このところ、ご近所の友だちに韓国の薬念(やんにょん)を頂き、製法まで教えてもらい、蒸したキャベツに塗ってキムチやらくぎ煮やら何でも乗せて、ご飯をちょい乗せてクルリ巻いて食べる機会が増えている。
この食べ方が“ポッサム”。ポッは風呂敷、サムは包むの意味。
美味しいし、葉野菜が摂れ、それでいてご飯が進みすぎず満腹感も得られる、といいことづくめ。なのに、なぜ今まで日本で広がってこなかったのかをちょいと考えた。そいつは日本人のご飯に対する特別の思いがあったからではないのかな。豊葦原の瑞穂の国の米に対する信仰心が、ご飯はご飯として味わうものだという気持ちを過剰に育ててきたのではないか。
それが世界一美味しい米を生み出したりもするのだがね。でも食べ方の多様化も大いに認めようではないか。その方が楽しいやん。
ここは天神橋筋六丁目という、やたら長ったらしい名前の駅近く。
「ほうば」は特に野菜がたくさん味わえる店だ。ほうばとは、韓国のかぼちゃ、ほうばっくという、ズッキーニに似たカボチャのこと。
上の葉野菜は、かつぎの運び屋さんが韓国から持ってくる。
ナムルとは熟菜と書き、茹で・蒸し・炒めなどで熱を加えた野菜のこと。この店には定番の大根・もやし・ぜんまい・ほうれん草に留まらず、様々な種類がある。15種類など来ると、思わず女性客のため息が洩れる。
上からクレソン、ホウバ、ピーナツもやし、ナス、島らっきょう、加賀太きゅうり、カタクリ…見事な前菜になっている。
マッコリは1週間、3ヶ月、その上澄み。美味いッ!
ケジャン(渡り蟹のキムチ)はぴくぴく…動いてるではないかいな。
お命頂きまするッ!これ、もうちっと身離れがいいと嬉しいんだけど。
チャプチェも野菜がいっぱい。
蒸し豚は見事に脂が落ちて、あっさり、しっとりとして、コラーゲン充実の三枚肉になっている。
こいつをキムチと一緒にご飯も乗せて、ポッサム。これ美味い。
チヂミの中でもちょいと格上になるパジョン。ネギのチヂミ。グジ、イカ、海老などが入った豪華版。
オモニ、新井美佐子さん。石焼プルコギを手で焼き始め、びっくり。
沖縄でてぃーあんだーというが如く、愛情あふれるおかんの手から味が染み出すのである。
卵がポン。こいつを引っ掻き回して、やっぱりポッサムで食べる。
こんな野菜の多いプルコギ初めて。
因みに韓国は世界一野菜を食べる国といわれていて(韓国人はそういって胸を張る)日本人の5倍なんだとか。
但し、葉っぱと一緒にご飯を食ってると、酒の方があんまり進まない。特にエゴマの葉なんて個性が強いから酒も選びそう。
ガシラの煮魚アクアパッツァ風。息子、正彦さんはイタリアン修業の経験もあり、イタリアン・コリアンのコラボ作ともいえる。こういうのもポッサムしちゃう。
この店で最高に高価なのがこの一品。烏骨鶏の参鶏湯。時価(8000円前後)。でかい朝鮮人参も共に。もちろんお腹の中にはナツメ、ニンニク、人参、もち米などが入る。この烏骨鶏もポッサム…できるかッ!
薬膳の高級素材として知られる烏骨鶏。骨まで黒いんだなぁ。
こりゃ元気になりそう。これは撮らせてもらっただけ、さすがにお腹いっぱいで入らなかった。疲労困憊の時はこの奥の手を覚えとこう!
韓菜酒家 ほうば 大阪市北区天神橋5-3-10