某日、神戸新開地へ。阪急神戸線で一本で行ける割にはなかなか用事がなく、来ることがなかった。
かつては映画館が立ち並ぶ繁華街で、ここで淀川長治少年はニコニコ大会などの映画を見て育った。
大阪ものとしては、ちょっと新世界にも似たニオイを感じる。
洒落た商店街のゲート。夜の帳が下りると、極端に人が少なくなる。それも、女性の姿が。
それもそのはずで、筋を一本入ると福原という一大花街(現ソープ街)になるのだ。なるほど・・・
カラフルなテントに、いかにも酒を飲ませそうな世界長ののれん。立ち飲み「吉美屋」。
ここの名物は太打ちの日本そばのソース焼きそば。
まだ未食の「トシヤ」。
謎の店、居酒屋「ふんどし」。ふんどしだぜ、ふんどし。
自暴自棄に名付けたか、何か深いものがあるのか・・・
カラオケ屋の真下に交番がある。
ほぼ流行のない洋品店。
隣り合うのは、今では人気のない瓦せんべいの店。
世間から瓦屋根が少なくなると共に、瓦せんべいも斜陽では。
なつかし野球カステラが売ってた。
たいして旨くはないが、その旨くなさがいい。
昔はこういう「旨くないもの」でも生存できた。
好きだな、この名前だけで小説が一本できそう。
この暖簾をあげたら、離縁はしにくそう。
きっぱりとした大衆食堂ののれん。
おかずより何より、「しる」がど真ん中に来ているところに意味がありそう。「ウチのしるを味わえ!」という自信の表れか。
歩き回って小腹も空いた・・・。
歩き回ったのでビールでのどを潤す。
クリームコロッケ。たっぷりのデミソースが嬉しい。
丁寧に盛られたキャベツ。
ビーフカツレツ パン粉のきめが細かい。ポテサラ・トマト・キャベツにマカロニのケチャップ炒めのガルニ、手を抜かないところが好ましい。
鉄板ごとジュ~ッ…とやってきた、イタリアン・スパゲティ。
粉チーズをかけて、半熟卵をからめて食べると、もうたまらん旨さ。ジャンキーさまで感じる。まじめにコツコツ作っている印象あり。
やっぱりハヤシライスは実力を知るために食べておかねば。
特に文句はございませぬ。めしによく合うソース。欲を言えばもうちょい焦げくさくてもいいな、それと少し玉ねぎのシャキ感は欲しいところ。
日本の洋食は横浜や神戸の外国航路で働くコックさんたちが陸へ上がって店を開いたことに始まる。神戸下町新開地に「一平ありき」の思いを強くした。
グリル一平 神戸市兵庫区新開地2