumpersのリーダー。今もナッシュビルのライブハウス「Station Inn」に出演し続けている、わがアイドルの一人である。静かなケレン味のないプレイは好感が持てる。今回は奥さんで、正統派女性カントリーシンガーDawn Searsの方がメイン。
ヴィンス・ギルのハーモニーパートナーとしても知られるドーン。若き日はアイドル的存在だったが、今はご多分にもれず腰から下が南部のおかん的体系に。
特に思い入れがあると語ったミッキー・ニューベリーが描いた「Sweet Memories」が素晴らしかった。この歌、きちんと聞き返さねば。初めて聴いたのは他ならぬチャーリーマッコイのリードアルバムだった。
ライブハウスもいいけど、いつかこんなカラリと晴れた秋空の下でやりたいな。
さて、10月25日(日) 申し訳ないねぇ、昼間のインドアで。
アメリカンミュージックの虫に刺された男たちによるモロアメリカ音楽。やらいでか、ウエスタンスイング!ヒルビリージャズ!
寄りも寄ったり11人。とかくメダカは群れたがる。ほっとけ。
小さな工務店ぐらいの人員揃えて、お待ちしています。
10月25日(日)Open14:00 Start15:00 ライブハウスFortworth
JRさくら夙川駅下車、南へ2分。R2沿い。